簡単にわかりやすく電子伝達系を説明してみました

「電子伝達系についてわかりやすく知りたい!」

本記事では電子伝達系について、どこよりもわかりやすく解説しています。

本記事の内容

  • 電子伝達系とは
  • 電子伝達系は、解糖系やクエン酸回路で得られたものを利用しています
  • 電子伝達系でATPがつくられる仕組み

電子伝達系とは簡単にいえば、ATP(アデノシン三リン酸)をつくるためのシステムです。

上記のツイートのように、私たちは食べ物から直接エネルギーをもらってるわけではなくて、いったんATPという形にしてからエネルギーを得ています。

このATP(アデノシンリン酸)をつくるための反応は、以下の3つのシステムがあります。

  1. 解糖系
  2. クエン酸回路
  3. 電子伝達系

この中でもっとも大量にATPをつくるのは電子伝達系です。

例として、グルコース1個からつくられるATPの量は、「解糖系で2個のATP」「クエン酸回路で2個のATP」「電子伝達系で28個のATP」です。

このように、ATPのほとんどはは電子伝達系でつくられています。

今回はそんな、ATP合成の主役である電子伝達系について解説しようと思います。

電子伝達系とは

電子伝達系とは、解糖系やクエン酸回路でつくられた「NADH+H+やFADH2」を材料に、効率的にATPをつくるためのシステムのことです。

ちなみに、ATP(アデノシンリン酸)をつくるための反応は、以下の3つのシステムがあり、電子伝達系でもっとも大量にATPがつくられます。

  1. 解糖系
  2. クエン酸回路
  3. 電子伝達系

それでは、電子伝達系を説明する前に、かるく解糖系とクエン酸回路について簡単に説明します。

解糖系について

解糖系とは、グルコース(C6H12O6)を分解して、ピルビン酸(C3H4O3)や乳酸をつくるシステムのことです。

この過程で、NADH+H+のセットが2個とATPが2個つくられます。

※ NADH+H+は、電子伝達系に運ばれて、電子とH+を渡し、ATP合成に利用されます。

解糖系の反応式まとめ

  • C6H12O6(グルコース)+2NAD+ → 2C3H4O3(ピルビン酸)+2NADH+2H++2ATP

解糖系とはなに?できるだけわかりやすく簡単に説明をしています

2018年7月15日

クエン酸回路について

クエン酸回路とは、アセチルCoAを反応の起点とした、私たちが生きるために必要なエネルギーであるATPをつくるためのシステムのことです。

解糖系によってつくられたピルビン酸(C3H4O3)は、好気的条件下において、ミトコンドリアに入ります。
そして、アセチルCoAへと変えられます。
ちなみに、ピルビン酸がアセチルCoAに変えられる過程で、NADH+H+が1個つくられます。

クエン酸回路の反応が一周すると、NADH+H+のセットが3個、FADH2が1個、GTPが1個つくられます。

クエン酸回路の反応式まとめ

  • アセチルCoA + 3NAD+ + FAD + GDP + H3PO4 + 2H2O
    → 2CO2 + CoASH + 3(NADH+H+) + FADH2 + GTP

※ GTPは、ADPにリン酸基をわたしてATPになることが可能です。
※ NADH+H+やFADH2は、電子伝達系に運ばれて、電子とH+を渡し、ATP合成に利用されます。

かなりややこしい反応式ですが、下記の記事でクエン酸回路の個別の反応について解説しています。

クエン酸回路の反応式【すべての反応式を一つずつ解説します】

2019年2月3日

クエン酸回路の概要をわかりやすく知りたい方は下記の機序をご覧ください。

クエン酸回路とはなに?できるだけわかりやすい説明をしています

2018年7月25日

電子伝達系は、解糖系やクエン酸回路でつくられたNADH+H+とFADH2をつかってATPを合成しています

ATPのほとんどは電子伝達系でつくられています。

しかし、だからといって電子伝達系だけあればいいのかというとそんなことはなく、電子伝達系で大量のATPをつくるためには、解糖系やクエン酸回路でNADH+H+とFADH2をつくる必要があります。

ですので、解糖系やクエン酸回路も重要です!

電子伝達系に運ばれる「NADH+H+とFADH2」ってなに?

