卵をいくら食べても、血中のコレステロール値はたいして上がらない!?

こんにちは、現役医療従事者のトッティ(@totthi1991)です。

健康診断で医者からこんなことを言われたこと経験はありませんか?

「コレステロールが高いから気をつけなさい」

血中コレステロール値が高いと血管が硬くなり(動脈硬化)、心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスクになります。

そのためコレステロールが高くならないよう、食事から卵や肉などを控えることが大事と、以前は考えられていました。

先日、上記ツイートをしました。このとおり、アメリカだけでなく、日本でも(日本人の食事摂取基準(2015年版)から)、コレステロールの摂取基準が撤廃されました。

つまり、食べもののコレステロール量をそこまで神経質に気にしなくてよくなったということです。

その昔、卵はコレステロールの含有量が多いため、食べ過ぎはよくないとされていました。「卵は1日1個まで」というふるい教えを守っている方も少なくないと思います。

 

しかし、現在は健康な人なら食事から摂ったコレステロールは、血液のコレステロール値にはそこまで影響を与えないだろうという事実が判明しています。

そのため日本は、日本人の食事摂取基準(2015年版)からコレステロールの摂取上限値を撤廃しています。

「日本人の食事摂取基準」から、コレステロールの摂取基準が撤廃

そもそも「日本人の食事摂取基準」ってなに?

厚生労働省が、国民の健康のために「日本人の食事摂取基準」を設定していて、栄養素の摂取量や上限量を定めています。

ちなみに5年おきに改定されています。

どう変わったの?

  • 日本人の食事摂取基準
2010年版
  1. コレステロールの摂取上限
    ・成人男性:750mg/日
    ・成人女性:600mg/日
  2. 摂取下限はなし
    これ以上減らしてはいけないということ。
    つまり、極端にいうとコレステロールは摂取しなくても問題ないという意味
2015年版
  1. 摂取上限はなし
  2. 摂取下限はなし

 

コレステロールの摂取上限が撤廃された理由

コレステロールは体内で合成できる脂質であり、12~13mg/kg 体重 /日(体重50kgの人で600~650mg/日)生産されている。摂取されたコレステロールの40~60%が吸収されるが、個人間の差が大きく遺伝的背景や代謝状態に影響される。
このように経口摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内で作られるコレステロールの1/3~1/7を占めるのに過ぎない。
また、コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に少なく摂取するとコレステロール合成は増加し、末梢への補給が一定に保たれるようフィードバック機構が働く。このためコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではない。

引用:日本人の食事摂取基準「脂質」p125

 

つまり、コレステロールは体内で合成できて、体内のコレステロールの70~80%は肝臓で合成されたものであるということ。そして、食事から摂取されるコレステロール20~30%にすぎないということです。

また、コレステロールを食事から多く摂ると、体内でつくられるコレステロールが減ります。逆に食事からコレステロールを少なくすると、体内でつくられるコレステロールは増えます。

 

ですので、食事でコレステロールを摂ったからといって、そのまま血中のコレステロールが比例的に増えていくわけではないということです。

  1. 体内のコレステロールの70~80%は肝臓で合成されたもの
  2. 食事からコレステロールを多く摂っても、その分、肝臓でつくられるコレステロールが減る
  3. 食事からコレステロールを減らすと、その分、肝臓でつくられるコレステロールが増える
こういった理由から、厚労省の「食事摂取基準(2015年版)」から、コレステロールの摂取上限が撤廃されました

また、厚労省は以下のようにいっています。

「コレステロールの摂取量は控えめに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた」

とのことのようです。

ただし、食べすぎには注意を

だからといって、コレステロールを好きなだけ食べるのは止めたほうがよさそうです。

厚労省が言っているのは、「コレステロールは好きなだけ食事から摂ってもいいですよ」ということではなく、どれだけの量を摂取すれば血中のコレステロール値に影響がでるのか数字が出せないということです。

なので、現状ではコレステロールの制限は特にありませんが、馬鹿みたいに食べるのは止めるべきでしょう。

以下の疾患をお持ちの人は注意してください。

  1. 高コレステロール(LDLコレステロール、non HDLコレステロール)血症
  2. 高トリアシルグリセロール(中性脂肪、トリグリセライド)血症
  3. 低HDLコレステロール血症
  4. 糖尿病
  5. 高血圧症
上記と診断されている人は、注意が必要です。

上記の疾患の共通項は、動脈硬化によって起こる心筋梗塞や脳梗塞の危険因子だということです。

日本動脈硬化学会は、以下のように述べています。

現在、高血圧や糖尿病、喫煙など他の動脈硬化疾患の危険因子をお持ちでなく、LDLコレステロール値が高くない方は、現在の食事内容でコレステロールを制限する必要はありません。

しかしながら、飽和脂肪酸はLDLコレステロール値を増やすことが知られています。コレステロールを多く含む動物性食品は同時に飽和脂肪酸を多く含みますので、このような動物性食品を摂りすぎないことをお勧めします。

そしてLDLコレステロール値が高い人についてはこれまでどおり、食事でのコレステロール摂取制限が必要であり、同時に飽和脂肪酸についても必要です。

日本動脈硬化学会 コレステロール摂取に関するQ&A

すでにLDLコレステロール値が高い人に関しては、今まで通りコレステロールの制限が必要です。

また、心筋梗塞や脳梗塞の危険因子をもっている人に関しては、コレステロールを多く含む食品の摂りすぎが、同時に飽和脂肪酸も多く摂りすぎてしまうこととなってしまいます。その結果、動脈硬化のリスク因子であるLDLコレステロール値を増やしてしまうので、摂りすぎないことを勧めています。

最後に

従来、コレステロールの摂取量は厳しく制限されていました。

しかし、コレステロールの摂取量と血中のコレステロール値にはそこまで強い因果関係がないとして、日本人の食事摂取基準(2015年版)より、摂取上限が撤廃されました。

だからといって、卵を何個食べてもいいのかというとそんなことはありません。

摂取基準撤廃は、どちらかというと、どれだけのコレステロールを食事から摂れば、血中のコレステロール値が上昇するのか、はっきりとしたデータを出すことができないという意味合いのほうが強いです。

少なくとも、昔のように、卵を食べすぎれば、血中のコレステロール値がガンガン上がって心筋梗塞のリスクが上がって大変ですよ、という簡単な話しはなくなりました。

ですので、卵を過剰に食べすぎさえしなければ、血中のコレステロール値に関してはそこまで神経質にならなくてもよさそうです。

コレステロールとは何ですか?わかりやすく説明してみた

2018年5月9日

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です