クエン酸回路とはなに?できるだけわかりやすい説明をしています

クエン酸回路に興味のある人「クエン酸回路について、どこよりもわかりやすく知りたい!」

本記事では、私たち生物が生きるために必要なエネルギー物質である「ATP」をつくるためのシステム、クエン酸回路についてわかりやすく説明しています。

こんにちは、現役医療従事者のトッティ(totthi1991)です。

本記事の内容は以下のとおりです。

  • クエン酸回路とは
  • クエン酸回路の役割、材料、おこなわれる場所
  • クエン酸回路によってつくられる重要な物質

クエン酸回路とは


クエン酸回路とは生命がエネルギーをつくり出すためのシステムのことです。

もう少し詳しく説明しますと、クエン酸回路とはアセチルCoAを反応の起点(上図のようにアセチルCoAがクエン酸回路に入っていきます)とした、私たちが生きるために必要なエネルギーであるATPをつくり出すための代謝システムのことです。

上の図は、クエン酸回路の全体像です。山手線のように循環していることがわかるとおもいます。

クエン酸回路の最初の反応は、外部からやってきたアセチルCoAとオキサロ酢酸が反応するところから始まります。

ただし、後述しますが、クエン酸回路への途中参入もあるので、必ずしもアセチルCoAとオキサロ酢酸の反応がクエン酸回路の始まりとならない場合もあります。

解糖系→クエン酸回路の流れ

一例として、解糖系からクエン酸回路への流れを紹介します。

解糖系では、グルコースからピルビン酸がつくられます。

解糖系の反応まとめ

  • C6H12O6(グルコース) + 2NAD+
    2C3H4O3(ピルビン酸) + 2NADH+2H++2ATP

次に、解糖系でつくられたピルビン酸はミトコンドリア内に入っていきます。そこで、ピルビン酸はアセチルCoAに変えられます。

アセチルCoAに変えられる過程で、NADH+H+が2個つくられます。

ミトコンドリア内のマトリックスでの反応

  • C3H4O3(ピルビン酸)
    アセチルCoA + 2(NADH+H+)

そのあと、アセチルCoAはオキサロ酢酸と反応してクエン酸になります。
(これが、クエン酸回路の一番初めの反応です)。

さらに、クエン酸は、イソクエン酸酸に、次にα-ケトグルタル酸にという風に順次反応していき、最終的にオキサロ酢酸へとなります。

このような一連の反応を、クエン酸回路といいます。

クエン酸回路の名前の由来

クエン酸回路という名前の由来は、クエン酸回路の一番初めの反応(アセチルCoAとオキサロ酢酸の反応)でできる物質がクエン酸で、そして以降の反応が回路状に進行するからです。

最終的にクエン酸はオキサロ酢酸となり、また外部から新たにやってきたアセチルCoAと反応して、クエン酸回路の反応は繰り返されます。

つまり、アセチルCoAとオキサロ酢酸がある限り、クエン酸回路の反応は延々と繰り返されるということです。

クエン酸回路の役割

クエン酸回路の役割は2つあります。

  • 役割①
    → GTPをつくりだすこと
  • 役割②
    → NADH+H+とFADH2をつくりだし、これを電子伝達系にわたすこと
    ※ NADH+H+とFADH2を受け取った電子伝達系では、大量のATPがつくられます

クエン酸回路は、直接的にもATP(GTPはATPに変わります)をつくっていますが、その量はごく少量で、ATPの多くはクエン酸回路の次のATP産生システムである電子伝達系でつくられています。

NADH+H+とFADH2とは、高エネルギー物質でエネルギーが蓄えられています。このエネルギーを利用して、電子伝達系で大量のATPがつくられています。
詳細については下記の記事をご覧ください。

電子伝達体のNADとは?FADとは?【役割や種類について解説します】

2018年8月16日

クエン酸回路の材料

クエン酸回路を動かすためには、主に3つの材料が必要です。

  • 材料①:アセチルCoAなど※1
  • 材料②:酸素※2
  • 材料③:いろんな酵素

※1:アセチルCoAでなくても、クエン酸回路を構成するクエン酸やα-ケトグルタル酸などがあれば、クエン酸回路の反応は進みます(つまり、クエン酸回路の途中参入も可能です)。
※2:クエン酸回路の次の反応である電子伝達系に酸素が必要なためです。もし仮に酸素が不足してしまうと、電子伝達系の反応が進まなくなり、その結果、クエン酸回路の反応も進まなくなってしまいます。

