血液検査項目のChe(コリンエステラーゼ)とは?【基準値や高値の原因】

血液検査のChe(コリンエステラーゼ)の基準値を知りたい人「Che(コリンエステラーゼ)の基準値を知りたい!併せて、数値が異常のときに考えられる疾患なんかについても知りたい!!」

本記事ではこの疑問に答えます。

  • Che(コリンエステラーゼ)の基準値
  • Che(コリンエステラーゼ)とは?
  • Che(コリンエステラーゼ)の値が異常のときに考えられる原因

医療従事者歴3年、現在も総合病院で勤務している現役の医療従事者の僕が、血液検査項目のChe(コリンエステラーゼ)についてわかりやすく解説します。

Che(コリンエステラーゼ)の基準値

Che(コリンエステラーゼ)の基準値は病院によってまちまちですが、本記事では日本臨床検査標準協議会(JCCLS)が、2014年に発表した「共用基準範囲」の基準値を採用します。

  • Che(コリンエステラーゼ)の基準値
    男性:240~486 U/L
    女性:201~421U/L

参考:日本臨床検査標準協議会(JCCLS)基準範囲共用化委員会

通常、Che(コリンエステラーゼ)は、肝臓の予備能力(タンパク合成能力)の検査として用いられることが多いです。

Che(コリンエステラーゼ)とは?

Che(コリンエステラーゼ)とは、コリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素(タンパク質)です。

  1. アセチルコリンエステラーゼ
    (別名:AChe、真性コリンエステラーゼ)
  2. ブチリルコリンエステラーゼ
    (別名:BChe、偽性コリンエステラーゼ)

体内には、上記2種類のコリンエステラーゼが存在していますが、それぞれ反応する基質に違いがあります(それぞれの役割については後半で解説しています)。

血液検査で検査しているChe(コリンエステラーゼ)は「ブチリルコリンエステラーゼ」のほうになります。

この血清中のブチリルコリンエステラーゼのほとんどは肝臓で合成されて血液中に放出されたものです。
しかし、肝機能が悪くなると(とくにタンパク合成障害のとき)、ブチリルコリンエステラーゼは肝細胞できちんと生成されなくなり、血液中の値が低くなってしまいます。

ですので、一般的にChe(コリンエステラーゼ)は、肝臓の予備能力(タンパク合成能力)を反映する検査として用いられています。

Che(コリンエステラーゼ)の役割

コリンエステラーゼは、加水分解酵素の1つで、コリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素です。

生体内には生理的機能、体内の分布、酵素学的性質の異なる2種類のコリンエステラーゼが存在しています。

  1. アセチルコリンエステラーゼ
    → 神経伝達物質のアセチルコリンを、コリンと酢酸に分解
  2. ブチリルコリンエステラーゼ
    → アセチルコリンを含む種々のコリンエステルを、コリンと有機酸に分解

アセチルコリンエステラーゼは、神経伝達物質のアセチルコリンを、コリンと酢酸に分解します。
ですので、神経の刺激伝達に関係し、骨髄液中に多いです。

一方のブチリルコリンエステラーゼは、血清、肝臓、膵臓などに存在し、種々のコリンエステルを分解しますが、その詳しい生理的意義はまだわかっていません。

血清中のブチリルコリンエステラーゼは、アセチルコリンのほか、ブチルコリン、ベンゾイルコリンなど種々のコリンエステルやα-ナフチル酢酸などの非コリン性エステルも加水分解する働きをしています。

Che(コリンエステラーゼ)が多く含まれる組織

  1. アセチルコリンエステラーゼ
    → 神経、筋肉、赤血球などに存在
  2. ブチリルコリンエステラーゼ
    → 血清、肝臓、膵臓などに存在

血液検査で検査しているChe(コリンエステラーゼ)は「ブチリルコリンエステラーゼ」のことです。

この血清中のブチリルコリンエステラーゼのほとんどは、肝臓で合成されて血液中に放出されたものになります。

Che(コリンエステラーゼ)が高値のときに考えられる原因

Cheが高値を示す疾患
脂肪肝、ネフローゼ症候群、肥満、糖尿病、甲状腺機能亢進症、高栄養状態など

Che(コリンエステラーゼ)が高値のとき、その頻度からまずは脂肪肝が考えられます。

ASTとALTを比較して、ALTが有意で上昇していれば、脂肪肝の可能性が高いです。

脂肪肝以外でChe(コリンエステラーゼ)が高値になる疾患としては、糖尿病、肥満、ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症などがあげられます。
こららの疾患は、肝細胞でのタンパク質の合成を活発にさせますので、それにつられてChe(コリンエステラーゼ)の生成も増え、結果として血中の値が高くなります。

ネフローゼ症候群の場合、尿中に大量のアルブミンが出てしまい、代償的に肝臓でのタンパク質合成が亢進します。それに伴い、Che(コリンエステラーゼ)の生成も増え、尿中に出ることのないCheは高値になります。

ただし、Che(コリンエステラーゼ)の値には個人差が大きいです(同じ人ではほぼ同じ値を示します)。
女性ではやや低く、生理や妊娠のときは低下します。老人でも値は少し低くなります。一方、小児では高くなります。

Che(コリンエステラーゼ)が低値のときに考えられる原因

Cheが低値を示す疾患
肝障害(肝硬変、肝細胞がん、劇症肝炎)、低栄養、敗血症、慢性消耗性疾患、遺伝性低Che血症、Che阻害薬、有機リン製剤中毒(農薬や殺虫剤など)など

Che(コリンエステラーゼ)が低値の場合、肝臓の予備能力(タンパク合成能力)が低下していると考えられます。

しかし、Che(コリンエステラーゼ)単独で肝臓の予備能力の判断はせず、アルブミン、PT(プロトロンビン時間)、コレステロールなども併せて評価します。

肝疾患以外でChe(コリンエステラーゼ)が低下するケースとして、有機リン酸製剤中毒、低栄養、Che阻害薬、遺伝性Che血症などがあります。

低栄養状態では、タンパク合成の能が低下し、血清アルブミンと同様、低値になるので、栄養状態の指標にも用いられています。

 

ちなみに、臨床的には、Che(コリンエステラーゼ)が高値よりも低値のほうが重要視されます。

 

というわけで今回は以上です。

 

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