血液検査項目のALP(アルカリホスファターゼ)とは?【基準値や高値の原因】

血液検査のALPの基準値を知りたい人「ALPの基準値を知りたい!併せて、数値が異常のときに考えられる疾患なんかについても知りたい!!」

本記事ではこの疑問に答えます。

  • ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値
  • ALP(アルカリフォスファターゼ)とは?
  • ALP(アルカリフォスファターゼ)の値が異常のときに考えられる原因

医療従事者歴3年、現在も総合病院で勤務している現役の医療従事者の僕が、血液検査項目のALP(アルカリフォスファターゼ)についてわかりやすく解説します。

ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値

ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値は病院によってまちまちですが、本記事では日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が、2014年に発表した「共用基準範囲」の基準値を採用します。

  • ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値:106~322 U/L

参考:日本臨床検査標準協議会(JCCLS)基準範囲共用化委員会

ALP(アルカリフォスファターゼ)とは?

ALP(アルカリフォスファターゼ)とは、細胞膜に存在する糖たんぱく質です。
例外的に好中球では大部分が細胞内顆粒に存在しています。

主に肝臓、骨、小腸、胎盤に多くふくまれていますが、全身の細胞や臓器などにも広く分布しています。

一般的には、肝・胆道系酵素とよばれ、肝疾患(肝機能の異常)と胆道疾患(肝臓から十二指腸への胆汁の動き)のときに高値となります。
その他、骨疾患(とくに骨への悪性腫瘍の転移)の際にも高値となります。

胆道系酵素とは、肝細胞の毛細胆管膜に多く含まれている酵素のことで、毛細胆管の障害による肝内胆汁うっ滞(アルコール性肝障害、肝炎、肝硬変など)や閉塞性黄疸(総胆管結石、腫瘍など)のときに血中濃度が上昇します。
胆道系酵素としては、ALP、γ-GTP、LAPがあります。

ALP(アルカリフォスファターゼ)の役割

ALP(アルカリフォスファターゼ)とは、その名のとおり、アルカリ性の環境下(pH9~11)で働くホスファターゼ((リン酸モノエステル加水分解)酵素)です。

役割としては、リン酸モノエステルを加水分解し、糖・脂肪の吸収、リン酸やカルシウムイオンの吸収と輸送、核酸合成の調節、骨の破壊と化骨に関与しています。

ALP(アルカリフォスファターゼ)が多く含まれる組織

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、ほとんどすべての組織にふくまれていますが、特に肝臓、骨、小腸、胎盤に多くふくまれています。

血液中に存在するALP(アルカリフォスファターゼ)のほとんどは肝臓由来または骨由来のものです。

血液中のALP(アルカリフォスファターゼ)が高値になる場合、組織が破壊されていることを意味します。このように、組織が破壊された場合に血液中に流出する酵素を「逸脱酵素」といいます。

ALP(アルカリフォスファターゼ)が高値のときに考えられる原因

ALP
(アルカリフォスファターゼ)
考えられる疾患
黄疸あり黄疸なし
軽度上昇
(基準値上限の2倍まで)
急性肝炎(ウイルス)、薬剤性肝障害(肝細胞障害型)慢性肝炎、肝硬変、甲状腺機能亢進症、骨折、原発性肝癌、慢性腎不全
中等度上昇
(基準値上限の2~4倍)
アルコール性肝炎、薬剤性肝障害(胆汁うっ滞型)副甲状腺機能亢進症、くる病、成長期、妊娠、原発性肝癌
高度上昇
(基準値上限の4倍以上)
閉塞性黄疸(結石、腫瘍)、胆道感染症、先天性胆道疾患限局性肝病変(転移性肝癌、肉芽腫、腫瘍)、ページェット病、転移性骨腫瘍、骨肉腫、ALP産生腫瘍(泌尿生殖器癌、肺癌、肝癌)

肝・胆道系酵素のALP(アルカリフォスファターゼ)が高値のときに考えられる原因として、おもに肝臓疾患、胆道疾患、骨疾患が考えられます。

ただし、ALP(アルカリフォスファターゼ)のみで疾患を特定することはせず、他の血液検査項目や画像検査なども併せて評価します。

例えば、肝臓疾患や胆道疾患では、ビリルビンやAST、ALT、γ-GTなどの血液検査値も高値となることが多いです。
逆にこららの数値が基準値内が正常であれば、骨疾患が疑われます。

しかし、ALP(アルカリフォスファターゼ)が高値だからといって必ずしも何らかの病気になっているわけではなく、小児期の骨形成期では成人の2~3倍、妊娠後期では胎盤性ALPの出現によって2~3倍、O型とB型の人は、前日に高脂肪食を食べた翌日に採血するとALPが高くなります(1)。

ALPが高値のときに考えられるおもな原因

  1. 肝臓疾患
    (急性・慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌、薬物性肝障害など)
  2. 胆道疾患
    (胆管炎、胆石症、閉塞性黄疸など)
  3. 骨疾患
    (骨折、骨軟化症、悪性腫瘍の骨転移、骨肉腫など)
  4. その他
    (成長期の小児、妊娠後期、O型とB型の人など)

ALP(アルカリフォスファターゼ)のアイソザイム

ALP(アルカリフォスファターゼ)は、つくられる臓器によって分子構造の異なるアイソザイム(同じ作用で分子構造が異なる酵素のこと)が存在します。

ALP(アルカリフォスファターゼ)のアイソザイムには6種類(ALP1~ALP6)があり、それぞれに由来する組織が異なっています。

どのアイソザイムが高値かで、考えられる原因となる臓器・疾患を推測することができます。

ALPアイソザイムと対応する疾患

由来高値を示す疾患
ALP1肝臓閉塞性黄疸(胆管癌、膵頭部癌、総胆管結石など)、肝細胞障害
ALP2肝臓、毛細胆管胆道疾患、肝疾患
ALP3骨疾患、骨代謝異常、副甲状腺機能亢進症、成長期
ALP4胎盤、癌悪性腫瘍、妊娠後期
ALP5小腸肝硬変、慢性肝炎、小腸疾患、慢性腎不全、血液型B型、O型の分泌型の人の食後
ALP6免疫グロブリン結合型潰瘍性大腸炎の活動期、関節リウマチ

ALP(アルカリフォスファターゼ)が低値のときに考えられる原因

臨床的に、ALP(アルカリフォスファターゼ)が低値で問題になることは稀です。

異常に低い数値でなければ、多少下回ったとしても、健康に支障がでることはありません。

低値になる原因としては、甲状腺機能低下症、亜鉛欠乏、マグネシウム欠乏などがあります。

 

というわけで、今回は以上です。

 

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