透析患者さんのBUN(血中尿素窒素)について

1.透析患者のBUN(血中尿素窒素:blood urea nitrogen)の基準値

BUN(血中尿素窒素)の基準値(透析前)

BUN:70~80mg/dl未満

参考:いまさら訊けない!透析患者検査値のみかた,考えかたp50

ちなみに、正常な人のBUN(血中尿素窒素)の基準値は7~23mg/dl程度です(1)。

【検査】採血項目のBUN(血中尿素窒素)とはなに?わかりやすく解説してみた

2018年12月6日

2.透析患者のBUNの評価について

通常尿素窒素は腎臓で濾過されて尿中へ排泄されますが、急性や慢性の腎不全などで腎臓の機能が低下すると、濾過しきれない分が血中に残ってしまい、尿素窒素の値が高くなります。また蛋白質の摂り過ぎ、大量の消化管出血、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、脱水症状、透析量の不足の場合も数値は上昇します。
逆に数値が低い場合蛋白の摂取不足が考えられます。その他尿素のほとんど全てを作っている肝臓の働きが悪い場合、すなわち重症肝障害、肝不全などでも数値は低くなります。

引用:じんラボ

上記のように、透析患者に限らず、腎機能が正常な人でもBUN(血中尿素窒素)はさまざまな要因で高くなったり、低くなったりします。

通常、透析患者が定期の採血でBUN(血中尿素窒素)を測定する理由は、透析前のBUNと透析後のBUNの値を比べて、透析効率を評価(→kt/V)するためです。

その他、タンパク質の摂取量の推定(→栄養状態の評価)にも使われたりします。

透析患者がBUN(血中尿素窒素)を測定する主な理由
  1. 透析効率の評価(→kt/V)
  2. タンパク質摂取量の推定(→栄養状態の評価)

2.1.BUNが高い場合

BUNが高い場合は、透析量の増加を検討します。

参考:透析ケア 2017年2月号(第23巻2号)特集:「何のために」「いつ」するの? 透析室の検査値はやわかりシート16 p25

BUNが高い場合、食事をしっかりと食べれているということと同時に、透析不足を疑います。
(→透析前後でのBUNの測定(→kt/V)は、透析不足がないかの判断に重要です。)

タンパク質をよく摂取している患者さんでは透析前のBUNが80mg/dl以上になっていることもありますので、透析効率の増加を検討します。

2.2.BUNが低い場合

BUNが低い場合、透析量を下げるのではなく、タンパク質の摂取量を増やすことで、よりよい生命予後が期待できます。

参考:透析ケア 2017年2月号(第23巻2号)特集:「何のために」「いつ」するの? 透析室の検査値はやわかりシート16 p25

BUNが低値であれば、毒素が身体から十分に抜けているため問題はなさそうに思えますが、実はこれは間違いです。

BUNの産生は、タンパク質の摂取量に大きく依存しているため、透析前のBUNが低いということは、タンパク質をあまり摂取していない、つまり食事を十分に摂取していないと考えるべきです。

ほとんど食事を食べられないという人では、透析前のBUNが20~30mg/dlという人もいます。

また、入院前の透析前のBUNが60~80mg/dlあった人でも、何らかの疾患によって入院して食欲が低下してご飯をあまり食べなくなると、透析前のBUNが20~40mg/dlにまで落ち込みます。

2.3.栄養状態の評価に用いられます

透析前のBUN(血中尿素窒素)は、中2日間に体内に蓄積したタンパク質の代謝産物の合計ですから、タンパク質の摂取量が多いとか、少ないかの評価ができます。

補足
タンパク摂取量と総カロリー摂取量は比例関係にあるため、食事がしっかり摂れているかどうかというのがわかります。

また、透析前後のBUNから計算できるnPCR(タンパク異化速度)も、タンパク質摂取量の指標になります。

しかし、BUN単独で栄養状態の指標とするべきではありません。

以下の項目などによる総合的な判断が必要です。

  1. アルブミン
    →アルブミンは栄養状態の指標になります。ただし、血中半減期が20日なのですぐには変化しません。
  2. 血清トランスフェリン
    →栄養評価法のMISでは、その中の一つの項目になっています。
  3. クレアチニン
    →筋肉量の指標になります。
  4. %クレアチニン産生速度(%CGR)
    →筋肉量の指標になります。
  5. 血清コレステロール
    →低コレステロールは栄養障害の指標になります。

以降は、BUN(血中尿素窒素)と尿素についての補足説明になります。

興味のある人のみごらんください。

BUN(血中尿素窒素)とは?

BUN(blood urea nitorogen)とは

BUN(血中尿素窒素)とは、尿素のなかに含まれている窒素量のことです。

尿素とBUN(血中尿素窒素)は別物ですので注意してください。

尿素とBUN(血中尿素窒素)
  1. 尿素 → H2NCONH2という分子式で、分子量は60です。
  2. 尿素窒素 → N2という分子式で 分子量は28です。

尿素とは

 

尿素は体内の老廃物の代表格です。

補足
尿素は、医学的にはアンモニアの無毒化という重要な役割をはたした結果できたものになります。

尿素のつくられ方

尿素のつくられ方
  1. 不要なタンパク質
    ↓(分解)
  2. アミノ酸
    ↓(脱アミノ)
  3. アンモニア
    ↓(尿素サイクル)
  4. 尿素

摂取したタンパク質や体を構成しているタンパク質は、役割を終えるとアミノ酸に分解されます。

アミノ酸から、脱アミノによってアンモニア(NH3)がつくられます。

アンモニアは体内では有害なため、肝臓で尿素に変えられます。

最終的にできた尿素は、分子量60の低分子量物質であるため、腎臓の糸球体で濾過されて、尿として排泄されます。

上記のように、不要なタンパク質に含まれている窒素原子Nを処理するために、尿素がつくられています。

ポイント

生物にとっては「不要な窒素原子Nを処理すること」が重要であり、尿素というのはその一つの「手段」です。

それでは今回は以上です。

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