脂肪が身体に悪いという常識は、企業によってつくられた嘘です

「脂肪は、心臓病の原因になったり、肥満になりやすかったりするんでしょ?」

 

 

残念ながらこれは大きな間違いです。

本記事では

  • 油は身体に悪い
  • 油を食べると身体の脂肪が増える
  • 動物性の脂肪より植物性の脂肪のほうが健康的
  • コレステロールは減らしたほうが健康的

こういった間違った常識が、いつにつくられたものなのか、どうしてつくられたのかを教えます。

1.脂肪が身体に悪いといわれ始めたのはいつから?【脂肪悪玉説のはじまり】

1960年代までに、2つの対抗する説が唱えられていました。

1つめの説;一例としてイギリスのジョン・ユドキン博士を紹介します。

糖の摂り過ぎが、冠動脈性心疾患の原因になる。by ジョン・ユドキン博士

 

2つめの説:一例としてアメリカのアンセル・キーズ博士紹介します。

飽和脂肪酸やコレステロールは、冠動脈性心疾患の原因になる。 by アンセル・キーズ博士

この2つの説のうち、世間の常識として取り入れられたのは、2つめの説のアンセル・キーズ博士らの説です。

ちなみに、飽和脂肪酸やコレステロールは動物性の脂肪に多く含まれている脂質です。ですから、キーズ博士らの説が採用されるようになってから、「動物性の脂肪=身体に悪い」というイメージが世間の中に浸透していきました。

それでは、どうしてキーズ博士らの説のほうが採用されたのか。その理由を、これから説明したいと思います。

1-1.どうしてアンセル・キーズらの説が常識となったのか

これには、当時の業界団体の思惑が影響しています。

砂糖研究財団(当時)は、ユドキンス博士らの説(糖質は心臓病の原因になる)を封じ込めるために、あることをします。

それは、自分たちにとって都合のいいキーズ博士らの研究を中心に集めたレビュー論文を有名誌に発表させることです。

  • レビュー論文とは
レビュー論文は掲載済みの他の論文をもとにして作成します。未発表の研究を報告するのではありません。

実行役は、ハーバード大学のマーク・ヘグステッド博士を中心とする何人かの研究者です。

今では、ヘグステッド博士らは、砂糖研究財団から現在の価値で5万ドルの賄賂を受け取っていたことがわかっています。

 

その結果、1967年にハーバード大学のマーク・ヘグステッド博士らにより以下のレビュー論文が発表されました。

食事中の飽和脂肪酸とコレステロールの割合を減らし、多価不飽和脂肪酸の割合を増やすことが心臓の健康のためになる。一方、炭水化物の関与はわずかである。
ちなみに、多価不飽和脂肪酸というのは、植物に多く含まれている脂肪酸のことです。 by マーク・ヘグステッド博士

ようするに、心臓病の原因は動物性の脂肪のせいにし、糖の影響はあまりないとした(糖に対して甘い評価をつけた)ということです。

このレビュー論文は、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)誌』という、医学界のトップジャーナルで発表されたため、決定的になりました(有名誌で発表されると、科学的議論が決定的になることが多いです。そういう意味で、砂糖業界がやったことは頭がいいといえます)。

そしてこれ以降、脂肪は身体に悪いという常識が誕生し、ユドキンス博士らのいっていた説(糖は心臓病の原因になりうる)は完全に無視される形となってしまいました。

このヘグステッド博士らのレビュー論文が強力なバックグラウンドとなり、米国は「炭水化物(糖質)は摂ってもいいけど、脂質は減らしましょう」、という簡単すぎる米国生活ガイドラインを出しました。

こうして脂肪は米国の敵となりました。

 

2.脂肪が身体に悪いという常識が誕生した以降のはなし

当時の砂糖研究財団は、研究者(ヘグステッド博士ら)に賄賂を渡すことで、自分たちにとって都合のいいレビュー論文を有名誌に掲載させることに成功しました。

そうして『脂肪(動物性)=身体に悪いもの』というイメージと『糖質はそこまで身体に悪くない』という2つのイメージを世間に植え付けさせました。

その結果、アメリカ人は2型糖尿病と肥満になる人が爆発的に増えました。

2-1.脂肪を減らすと、炭水化物(糖質)の摂取量が増える

脂肪を食事から減らすと、その分の代わりとして炭水化物(糖質)で置き換える必要があります。

つまり、糖質の摂取量が増えます。

なぜなら「低脂肪食品」をつくるときには、脂質を除去するために糖質で置き換える必要があるからです。

そして、「低脂肪食品(脂質を除去する代わりに糖質で置き換えた食品)」という新たなジャンルをつくりだし、健康のいいという触れ込みとともに砂糖業界は売り上げを伸ばします。

味もおいしく(糖質が入っているので)、安くできて(糖質は原価が安い)、健康にもいいと触れ込み(脂質が少ないので)だったので、当時、低脂肪食品は大ブームを巻き起こしました。

それがそのまま、日本へと伝わりました。
日本でも、低脂肪〇〇という食品を目にしますよね。なんとなく健康にいいイメージがあるかもしれませんが、それは砂糖業界が儲けるためにしかけた嘘が始まりだったんです。

2-2.炭水化物(糖質)の摂取量が増えた結果、どうなったか

アメリカ政府のデータによると、1970年以降、アメリカ人の脂肪の摂取量が減り、炭水化物(糖質)の摂取量は増えていきました。

つまるところ、世間の人は、肉、卵、チーズ(動物性の脂肪)を避けて、パンやパスタなどの穀物、果物、イモなどの糖質の多い野菜をアメリカ人はたくさん食べるようになりました(そのほうが健康に良いと信じられていたので)。

問題は、これらの食品(炭水化物(糖質))は分解されてブドウ糖となり、インスリンが分泌されることです。

インスリンは、別名「肥満ホルモン」ともいわれていて、体内の体脂肪を増やす働きがあるホルモンです。その結果、肥満になり、あるいは2型糖尿病患者になったり、心臓病が増えていきました。

 

3.現在の脂肪と糖質の認識

現在では、糖質は心臓病や肥満、2型糖尿病の原因になることがわかっています。

脂肪に関しては、心臓病とは関係ないとする研究報告が多数発表されたり、脂肪はその種類がとくに重要であるといわれています。

ですから、脂肪悪玉説はもはや常識ではありません。企業の利益のために私たちの中に植え込まれたイメージです。

 

まとめ

以上、脂肪が身体に悪いという私たちのイメージ、常識は、企業が儲かるためにつくられた「嘘」であったということです。

こういった事実は、マスコミではあまり報道されにくいです(食品業界はマスコミのスポンサーなので、スポンサーの不利益となる報道はしにくい)。

なのでしっかり自分の頭でしっかり情報をつかんで考えていくことが大事です。

それでは今回は以上です。

ちなみに、脂肪は身体にとってなくてはならない栄養素なんですが、なんでもかんでも脂肪だったら良いというわけではありません。下記の本は、脂肪に関して、かなり詳しくまとめているのでオススメです。

 

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