目次
1.白米と玄米の違い(お米の構造の違い)
1.1.お米を収穫してから玄米ができるまで
① お米まずはコンバインで収穫:稲刈りといいます

←こんな感じです。
コンバインという機械で稲を刈ります(稲刈り)。コンバイを使えば、稲から籾(モミ)を外す、脱穀という作業も同時に行えます。
- 脱穀とは?
脱穀をしている1分ちょいの動画です。動画で見たほうがイメージがつきやすいです。
※脱穀とは、刈り取った稲から籾(モミ)を外す作業のことです。
これが籾(モミ)です。

引用:農家直送 佐藤農園
これが玄米です。

引用:農家直送 佐藤農園
籾(モミ)から籾殻(モミガラ;米の硬い外皮)をむいた(これを籾摺り(もみすり)作業といいます)をしたものが、玄米になります。
1.2.玄米を精米したものが白米になる
そして玄米を、精米すると白米になります。
精米とは、玄米のぬか層とはい芽を除去することです。簡単にいうと玄米の表面を削ることです。
玄米の構成は下の画像のようになります。

引用:ピカピカ白米 米LIFE
胚乳といわれる部分が白米です。
精米によって取り除かれた『ぬか層』と『はい芽』には、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維など40種以上の様々な栄養成分が含まれています。
精米によって取り出された白米(胚乳)の主成分は、でんぷんです。
つまり、精米によってお米のいろんな栄養がつまった『ぬか層』と『はい芽』は全部捨てられてしまって、残りの白米(胚乳)にはたっぷりのでんぷんのみが残されるだけだということです。
2.白米と玄米の栄養素の比較
この表は、お茶碗一杯分(150g)での、玄米と白米の栄養素を比較したものです。
- お茶碗一杯分(150g当たり)
成分 | 玄米150gあたり | 白米150g当たり | 白米に対して玄米は何倍? |
---|---|---|---|
カロリー | 525kcal | 534kcal | ほぼ一緒 |
たんぱく質 | 10.2g | 9.15g | ほぼ一緒 |
脂質 | 4.05g | 1.35g | 3倍 |
炭水化物 | 110.7g | 115.65g | ほぼ一緒 |
ナトリウム | 1.5mg | 1.5mg | 一緒 |
カリウム | 345mg | 132mg | 2.5倍 |
カルシウム | 13.5mg | 7.5mg | 2倍 |
マグネシウム | 165mg | 34.5mg | 5倍 |
リン | 435mg | 141mg | 3倍 |
鉄 | 3.15mg | 1.2mg | 2.5倍 |
亜鉛 | 2.7mg | 2.1mg | 1.3倍 |
銅 | 0.405mg | 0.33mg | 1.2倍 |
マンガン | 3.075mg | 1.2mg | 2.5倍 |
β-カロテン | 1.5μg | 0μg | ー |
ビタミンE | 1.8mg | 0.15mg | 12倍 |
ビタミンB1 | 0.615mg | 0.12mg | 5倍 |
ビタミンB2 | 0.06mg | 0.03mg | 2倍 |
ナイアシン | 9.45mg | 1.8mg | 5倍 |
ビタミンB6 | 0.675mg | 0.18mg | 4倍 |
葉酸 | 40.5μg | 18μg | 2倍 |
パントテン酸 | 2.04mg | 0.99mg | 2倍 |
飽和脂肪酸 | 0.93g | 0.435g | 2倍 |
一価不飽和脂肪酸 | 1.23g | 0.315g | 4倍 |
多価不飽和脂肪酸 | 1.35g | 0.465g | 3倍 |
水溶性食物繊維 | 1.35g | 微量 | ー |
不溶性食物繊維 | 3.45g | 0.75g | 4.5倍 |
食物繊維総量 | 4.5g | 0.75g | 6倍 |
上の表をみてわかる通り、白米にはいろんな種類の栄養素が含まれているので、一見良さそうに思えます。
しかしそれは罠です。
こちらの記事『お米(白米)は糖質の塊で栄養価が低く身体に悪い』にも書いたんですが、白米の栄養素の絶対量は圧倒的に少ないです。白米だけでバランスのいい栄養を摂りたければ、何十杯分もの白米を食べないといけなくなります。
一方の玄米は、白米に比べて栄養成分的には全体的にグレードアップしています。
とくに、ビタミンEとビタミンB1が多く含まれています。さらにミネラルに関しても、日本人に不足しがちだといわれている亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄などがバランスよく含まれています。
2.1.玄米は完全栄養食と巷で言われているらしいが・・・
このように玄米は、白米に比べて栄養素が多く含まれているので最高な食べもののように思えますけど実際にはそうでもないです。
ただ、玄米は栄養素のバランスが良い為に「完全食」などと言われたりもしますが、そんなことはありません。
(前略)1日の栄養摂取量の目安から考えると、栄養素の「量」が絶対的に足りていません。
