
本記事では、下記の内容を解説します。
- 果糖(フルクトース)の代謝について
- 果糖(フルクトース)が身体に悪い理由
この記事は、主に以下の書籍を参考にして執筆しております。
1.果糖(フルクトース)の代謝

果糖(フルクトース)の代謝は主に肝臓でおこなわれています。
(参考:生化学 人体の構造と機能 2 系統看護学講座 専門基礎分野 / 三輪一智 〔全集・双書〕)
1.1.肝臓での果糖(フルクトース)の代謝について

肝臓での果糖(フルクトース)の代謝の概要は上の図のとおりです。
次に、酵素のフルクトース-1-リン酸アルドラーゼにより、ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに分割されます。
最後に、グリセルアルデヒド-3-リン酸をへて解糖系へ入っていきます。
解糖系に入ってからの、果糖(フルクトース)の主な用途は以下の4つです。
- 解糖系でそのままエネルギーとして利用
- アセチルCoAをへて、脂肪酸合成→最終的に中性脂肪合成
- グリコーゲンに変換
- 解糖系を逆行(糖新生)してグルコースに変換
2.果糖(フルクトース)の代謝【新説】

2018年2月6日号Cell Metabolismに掲載された最新の論文(1)によると、従来考えられていたように果糖(フルクトース)は小腸で吸収後すぐに肝臓に送られて、そこで代謝されるのではなく、一定の量であればほぼ全てが小腸で代謝されることを示しています。
この研究の概要は以下のとおりです。
- 果糖(フルクトース)を追跡するため、アイソトープ(炭素13)で標識した果糖(フルクトース)をマウスに摂取させた。
- その結果、
①一定の量であればほぼ全ての果糖(フルクトース)は小腸の細胞で代謝されることが明らかになった。
②小腸で代謝された果糖(フルクトース)の大半はグルコース、一部は有機酸などに変換されていた。
※ ただし、過剰な果糖(フルクトース)を摂取させた場合、小腸で処理できなかった果糖(フルクトース)は肝臓に送られて、通説どおり肝臓で代謝されます。一部は腸内細菌でも代謝されます。
すなわち、果糖(フルクトース)は小腸で吸収後すぐに肝臓に送られて代謝されるという従来の通説は間違いであり、一定の量であればほぼ全てが小腸で代謝されるとのことです。
このように、果糖(フルクトース)の代謝に関しては、グルコースとは違い、未知の部分が多く、まだはっきりとしたことはわかっていません。
3.果糖(フルクトース)が身体に悪い理由

果糖(フルクトース)を多く含む果物は一般的に身体にいいといわれています。
そして、果糖(フルクトース)はブドウ糖に比べて非常に早く代謝されやすく、新説では小腸でほとんどが代謝されます。
しかし、小腸で代謝しきれなかった分は肝臓に流入して、速やかに中性脂肪に変えられて、脂肪肝や肥満、血中の中性脂肪濃度上昇の原因になります。
加えて、急速に代謝されやすい特徴があるので、非常に中性脂肪に変わりやすいです。
また、小腸や肝臓で代謝しきれず全身の血液中に流れている果糖(フルクトース)は、ブドウ糖よりも数十倍AGEsをつくりやすいといわれており、動脈硬化、老化、認知症、ガン、高血圧などの原因にもなります。
つまり、果物の大量摂取は間違いなく身体に悪いということです。
まとめますと、大量の果糖(フルクトース)の摂取によって、以下の2つのリスクが高くなります。
- 脂肪合成を促進する
大量の果糖(フルクトース)を摂取すれば、代謝されやすい果糖(フルクトース)は肝臓で急速に代謝され、中性脂肪に合成され、脂肪肝や肥満、血中の中性脂肪濃度上昇の原因になります。 - AGEsの大量発生
小腸や肝臓で代謝しきれなかった果糖(フルクトース)は、全身でAGEsをつくりだし、動脈硬化、老化、認知症、ガン、高血圧などの原因になります。
とくに、ソフトドリンク含まれてるぶどう糖果糖液糖や果糖ぶどう糖液糖のように、液体として果糖(フルクトース)を直接取り込むと、大量に摂取しやすく、また吸収率も高くなり悪影響が大きので注意してください。
3.1.果物は嗜好品です
ぶどう糖果糖液糖や果糖ぶどう糖液糖が大量に入っているソフトドリンクを飲むのは、明らかに過剰摂取ですのでNGです。
しかし、果物についてはビタミンや抗酸化物質が豊富に含まれているので、NG食品とするのには微妙なところです。
当ブログの見解としては、生の果物をたまに少量食べる程度であればそこまできにしなくてもいいのでは?と考えています。
あくまで嗜好品という位置づけで楽しみましょう。
どうしても気になるという方は、果糖(フルクトース)の含有量が少ないアボカド、レモン、ライム、グレープフルーツあたりがおすすめです。
というわけで今回は以上です。