糖質制限はただのダイエット法じゃない!生活習慣病の予防にも効果あり

こんにちは、現役医療従事者のトッティといいます。

この記事では糖質制限ってなにがいいの?ってことを軽く説明したいと思います。

1.そもそも糖質とは?

糖質とは炭水化物の一種です。

もう少し詳しくいうと炭水化物から食物繊維を除いたものです。

 

要するに、『炭水化物 = 糖質 + 食物繊維』 だということです。
炭水化物は、「炭素」「水素」「酸素」で構成されている有機化合物(炭素を主成分とする化合物のこと)の総称のことで、基本的には化学式Cn(H2mO)nであらわされます。

炭水化物という名前の由来は、化学式(Cn(H2mO)n)からも分かるように「炭素」と「水」でできているためです。

この炭水化物の中で、誘導体をつくりやすいものを「糖質」と呼びます。
※ 誘導体は化合物の一部が変化して生じる物質のことです

食物繊維に関しては、明確な定義はまだなく、日本では「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」という考えが一般的です。

 

2.糖質制限の定義は?

文字通り、栄養素の1つである「糖質」を制限する食事法のことですが、

糖質制限に明確な定義はありません。

いろんな人が好き勝手に一日これくらいに糖質を制限したらベストだよって、言っててごちゃごちゃな状況です。

なお、「MEC(Meat(肉) Egg(卵) Cheese(チーズ))食」「ケトンダイエット」「LCHP」は、理論的には糖質制限食とほぼ同じで、糖質摂取量を厳格になくすものから、ある程度許されるというものまで、さまざまな方法があります。

 

3.糖質制限はいつ始まったの?

1970年ころのアメリカで、「健康のためには糖質を制限したほうがいいんではないか」という考えが生まれました。

そして、実際に糖質制限を実践し始めたのは、アメリカ人の医師であるリチャード・バーンスタイン博士やロバート・アトキンス博士です。

バーンスタイン博士は自身の糖尿病治療のために、アトキンス博士は心臓外科医であったため心疾患を減らすためや肥満の改善のためにそれぞれはじめました。

 

一般的に糖質制限の元祖といわれているのは、アトキンス博士が提唱したアトキンス・ダイエットです。

1972年に、『ダイエット・レボリューション』という一般向けのダイエット本が出版され、これが数百万部も売れて、「アトキンス・ダイエット」が大流行しました。

日本語訳版『アトキンス式 低炭水化物ダイエット』も出版されています。

しかし、アメリカ医師会は会報誌『JAMA』で、理論的な根拠がないとして公式に叩いたため、民間療法の域を出ることはありませんでした。

その後、2000年ごろにハリウッド女優の間で流行ったことがきっかけとなり、再度大流行して現在に至ります。

 

4.日本での糖質制限の始まり

一方、日本では少し遅れて、1999年に当時高雄病院院長だった江部洋一医師が「糖尿病治療食」として糖質制限を始めました。
同時期に釜池豊秋医師も「肥満改善や糖尿病治療食」として糖質制限を取り入れています。

つまり、この二人が日本での糖質制限の元祖です。

2001年には、高尾病院の江部康二医師も「糖尿病治療食」として、糖質制限を取り入れています。

ちなみに「糖質制限食」という言葉の名付け親は、本人曰く、自身(江部康二)だそうです。

そして、2005年に江部康二医師が日本で初めて糖質制限の本『主食を抜けば糖尿病は良くなる! 新版―糖質制限食のすすめ』を出版しました。

この本がベストセラーとなり、日本で糖質制限が普及するきっかけとなりました。

 

5.糖質制限食は、本来は糖尿病の治療食

こうやって糖質制限の歴史を振り返ると、糖質制限は本来は糖尿病の治療食でした。

その中でアトキンス博士は、痩せるということに注目して、ダイエット法として広く世にだしました。

そのため糖質制限を、単なるダイエットのためのものだとおもっている人がいるかもしれません。

しかし、そもそもの糖質制限の目的は、糖尿病の治療です。

さらに最近ではその効果が糖尿病に対してのみではなく、さまざまな疾患に対しても効果があると分かってきています。

 

6.ダイエット以外の糖質制限の効果

じゃあ糖質制限することで、ダイエット以外のどんな効果があるのか、その一部を紹介します。

  1. 糖尿病の予防
  2. すでに糖尿病の人は、その合併症(腎不全、網膜症、神経症)の予防
  3. 肥満の解消
  4. 高血圧改善
  5. アルツハイマー病の予防
  6. 片頭痛改善
  7. 花粉症やアレルギー性鼻炎、喘息などのアレルギー性疾患の改善

などなど数多くの効果が期待されています。

6.1.糖尿病治療に対する糖質制限の効果

糖尿病は放置すると、眼・腎臓・神経などの最小血管合併症を起こします(三大合併症)。また脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化を進行させてしまう恐ろしい病気です

そうならないためには、良好な血糖値を維持することが大切です。

糖質制限をすることで、薬などに頼ることなく血糖値の管理がよくなります。

具体的に効果を上げると、

  1. HbA1Cの改善(血糖コントロールが良くなる)
  2. 薬(経口血糖降下剤)の減量
  3. インスリン注射の中止もしくは減量

※ HbA1Cとは、ヘモグロビンと糖が結合したもので血糖コントロール状態の指標になります

ただし、血糖降下剤を服用している方やインスリン注射を行っている人が糖質制限をおこなうと、低血糖を起こす危険があります。また肝疾患のあるかたは糖新生により血糖値をつくることができないため、同様に低血糖の危険があります。必ず医師に相談の上に行ってください。

 

【日本糖尿病学会よる血糖コントロール目標】

 

HbA1Cが高いとダメなの?

HbA1Cが高いと糖尿病の合併症が進みやすい状態になります。具体的には両足のしびれや痛みなどの神経障害、視力や失明などの網膜症腎障害となり人工透析が必要になります。その他に、心筋梗塞や脳梗塞、足の壊疽による切断、がんのリスクが上がります。

 

7.アメリカでの糖質制限は?

2013年に米国糖尿病学会(ADA)は、糖尿病の治療に対する糖質制限食を、有効性と安全性には十分な科学的根拠があることを正式に認めています。

 

まとめ

このように糖質制限は単なるダイエット法ではなく、アメリカでは糖尿病の治療食に正式に認められています。

また、さまざまな生活習慣病の予防・改善、アンチエイジング、健康増進などいろんなメリットがあると、最新の研究で多数報告されています。

もし今現在、単にダイエット目的として糖質制限をしていたとしても、オマケとして様々な病気の予防にもなってしまってるということです。オマケとしては十分すぎるほどだと思います。

痩せて見た目もスリムになり、病気の予防にもなる。さらに日々のパフォーマンスも向上するので、糖質制限は一石二鳥なんて話じゃなくて、何十鳥というメリットがあります。

ぜひみなさんも糖質制限を普段の生活にとりいれてみてください。

 

糖質制限ヤバい!もう少し詳しく知りたい!!という人は、日本における糖質制限の第一人者の江部康二医師の著書がおススメです。

それでは今回は以上です。

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