
本記事ではこの疑問に答えます。
目次
1.まずは血液について簡単に・・・
血液は、血漿成分と血球成分に大きくわけることができます。
- 血漿成分:血液の液体成分で、血液から血球成分を取り除いたもの
- 血球成分:血液の細胞成分(血球といいます)で、赤血球、白血球、血小板のこと
血清とは、血漿からフィブリノゲンを取り除いたものです。
それでは実際に血液のなかに含まれている成分をみていきます。
2.血液のなかに含まれている成分

ざっと血液に含まれている成分を上の表にまとめました。
血液は大きく「血漿」と「血球」の2つに分けられ、約55%が血漿で約45%が血球となっています。
「血液」は、体重の約8%を占めています。
(体重60kgの人の場合ですと、5L弱の血液が流れている計算になります)。
2.1.血漿成分

血漿は黄色味を帯びた液体で、91%は水分です。
残り9%には、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、その他(ホルモン、老廃物など)などが含まれています。
2.2.血球成分

血球は、血液の細胞成分で以下の3種類があります。
- 赤血球:赤血球のなかにあるヘモグロビンは、肺で酸素を取り込み、全身に供給します。また、二酸化炭素を回収し、肺から排出します。
- 白血球:生体防御に関わります。
- 血小板:血液凝固反応に関わります。
血球成分はさらに細かく細分化されますが、詳しく知りたい人は下記の記事をごらんだくさい。
3.血漿タンパク質の分類

血漿の約7%はタンパク質であり、これを血漿タンパク質とよびます。
この血漿中タンパク質は100種類以上あるといわれています。
しかしこれをすべて調べると時間やお金がかかります。そこで、タンパク質を大きくグループ分け(分画)することで、病態のスクリーニング検査に用います。
この方法として「電気泳動」がもちいられています。
3.1.電気泳動とは
電気泳動とは、液体の媒質中の粒子が、電場のもとで動く現象のことです。
3.1.電気泳動による血漿タンパク質の分画

血漿中のタンパク質はすべての成分はマイナスに荷電しているので、電気泳動によって移動します。
実際に、血漿タンパク質に電圧をかけることで各タンパク成分は陽極側に移動します。
しかし、各成分がそれぞれ異なる電気的荷電と粘性をもっているため、移動の具合に差がでます。
この移動の度合いによって、血漿タンパク質は3つのグループに分画されます。
- アルブミン分画
- グロブリン分画
- フィブリノゲン分画
4.臨床では血清タンパク分画がもちいられます

血液中に100種類上あるタンパク質を電気泳動し、その荷電や粘性の違いから5つのグループ(分画)に分け、その構成比を調べる検査のことです。
臨床では血漿タンパク分画ではなく、血清タンパク分画がもちいられています。
100種類以上のタンパクが含まれている血清タンパクを、5つの分画に分け、その構成比をもとにして、病態のスクリーニング検査や治療効果の判定にもちいられています。
- アルブミン分画
【基準値】60.2~71.4% - α1-グロブリン分画
【基準値】1.9~3.2% - α2-グロブリン分画
【基準値】5.8~9.6% - β-グロブリン分画
【基準値】7.0~10.5% - γ-グロブリン分画
【基準値】10.6~20.5%
上記の5分画は、全自動電気泳動装置のデンシトメーターによりグラフ化され、曲線パターンとして図示されます。
4.1.血清タンパク分画測定の意義
血清中には100種類以上のタンパク質があり、健康な人では、血清中のタンパク濃度は一定に維持されています。
しかし、病的な状態になると各種タンパク質濃度のバランスが崩れ、その疾患特有の濃度異常が生じます。
血清タンパク分画検査では、少ない検体量と安価な値段で測定でき、タンパク成分の増減パターン(構成比)により病態把握や治療効果の判定に有用です。
また、この検査をすることで、タンパク不足、多発性骨髄腫、ネフローゼ症候群、肝硬変、M-タンパク血症、急性・慢性炎症、膠原病のおおよその目安をつけることができます。
ただ、血清タンパク分画検査は確定診断をするためのものではなく、補助的な立ち位置で利用するものです。
というわけで、今回は血液のタンパク分画について説明しました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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