炭水化物(糖質)を摂取した後の「消化→吸収→代謝」の流れを解説

炭水化物(糖質)を摂取した後の行方が気になる人「炭水化物(糖質)を摂取した後の、「消化→吸収→代謝」の流れを知りたい」

こんにちは、現役の臨床工学技士の(totthi1991)です。

本記事では、下記の内容を解説します。

  • 炭水化物(糖質)を摂取した後の「消化→吸収→代謝」の流れ

1.炭水化物(糖質)を摂取した後の「消化→吸収→代謝」の流れ

食べ物の中に含まれる炭水化物(糖質)は、主にデンプン、スクロース(砂糖)、ラクトース(乳糖)です。

ですので、本記事ではこれらの炭水化物(糖質)を以下の3つに分けて順を追って説明していきます。

  1. 消化
  2. 吸収
  3. 代謝

2.炭水化物(糖質)の消化

炭水化物(糖質)の消化がおこなわれる部位は主に以下の3カ所です。

  1. 口腔内
    (消化酵素:唾液アミラーゼ)
  2. 十二指腸
    (消化酵素:膵アミラーゼ)
  3. 小腸粘膜上皮細胞
    (消化酵素:マルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼなど)

2.1.デンプンの消化

まずはデンプンの消化について説明します。

補足
お米などに含まれるデンプンは、グルコースがα-1,4グリコシド結合したアミロース部分と、α-1,6グリコシド結合したアミロペクチン部分で構成されています。

口腔内でのデンプンの消化

まず最初に、口腔内に分泌される唾液アミラーゼによってデンプンは消化されます。

具体的には、デンプンを構成しているグルコース同士の結合の「α-1,4グリコシド結合」部分がランダムに切断されます。

その結果、以下のデンプンの消化産物がつくられます。

  1. α-限界デキストリン
    (多糖)
  2. マルトトリオース
    (三糖、グルコース×3)
  3. マルトース
    (二糖、グルコース×2)

最小単位ではマルトースまで分解されますが、実際には数個~数十個のグルコースがくっついたデキストリンあたりにまで分解されます。

補足
デキストリンとは、デンプンを化学的あるいは酵素的に低分子化したものの総称です。
とくに、アミラーゼによってデンプンのα1→4結合のみが切断され、α1→6結合が切断されずに残っているものを、α-限界デキストリンといいます。

胃でのデンプンの消化

次に、口腔内で消化されたデンプンはそのまま胃に入ります。

しかし、強酸性の状況下で唾液アミラーゼは失活し、胃でのデンプンの消化活動は停止します。

十二指腸でのデンプンの消化

十二指腸では、膵液に含まれる膵アミラーゼによって、大量のマルトースがつくられます。

ちなみに、デンプンが本格的に消化されるのがここ、十二指腸です。

補足
マルトースとは、グルコース2個が結合したもののことです。

小腸粘膜上皮細胞でのデンプンの消化

以上の過程で消化されたデンプンは、最終的に小腸粘膜上皮細胞の細胞膜にある酵素(イソマルターゼやマルターゼ)によって、単糖のグルコースにまで分解されます。

2.2.スクロースとラクトースの消化

二糖のスクロース(砂糖)やラクトース(乳糖)は唾液中や膵液中にふくまれるアミラーゼでは消化されず、そのままのかたちで小腸まで到達します。

そして、小腸粘膜上皮細胞の細胞膜にある以下の酵素によって分解されます。

  • スクラーゼ(消化酵素)
    →スクロースを、フルクトースとグルコースに分解しま
  • ラクターゼ(消化酵素)
    →ラクトースを、ガラクトースとグルコースに分解します。

3.炭水化物(糖質)の吸収

デンプンの消化産物と食物中の二糖は、グルコースやその他の単糖(フルクトース、ガラクトース)に分解され、小腸(小腸上皮細胞膜)から吸収されます。

食べ物中にふくまれる炭水化物(糖質)の消化をまとめると以下のようになります。

  • デンプン
    →(消化)→グルコース
  • スクロース
    →(消化)→フルクトース、グルコース
  • ラクトース
    →(消化)→ガラクトース、グルコース