とにもかくにも、クエン酸回路の反応を進めるためには、『アセチルCoAなどの原材料※1』が一番大切です。

実はグルコースから始まる解糖系からスタートしなくとも、クエン酸回路に、アセチルCoAやクエン酸、α-ケトグルタル酸を供給することができれば、クエン酸回路の反応を進ませることができます。
(ここでは詳細は省きますが、中性脂肪はβ酸化によりアセチルCoAになりますし、たんぱく質が代謝されてピルビン酸やα-ケトグルタル酸などになって、クエン酸回路に入っていきます)。

β酸化とは何かを世界一わかりやすく説明します

2019年1月25日

クエン酸回路の反応がおこなわれる場所

クエン酸回路は、細胞内にあるミトコンドリアのマトリックス部分でおこないます。

↓ ミトコンドリアを拡大

クエン酸回路の反応式

クエン酸回路は、アセチルCoAを起点とし、8つの反応系からなります。

以下が、クエン酸回路の反応の全てです。反応①~⑧の順に進んでいきます。

反応前反応後
反応①・アセチルCoA
・オキサロ酢酸
クエン酸
反応②クエン酸イソクエン酸
反応③イソクエン酸α-ケトグルタル酸
(別名:2-オキソグルタル酸)
反応④α-ケトグルタル酸スクシニルCoA
反応⑤スクシニルCoAコハク酸
反応⑥コハク酸フマル酸
反応⑦フマル酸リンゴ酸
反応⑧リンゴ酸オキサロ酢酸

個別の反応に関しては、下記の記事で詳しく解説しています。

クエン酸回路の反応式【すべての反応式を一つずつ解説します】

2019年2月3日

クエン酸回路によってつくられる重要な物質

クエン酸回路によってつくられる重要な物質は以下の3つです。

  1. GTP
  2. NADH+H+
  3. FADH2

1個のアセチルCoAがクエン酸回路で代謝されることによって、GTPが1個、NADH+H+のセットが3個、FADH2が1個つくられます(反応式は下記を参照)。

GTPは、ADPにリン酸基をわたしてATPになります。

NADH+H+のセットが3個、FADH2については下記の記事をご覧ください。

電子伝達体のNADとは?FADとは?【役割や種類について解説します】

2018年8月16日

補足:NADH+H+とFADH2ってなに?

NADH+H+とFADH2とは、エネルギーが蓄えられている高エネルギー物質です。

そして、NADH+H+とFADH2はATP合成のために電子伝達系に運ばれて電子とH+を渡します。

電子伝達系とは、解糖系やクエン酸回路でつくられたNADH+H+、FADH2から電子とH+を受け取り、ATPをつくる反応系です。

この電子伝達系の反応経路には2種類あります。

  1. NADH+H+から始まるもの
  2. FADH2から始まるもの

そして、

  • 1個のNADH+H+から2.5個のATPがつくられます。
  • 1個のFADH2から1.5個のATPがつくられます。

まとめ:クエン酸回路とは・役割・材料・重要な物質・おこなわれる場所

本記事の内容をまとめます。

クエン酸回路とは

  • 生命がエネルギーをつくりだすためのシステムのことです。
  • もう少し詳しく説明すると、アセチルCoAなどの物質からATPやNADH+H+とFADH2をつくりだす代謝システムのことです。

クエン酸回路の役割

  • 役割①:GTPをつくりだすことです。
  • 役割②:NADH+H+とFADH2をつくりだし、これを電子伝達系にわたすことです。
    ※ これを受け取った電子伝達系で大量のATPがつくられます。

クエン酸回路は、直接的にもATP(GTPはATPに変化します)をつくっていますが、その量はごく少量です。

実質、ほとんどのATPは、クエン酸回路の次にATP産生システムである電子伝達系(NADH+H+とFADH2を受け取ってATPをつくります)でつくられています。

クエン酸回路の材料

  • 材料①:アセチルCoAなど※1
  • 材料②:酸素※2
  • 材料③:いろんな酵素

※1:アセチルCoAでなくても、クエン酸回路を構成するクエン酸やα-ケトグルタル酸などがあれば、クエン酸回路の反応は進みます
※2:クエン酸回路の次の反応である電子伝達系に酸素が必要なため、もし仮に酸素が不足してしまうと、電子伝達系の反応が進まなくなり、その結果、クエン酸回路の反応も進まなくなります)

クエン酸回路をおこなう場所

  • 細胞内にあるミトコンドリアのマトリックス部分

クエン酸回路によってつくられる重要な物質

  1. GTP
  2. NADH+H+
  3. FADH2

というわけで今回は以上です。

クエン酸回路の次のATP産生システムである電子伝達系については下記の記事でまとめています。

簡単にわかりやすく電子伝達系を説明してみました

2018年8月19日