炭水化物(糖質+食物繊維)の消化・吸収の流れ(仕組み)の説明

口に入れた食べ物が、身体の中でどういう風に消化されて吸収されるのか。

ある日突然、僕はとても気になってしまいました。

普段から食事にこだわっているのに、身体の中にどういう風に吸収するのか知らないのはマズイ・・・

ということで、今回は炭水化物(糖質+食物繊維)の、消化と吸収の流れを調べてまとめました。

 

炭水化物(糖質+食物繊維)消化の大まかな流れ

  • 炭水化物(糖質)の消化・吸収の流れの簡単なまとめ
  1. 口の中で、唾液アミラーゼによってデンプンが消化されます。
  2. 胃で、糖質の消化はしません。
  3. 糖質の本格的な消化は、小腸(十二指腸)で分泌される膵液中の膵アミラーゼによっておこなわれます。
  4. 次に、小腸(空腸)の粘膜上皮細胞にある消化酵素によって消化されます。
    1. マルトース(ブドウ糖+ブドウ糖)は、マルターゼによって消化
    2. スクロース(ブドウ糖+フルクトース)は、スクラーゼによって消化
    3. ラクトース(ブドウ糖+ガラクトース)は、ラクターゼによって消化 
  5. 最終的に単糖にまで分解されてから、小腸の粘膜の上皮細胞から吸収 されます。
  6. 消化することができない食物繊維は、そのまま腸内を進んで、便として排出されます。

関連記事:炭水化物/食物繊維/糖質とは? +α 炭水化物の種類まとめ 

 

  • (補足知識)消化管の解剖と流れ

口腔

咽頭

食道



小腸(十二指腸、空腸、回腸)

大腸(盲腸、結腸、直腸)

肛門

関連記事:”腸”わかりやすい消化管(食道・胃・腸)の解剖と構造【リーキーガット症候群基礎】

 

1.口の中での糖質の消化

口の中では、唾液中の唾液アミラーゼによってデンプンが消化されます。

デンプンとは?ブドウ糖がたくさんつながってできた糖質のことです。

食べ物を噛むことで唾液アミラーゼが分泌されます。噛めば噛むほど、唾液アミラーゼはたくさん分泌されます。

唾液アミラーゼによってデンプンは、デキストリンやマルトース(ブドウ糖+ブドウ糖)、マルトトリオース(ブドウ糖+ブドウ糖+ブドウ糖)になります。

デキストリンとは?デンプンの分解によってできる、低分子量の糖質の総称のことで、デンプンの仲間です。

デンプンは消化されることで、最終的にはブドウ糖になりますが、その分解途中の物質の総称のことをデキストリンと呼んでいます。

 

  • 唾液アミラーゼとはなんですか?
  • アミラーゼはデンプンを消化するための消化酵素です。
  • アミラーゼには、唾液腺でつくられるものと、膵臓でつくられるものがあります。両者とも構造は違うんですが、デンプンやグリコーゲンなどの糖質を消化する役割をもっています。

 

2.胃での糖質の消化

胃で糖質の消化はしません。ここは素通りです。

 

3.小腸(十二指腸)での糖質の消化

食べ物が胃から小腸(十二指腸)に進むと、膵臓から小腸(十二指腸)に膵液が分泌されます。

この膵液のなかには様々な消化酵素が入っているんですが、そのうちの一つに膵アミラーゼという消化酵素があります。

膵アミラーゼによって、デンプン(デキストリン)は本格的に消化されます。その結果、大量のマルトース(ブドウ糖+ブドウ糖)ができます。

 

4.小腸(空腸)での糖質の消化

大量のマルトース(ブドウ糖+ブドウ糖)は、空腸の粘膜上皮細胞の細胞膜にある消化酵素のマルターゼによって、単糖(ブドウ糖)にまで消化されます。

デキストリンは、イソマルターゼという消化酵素によって消化されます。

 

また、スクロース(ブドウ糖+フルクトース)とラクトース(ブドウ糖+ガラクトース)も、空腸の粘膜上皮細胞の細胞膜にある消化酵素(それぞれスクラーゼ、ラクターゼ)によって消化されます。

 

  • 細胞膜に含まれている糖質を消化するための酵素一覧
消化酵素 
マルターゼマルトースを、2つのブドウ糖に消化
スクラーゼスクロースを、ブドウ糖とフルクトースに消化
ラクターゼラクトースを、ブドウ糖とガラクトースに消化
イソマルターゼデキストリンを消化

 

5.細かく消化された糖質は小腸(空腸)から吸収される

ここまできて、ようやく糖質は単糖(ブドウ糖、フルクトース、ガラクトース)にまで消化されました。

そうして単糖になってはじめて私たちの身体の中へと吸収することができるようになります。どうしてここまで細かく分解する必要があるのかというと、大きな分子のままだと身体の免疫系が異物だと反応してしまうからです。単糖まで細かくしてやること(これを消化といいます)で、私たち人間の身体の中の成分と同じになり、免疫系が反応しなくなります。

 

単糖(ブドウ糖、フルクトース、ガラクトース)の吸収は、小腸(空腸)の粘膜腸上皮細胞でおこなわれます。

そして、吸収された単糖は血液中に送り込まれ、門脈という特別な血管をとおって直接肝臓へ送られます。

ちなみに、血液中のブドウ糖のことを血糖と呼びます。

 

消化されなかった炭水化物(食物繊維)の行方は・・・

私たちの身体で消化されない炭水化物のことを、食物繊維といいます。

食物繊維を消化できない理由は、消化するための酵素のセルラーゼを私たちはもっていないからです。なので人間は食物繊維を消化することができません。

消化されていない食物繊維は、身体の中に吸収することができないので、そのまま腸内を移動して、最終的に便として排出されます。

 

まとめ

  • 炭水化物(糖質)の消化のおおまかな流れ
  1. 口の中の唾液に含まれる唾液アミラーゼによって、デンプンが消化されます。
  2. 小腸(十二指腸)で、膵液に含まれる膵アミラーゼによって、デンプンやデキストリンの本格的な消化が始まります。
  3. 小腸(空腸)の粘膜上皮細胞の細胞膜にある消化酵素によって、単糖(ブドウ糖、フルクトース、ガラクトース)にまで消化されます。
    1. マルトース(ブドウ糖+ブドウ糖)は、マルターゼによって消化
    2. スクロース(ブドウ糖+フルクトース)は、スクラーゼによって消化
    3. ラクトース(ブドウ糖+ガラクトース)は、ラクターゼによって消化
    4. デキストリンは、イソマルターゼによって消化

 

  • 炭水化物(糖質)の吸収
単糖にまで消化された炭水化物(糖質)は、小腸(空腸)の粘膜上皮細胞で吸収されます。

 

  • 炭水化物(食物繊維)は、消化するための酵素のセルラーゼを人間はもっていないので、消化することができません。なので、そのまま腸内を進んで便として排出されます。

 


今回は以上です。白米場合、主成分はデンプンなんですが、このようにわりと手間暇かけてブドウ糖にまで消化されています。一方の甘いジュースは、ブドウ糖や二糖などもともと細かく分解されている糖質がたくさんはいっています。また、液体なのですぐに胃を通過して小腸に到達し、いとも簡単に体内に吸収されてしまいます。なので血糖値を急激に上げてしまうということが、これでわかったのではないでしょうか。

 

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