4.炭水化物(糖質)の代謝

小腸で吸収された単糖(グルコース、フルクトース、ガラクトース)は、門脈をへて肝臓に運ばれます。

4.1.グルコースの代謝

小腸から吸収されたグルコースは肝臓に運ばれ、一部は肝静脈を経て全身に供給され全身で利用されます。

以下、グルコースの代謝経路です。

  1. 全身の細胞での代謝
    1. 全身の細胞のエネルギー源として利用される
    2. 主に脂肪組織で中性脂肪に変換され、貯蔵される
    3. 主に筋肉組織でグリコーゲンに変換され、貯蔵される
    4. 核酸の材料として利用される
  2. 肝臓での代謝
    1. 肝臓のエネルギー源として利用される
    2. グリコーゲンに変換され、貯蔵される
    3. 中性脂肪に変換され、貯蔵される

基本的にグルコースは全身の細胞の重要なエネルギー源です。

ですので、血液中のグルコースはインスリンによって脳や内臓、筋肉などの細胞内に取り込まれ消費されます。

  • 補足:インスリンの作用
補足①
膵臓のβ細胞内にグルコースが入ると、この刺激によりインスリンが血中に分泌されます。
インスリンの主な役割は、グルコースの細胞内への取り込みを促進、およびグリコーゲン(主に筋組織と肝臓)や中性脂肪合成(主に脂肪組織と肝臓)の促進です。
補足②
インスリンが細胞膜上の受容体に結合すると、GLUT4(Glucose transporter type-4)が細胞膜上に出現します。
このGLUT4を介して、細胞内へグルコースが取り込まれます。
とくに、筋組織や脂肪組織にGLUT4は多く存在しています。

細胞内に取り込まれたグルコースは、エネルギー生産システムである解糖系やクエン産回路で代謝され、この結果ATPがつくられます。

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2018年7月1日

エネルギーとして消費しきれなかった分は、インスリンの働きによって肝臓や筋肉でグリコーゲンに変えられたり、脂肪組織に中性脂肪として蓄積されます。

このようにエネルギーとして消費されたり中性脂肪として蓄積されるため、上昇した血糖値は徐々に空腹状態の値まで低下していきます。

4.2.フルクトースの代謝

通説では、小腸から吸収されたフルクトースは門脈をへて肝臓に運ばれ、ほとんどは肝臓で代謝を受けるといわれています。

肝臓を素通りして全身に供給されるフルクトースはごく少量です。
(実際、果物を食べても、血中のフルクトース濃度はほとんど上がりません。)

そして、フルクトースの代謝経路には主に以下の4つがあります。

  1. 解糖系へ進みエネルギーとして利用される
  2. グリコーゲンに変換される
  3. 中性脂肪に変換される
  4. 糖新生へ進みグルコースに変換される
一説には一定の量のフルクトースであれば、ほぼ全てが小腸で代謝され、肝臓では代謝されないとの見解もあります。
このように、フルクトースが体内に吸収されてからの、正確な代謝の詳細については、はっきりとしたことはまだわかっていません。

4.3.ガラクトースの代謝

小腸から吸収されたガラクトースは門脈をへて肝臓に運ばれます。

肝臓へと運ばれたガラクトースは、以下の酵素の働きを段階的に受けて、グルコースに変換され、最終的にエネルギーとして利用されます。

ガラクトースの代謝酵素

    • ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ
    • ガラクトキナーゼ
    • UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ
補足
正常では、ガラクトースは肝臓でほとんどが代謝されるので、肝臓を通ったあとの血液中にガラクトースはほとんど含まれません。

 

というわけで今回は以上です。

食べ物の中に含まれる炭水化物(糖質)のほとんどを占める①デンプン②スクロース③ラクトースの消化・吸収・代謝の流れの解説でした。