簡単に説明すると、NADH+H+やFADH2は電子とH+を運ぶ化合物です。

NADH+H+やFADH2は電子とH+を電子伝達系に供給して、ATPを合成しています。

ちなみに、電子を運ぶ前の状態を酸化型、電子を運んでいる状態を還元型といいます。

電子を運ぶ前の状態(酸化型)電子を運んでいる状態(還元型)
NAD+NADH+H+
FADFADH2

電子伝達体のNADとは?FADとは?【役割や種類について解説します】

2018年8月16日

簡単にわかりやすく電子伝達系を説明します

電子伝達系とは、解糖系やクエン酸回路でつくられたNADH+H+やFADH2から電子とH+を受け取って、効率的にATPをつくるためのシステムのことです。

電子伝達系の反応式まとめ

  • 10NADH+10H++2FADH2+6O2 → 10NAD++2FAD+12H2O+28ATP

※上記の反応式は、グルコース1個が「解糖系→クエン酸回路」と反応していったときの場合になります。

この反応式をみてわかるとおり、NADH+H+やFADH2から、28個もの大量のATPがつくられています。

つまり、グルコース1個は、最終的に電子伝達系で28個のATPに変わります。

電子伝達系の反応の流れをわかりやすく解説します

電子伝達系の実際の反応の流れは以下のとおりです。

  • 段階①:解糖系やクエン酸回路でつくられたNADH+H+とFADH2がミトコンドリアの内膜に運ばれてぶつかります。
  • 段階②:内膜にぶつかった衝撃で、e(電子)とH+(水素イオン)が飛び出します。
  • 段階③:飛び出したe(電子)は内膜の中を流れていきます。
  • 段階④:H+(水素イオン)が、内膜を流れる電子のエネルギーにより膜間腔に移動します。
  • 段階⑤:膜関空に大量のH+(水素イオン)がたまっていきます。
  • 段階⑥:膜関空にたまった大量のH+(水素イオン)がマトリックスに移動するときのエネルギーでATPがつくられます。

それでは順を追って説明していきます。

段階①:NADH+H+やFADH2がミトコンドリアの内膜に運ばれてぶつかります

NADH+H+やFADH2は、ミトコンドリアの内膜に運ばれ、ミトコンドリアの内膜にあるたんぱく質とぶつかります。

段階②:内膜にぶつかった衝撃で、e(電子)とH+(水素イオン)が飛び出します

ミトコンドリアの内膜にぶつかったNADH+H+やFADH2からe(電子)とH+(水素イオン)が切り離されます。

切り離された電子は、内膜の中を流れていきます。

一方の水素イオンは、内膜の内側に移動します。

段階③:飛び出したe(電子)は内膜の中を流れていきます

NADH+H+やFADH2から飛び出た電子は、ミトコンドリアの内膜の中を流れていきます。

電子の流れることで、内膜にある物質と酸化還元反応を次々に起こしていきます。

この酸化還元反応によって、エネルギーが発生します。

  • 酸化:電子を失うこと
  • 還元:電子を得ること

段階④:H+(水素イオン)は膜間腔に移動します

内膜を流れる電子によって引き起こされた酸化還元反応のエネルギーを利用して、H+(水素イオン)が膜間腔に移動します。

一部のH+は、ミトコンドリアの内膜を流れる電子と反応し水素(H2)となり、さらに酸素(O)と反応し、水(H2O)ができます。

段階⑤:膜間腔に大量のH+(水素イオン)がたまっていきます

「段階①~④」の反応が繰り返され、膜間腔に大量のH+(水素イオン)がたまっていきます。

段階⑥:膜間腔にたまったH+(水素イオン)がマトリクスに移動するエネルギーからATPをつくります

膜間腔にたまったH+(水素イオン)反発し、内側に戻ろうとします。

この勢いはすさまじく、ものすごいパワーでH+(水素イオン)が内膜をとおって、マトリックスにいこうとします。このときのエネルギーによってATPがつくられます。

ここで28個もの大量のATPがつくられます(グルコース1個から解糖系をスタートした場合の最終的な収支)。

 

といった感じで、NADH+H+やFADH2から電子伝達系でATPがつくられています。

 

というわけで今回は以上です。