こんにちは、現役医療従事者のトッティ(@totthi1991)です。
巷ではMCTオイルやココナッツオイルが「健康に良い油」として注目を浴びています。
僕自身、健康のためにコーヒーにMCTオイルを入れて毎朝飲んでいるんですが、
一方で「身体に悪いんじゃないのか」というネット記事をたまにみかけます。毎日健康に良いと信じて飲んでいる自分としては結構一大事。
ということで今回、「MCTオイルの悪いところ」をまとめてみました。
目次
1.MCT(Medium Chain Triglyceride=中鎖脂肪酸)オイルとは

中鎖脂肪酸100%のアブラのことをMCTオイルといいます。中鎖脂肪酸は、ココナッツやパームヤシの種子からとることができます。 |
中鎖脂肪酸ってなに?ってひとは、「【超基礎】食品中に含まれる脂質の種類まとめ」をご覧ください。
簡単に説明すると、三大栄養素の一つに脂質があります。この脂質の一種に脂肪酸というのがあります。脂肪酸は、分子の長さにより「短鎖脂肪酸」「中鎖脂肪酸」「長鎖脂肪酸」に分けることができます。
一般的なアブラに含まれる長脂脂肪酸にくらべて、中鎖脂肪酸は約半分の長さです。半分の長さだからこそ、性質が大きく違ってきています。
ちなみに、牛乳や母乳にも中鎖脂肪酸は含まれています。
2.MCTオイルのデメリットとその理由
デメリット1 動脈硬化の原因になる?
MCTオイルは飽和脂肪酸という種類に分類されます。飽和脂肪酸は昔から、動脈をつまらせて心臓病の原因となると長年信じられてきました。
飽和脂肪酸が多く含まれる他の油脂と比較すると
ココナッツオイル | 約80% |
バター | 約60% |
豚肉のラード | 約40% |
牛脂 | 約50% |
と、圧倒的に他の油脂に比べてココナッツオイルは飽和脂肪酸が多いです。
この2017年6月16日付けのUSA TODAYの記事(アメリカ心臓協会の研究報告)では、「ココナッツオイルは飽和脂肪酸が多く、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やし心血管疾患の原因となる」と結論づけています。
この報告者のフランク・サックス博士は、「なぜ大勢の人たちがココナッツオイルが健康的だと考えているのかわかりません。ココナッツオイルのほとんどが脂肪です」と述べています。
しかし最近では「飽和脂肪酸が心臓病を引き起こす有力な証拠はない」
さらには、「飽和脂肪酸の摂取量が多いほど心筋梗塞や脳梗塞になりにくい」とする研究も多数報告されています。
まったく正反対の研究報告が出ていますが、
個人的には、なにごともやりすぎは良くないと思います。私の場合は肉を食べる量を少し減らしたりしています。
デメリット2 MCTオイルは環境ホルモン?
ココナッツオイルには、男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン」の分泌を減らすと報告している論文があります。
簡単に説明すると、男性ホルモンの一種「テストステロン」を同じく男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」に変換する酵素があるんですが、この酵素の働きをココナッツオイルは弱めてしまうらしいです。
つまり体内のホルモンの働きに影響を与えるため、環境ホルモンだということです。
しかしこの「ジヒドロテストステロンの生成を減らすことで、ハゲの改善になる」と一般的にいわれていて、これを減らすサプリメントなんかもあります。
「でも男性ホルモンが減るんだから、性欲とか勃起不全とかになるんじゃないの?」って思うかもしれませんが、
性欲を上げたり、骨格や筋肉、男性らしさなどをつくっているのは「テストステロン」のほうで、こっちのほうを減らすというわけではないので問題はないです。むしろ一般的に有害だと思われているジヒドロテストステロンを減らしてくれるんで、個人的には良いことだと思います。
本来ホルモンは体内でのみつくられて、人間の身体の調整のために働いています。しかし人間の身体の外、つまり私たちが暮らしている環境のなかにあり、それが身体の中に入ることでホルモンと同じような働きをして、ホルモンに影響を与えてしまう。このような物質のことを環境ホルモンといいます。 |
デメリット3 お腹がゆるくなる
過剰摂取したり最初のうちはお腹がゆるくなることがあります。
自分自身も飲み始めたうちは少しお腹がゆるくなりましたが、今ではそれもなくなりました。
デメリット4 ココナッツは南国原産
東洋医学には「身土不二(しんどふじ)」という考えがあります。簡単にいうと、その土地にあったもの、季節にあった食べものを食べるのがもっとも健康的だということです。
その点、ココナッツの油は南国原産であるので、私たち日本人には体質的に合わないんじゃないかというはなしです。
まとめ
MCTオイルには、糖質をエネルギーを主体とした状態から、ケトン体を主体としたエネルギーへとエネルギー転換を叶えるために有効な「脂肪」です。
しかし一方で、飽和脂肪酸の含有量が他の油脂に比べて圧倒的に多いため、悪玉コレステロールを増やし心疾患の原因となったり、
男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」を減らしたりする(個人的にはこのホルモンは減らしたほうがいいと思いますが)環境ホルモンの作用があり、マイナスの面も一部報告されています。
このプラスの面とマイナスの面は、食べる量や使い方によって当然違ってきます。また自身の体調もみながら(食べものは個人に合う合わないが必ずあります)、常に最新の情報を収集し、最終的には自己責任で利用するしかないと思います。
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