電子伝達体のNADとは?FADとは?【役割や種類について解説します】

「ATP合成のための立役者である電子伝達体(NAD+とFAD)について詳しく知りたい」

本記事では電子伝達体のNAD+とFADについて詳しく解説します。

本記事の内容

  • 電子伝達体とは?
  • どうして電子を運ぶとATPがつくられるのか?
  • どうして水素に含まれる電子を運ぶのか?
  • 電子伝達体の種類【酸化型と還元型】
  • NAD+とFADの水素との反応式

電子伝達体とは?


電子伝達体とは水素の持つ電子を運ぶ物質のことです。

その名のとおり、電子を運ぶので「電子伝達体」と呼ばれています。

代表的な電子伝達体

  • NAD+(ニコチン酸アミドジヌクレオチド)
  • FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド

※ 電子をもらう前を「酸化型電子伝達体」、電子をもらった後を「還元型電子伝達体」と呼びます。

電子伝達体の役割

電子伝達体の役割は、水素の持つ電子を運ぶことです。

どうして電子を運ぶ必要があるのかといいますと、私たちの身体にとっての大切なエネルギー源である「ATP」をつくりだすためです。

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簡単にATPについて説明すると、
ATPとは、私たちが身体を動かしたり、心臓の拍動、胃腸の運動、そして代謝(体内における化学反応のこと)をおこなったりするときに必要となるエネルギーを蓄えている物質のことです。

このATPの大半は電子のもつエネルギーによってつくりだされています。

たとえば、電気を流すと蛍光灯が光ったり、電気製品を動かしたりすることができます。

  • 電気エネルギーを熱エネルギーに変換:アイロン、トースター、ドライヤーなど
  • 電気エネルギーを運動エネルギーに変換:電気自動車、電車
  • 電気エネルギーを光エネルギーに変換:蛍光灯
  • 電気エネルギーを音エネルギーに変換:スピーカー

実はこれと同じことが私たちの身体のなかでもおこなわれていて、電子が流れたエネルギーをATPに変換しています。

ですので、人間は電気で動く電気製品ともいえます。

どうして水素のもつ電子なのか?

水素の持つ電子を運ぶ理由は単純で、糖質や脂肪に含まれる原子の中には炭素や窒素がありますが、その中で水素は最も電子を取り出しやすいからです。

その理由をここでは説明します。

  • H(水素原子) ⇒ H+(水素イオン) + e(電子)

水素の構造

水素原子は、陽子(プロトン)と電子(エレクトロン)で構成されています。

しかし、一般的な原子の構造には、下のヘリウム原子のように中性子(ニュートロン)があります。

こうみると、中性子(ニュートロン)がない水素原子(※1)は特別な原子です。
(※1)ただし中性子をもつ水素原子もあります。

  • 陽子:プラスの電荷をもっています
  • 電子:マイナスの電荷をもっています
  • 中性子:電荷をもっていません

水素は反応性が高いので電子を取り出しやすい

一般的に、価電子をもつ原子は反応性が高いです。

水素原子は価電子を1個もっているため反応性が高いです。

一方のヘリウム原子の価電子は0個なので、反応性が低い原子です。

  • 価電子:最外殻電子のうち、反応に使われる電子のこと
  • 最外殻電子:最も外側の電子殻にある電子のこと
  • 電子殻:電子の回る軌道のことで、内側からK殻、L殻、M殻となっています。

例えば、水素に炎を使づけると、ボンっと爆発します。一方のヘリウムに炎を近づけても反応しません。

つまり、価電子をもつ水素は空気中の酸素と反応しやすく、価電子をもたないヘリウムは酸素と反応しにくいということです。

このように、水素原子は化学反応を起こしやすい原子ですので、電子の放出もしやすく、電子を取り出すのにうってつけの原子だということです。

電子伝達体の種類【NAD+とFADを紹介します】

電子伝達体として有名なものは2つあります。

  • NAD+(ニコチン酸アミドジヌクレオチド)
  • FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)

酸化型と還元型

NAD+とFADには、酸化型と還元型がありまして、酸化型はまだ電子を受け取っていない状態、還元型は電子を受け取った状態です。

  • 酸化型:電子をまだ受け取っていない状態
  • 還元型:電子を受け取った状態

NAD+とは

NAD+(ニコチン酸アミドジヌクレオチド)は、電子を運ぶ電子伝達体です。

読み方は「なっど」と呼びます。

還元型のNADHは「などえいち」と呼びます。

NAD+の電子の受け取りの反応式

NAD+は、2個の水素原子(2H)と反応して上の図のような反応をします。

つまり、1個の水素原子は、電子のみをNAD+に渡しNADになります。そして水素イオン(H+)が遊離します。残り1個の水素原子はそのままNADと結合してNADHとなります。

したがって、NAD+は2個の電子を運ぶことができます(NADHは2個の電子を預かっている状態です)。

FADとは

FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)も電子を運ぶ電子伝達体です。

読み方は「エフエーディー」と呼びます。

還元型のFADHは「エフエーディーエイチ」と呼びます。

FADの電子の受け取りの反応式

FADは、2個の水素原子(2H)と反応して上の図のような反応をします。

こちらのほうは反応式も単純で、FADH2は2個の電子を運んでいます。

 

というわけで今回は以上です。