引用:20代の大腸がん闘病記
完全食(完全栄養食)とは、私たちが生きるために必要な栄養素の必要量を十分に含んでいる食品のことです。
しかし玄米に含まれている栄養素の量はそんなに多くありません。
あくまで、ほとんど栄養素が含まれていない白米に比べれば数倍の栄養素が含まれているというだけで、その絶対量自体は大したことがありません。
2.2.白米は栄養的にみると食べる価値なし
ここで、とても大事なことなので白米のことを少し悪く言っておきます。
- 米に白とかいて、粕(カス)
- 米に健康の康とかいて、糠(ぬか)
つまり、玄米から糠(ぬか)を取り除いた白米は、栄養的には粕(カス)で、精米によって取り除かれた康(ぬか)には栄養成分がしっかりと入っている。という風に、漢字からは読み取ることができます。
私が食事と健康の話をすると、最もよく質問されることの1つが「白米は食べすぎなければ大丈夫ですよね?」といったものです。日本人は何事も「食べすぎなければ大丈夫」というあいまいな結論に持って行きたがる傾向があるが、残念ながら、日本人が大好きな白米は「少量でも体に悪い」と言っても良いだろう。エビデンスによると白米の摂取量が少なければ少ないほど糖尿病のリスクが低いことが報告されているからだ。
引用:世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 p109
世界的に最も権威のある医学雑誌で、白米と糖尿病の関係に関する4つのコホート研究の結果をまとめたメタアナリシスの結果が発表されています。それによると、白米を食べる量が1杯(158g)増えることに糖尿病のリスクが11%増えます。
白米の唯一いいところは、玄米に比べて美味しくて食べやすいということです。栄養素はごくわずかしか含まれておらず、主成分はでんぷんです。でんぷんは体内で分解されればブドウ糖になるので、白米≒砂糖といえます。
砂糖が健康にとって有害だというのは、世界各国ですでに共通の認識、常識としてあり、健康向上を目的として国が砂糖を規制する方向に向かっています。
関連記事:『【日本経済新聞】『「砂糖税」がアジアで広がる!?』その理由と目的とは?』
3.玄米の凄いところ
こちらの記事『【危険な糖質制限】白米は身体に悪い、しかし玄米は大丈夫?【病気のリスクが上がる】』で詳しく書いてるんですが、玄米を食べることで死亡率が低下したり、心筋梗塞や動脈硬化のリスクが下がったり、糖尿病のリスクが下がったり、といったメリットが最新の研究から分かっています。
- 1日70gの茶色い炭水化物を摂取したグループは、茶色い炭水化物をほとんど食べないグループと比べて死亡率が22%低かった。
- 茶色い炭水化物の摂取量が多いグループ(1日2.5単位以上摂取)は、摂取量が少ないグループ(週に2単位未満)と比べて心筋梗塞や脳卒中といった動脈硬化によって起こる病気のリスクが21%低かった。
- 玄米を多く食べる人たち(週に200g以上摂取)は、玄米をほとんど食べない人たち(摂取量が月に100g未満)と比べて糖尿病のリスクが11%低かった。
- 1日50gの白米を玄米に置き換えることで糖尿病のリスクを36%下げることができると推定された。
4.まとめ
玄米は、栄養素的に貧弱な白米に比べると、全体的にアップグレードはしています。
しかし、私たちが摂るべき1日の栄養摂取量の目安から考えると、栄養素の絶対量は明らかに少ないです。
そのうえ、砂糖の塊だと僕が呼称している白米の糖質量と玄米はほぼ同じなので、糖質制限という観点からいうと、優れた食品ではありません。
(お茶碗一杯(150g)当たり、糖質が約55gも含まれています)
日本における糖質制限の第一人者の江部康二先生の最も厳しい糖質制限コース『スーパー糖質制限食』では、1日の糖質の摂取量を30~60gを目標にしています。
なのでお茶碗一杯の玄米を食べると、それだけで1日分の糖質量を摂ってしまうことになってしまいます。
そのため江部康二先生が推奨するスーパー糖質制限食もしつつ、玄米の健康上のメリット(有力なエビデンス有り)を享受したいなら、玄米の食べる量を減らすこと!
これしかないと思います。
例えば、玄米を通常のお茶碗一杯の1/3の50gに減らすと、糖質は約20gにまで抑えることができます。これなら江部康二先生の『スーパー糖質制限食』を守りつつ、最新の研究で示されているように、死亡率が下がったり、糖尿病のリスクが下がったり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが下がったり、といった健康効果を受けることができます。
しかし僕自身、玄米生活を始めるかどうかはまだ考え中です。興味のある人はぜひやってみてください。
今回は以上です。健康のために玄米を食べようか悩んでいる人の参考に少しでもなれれば幸いです。
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