糖新生とはなに?できるだけ簡単にわかりやすい説明をしています(1/2)

「糖新生について、どこよりもわかりやすく知りたい!」

本記事では、体内でグルコースをつくって血糖値を維持するためのシステム、糖新生についてわかりやすく説明しています。

本記事の内容
  • 糖新生とは
  • 糖新生によって血糖値を維持しなければならない理由
  • 糖新生の材料
  • 糖新生の反応の全体像

1.糖新生とは

糖新生の概要

糖新生とは

グルコース以外の物質(アミノ酸、乳酸、グリセロール)からグルコースをつくる仕組みのことを糖新生といいます。

参考:生化学―人体の構造と機能〈2〉 (系統看護学講座 専門基礎分野)

ざっくりといえば、糖新生とは糖質以外のものからグルコースを合成するために、解糖系を逆行する経路のことです。

解糖系とはなに?できるだけわかりやすく簡単に説明をしています

2018年7月15日

2.糖新生の役割

人体にはエネルギー源として

  1. グルコース(→ATP)
  2. 脂肪酸(→ATP)
  3. ケトン体(→ATP)
などがあります。

【簡単】ATP(アデノシン三リン酸)とは何?構造や意味などを分かりやすく説明してみた

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このように、人体のエネルギー源はグルコース以外もあるため、最悪グルコースはなくてもいいのでは?と思うかもしれません。

しかし、ミトコンドリアを持たない赤血球では、グルコースしかエネルギー源にすることができません。

補足
人体において赤血球だけがミトコンドリアをもたないのでクエン酸回路や電子伝達系がありません。
ですので脂肪酸や脂肪酸からつくられるケトン体をエネルギー源として使うことができません。
つまり、赤血球は解糖系によってグルコースから得られるエネルギーのみに依存しています。

赤血球にエネルギーを供給することができなければ、赤血球は死んでしまい、全身に酸素を運ぶことができなくなります。
ですので、最低限度の血糖値というのは必要です。

少なくとも赤血球のため、血糖値が下がったときに最低限のグルコースを自前で調達して、血糖値を上げる必要があります。

そのためのシステムが「糖新生」です。

補足
脳はグルコースしかエネルギー源にしかできないといったことを言う人がいますが、それは間違いでして、脳はケトン体(脂肪酸を分解してできる物質)もエネルギー源として使うことができます。
ただし、ケトン体だけですべてまかなっているかというとそんなことはなく、なんだかんだいいつつグルコースをメインのエネルギー源としています。
つまり、脳にとっても一定以上の血糖は必要です。
また、脳だけでなく網膜や生殖腺胚上皮など、一部の細胞ではグルコースを主なエネルギー源としています。
補足
糖質を制限すると血糖値は徐々に低下していきます。初めのうちは肝臓において、グリコーゲンを分解してグルコースをつくり、ある一定の範囲で血糖値は維持されます。
しかし、グリコーゲンの備蓄は少なく、食事をとらないと12時間くらいですぐになくなってしまいます。
このような状況になっても血糖値を維持できるように「糖新生」があります。
目安として、食後3時間ぐらいから糖新生のシステムが働きはじめます。

2.1.最低限度の血糖値を維持しなければいけない2つの理由

糖新生は、外部から糖質の摂取がなくても、最低限度の血糖値を維持するためのシステムです。

ここでは、どうして最低限度の血糖値を維持しなければならないのか、その主な理由をまとめておきたいと思います。

理由①

身体の中で赤血球のみミトコンドリアをもたないので、がグルコースしかエネルギーとして使えないから

先ほどにも説明したように、赤血球はミトコンドリアを持たず、解糖系でしかATPをつくることができません。

また、脳や網膜、生殖腺胚上皮など、一部の細胞ではグルコースを主なエネルギー源としています。

ですので血中に一定のグルコースがかならず必要です。

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2018年7月15日
理由②

グルコースが様々な材料の化合物になるから

グルコースはエネルギー源としてだけでなく、化合物の材料としても重要です。

特に重要なのは、核酸(DNA、RNA)や電子伝達体(NAD、FAD)の材料としての利用です。

3.糖新生の材料

糖新生の概要

糖新生の概要

糖新生の材料となる物質は以下のうちのどれかです。

糖新生の材料となる物質
  • アミノ酸
  • 乳酸
  • グリセロール(グリセリン)

これらの材料は血中に放出されて肝臓に運ばれた後、糖新生がおこなわれます。

この中で、糖新生の材料としてもっともよく使われてるのが「アミノ酸」です。
(糖新生の90%はアミノ酸が使われています。)

糖新生に至るまでの過程は以下のようになります(上の図もあわせて参照)。

  1. 筋肉において
    タンパク質→アミノ酸→血中→肝臓→糖新生→グルコース→必要とする組織へ供給
  2. 脂肪組織において
    中性脂肪→グリセロール(グリセリン)→血中→肝臓→糖新生→グルコース→必要とする組織へ供給
  3. 赤血球や筋肉において
    乳酸→血中→肝臓→糖新生→グルコース→必要とする組織へ供給
①~③は、日常的にわたしたちの身体でおこなわれていることです。
補足
糖新生は主に肝臓でおこなわれています。
その他、腎臓と小腸でもおこなわれています。

3.1.アミノ酸

アミノ酸の基本構造

筋肉の中にあるたんぱく質の分解によって発生するアミノ酸が、糖新生のメインの材料になります。

ちなみに、自然界にはアミノ酸は500種類ほどあるんですが、私たちの身体にあるたんぱく質の原料になるアミノ酸はわずか20種類です。

その中でも、糖新生の材料になるアミノ酸は18種類で、糖新生の材料になるアミノ酸ということで、「糖源性アミノ酸」と呼ばれています。

糖源性アミノ酸(全部で18種類)

アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン

3.2.乳酸

乳酸は、赤血球や嫌気的状態の筋肉などでグルコースの分解(解糖系)によって生じます。

解糖系(嫌気状態の場合)
1モルのグルコース → 2モルの乳酸 + 2モルのATP

上記の反応のように、乳酸は嫌気状態(酸素が十分にないとき)における解糖系で、ピルビン酸を介してつくられています。

補足
筋肉中に蓄積した乳酸は主に肝臓に運ばれて、糖新生の材料として使われています。

3.3.グリセロール(グリセリン)

中性脂肪の構造

グリセロール(グリセリン)は、トリグリセリド(中性脂肪)の加水分解によって生じます。
(上の図はトリグリセリド(中性脂肪)の構造図です。)

4.糖新生をおこなう場所

糖新生は主に肝臓でおこなわれています。

肝臓は、空腹時や夜間において、糖新生によりグルコースをつくりだし、血糖値を維持しています。

食事により糖質を摂取して血糖値が上がると、糖新生によるグルコースの生産が抑制されます。

補足
その他、腎臓と小腸でもおこなわれています。

5.糖新生の反応の全体像

上の図は、かなり大まかな糖新生の反応の流れ(上の図のオレンジの矢印)を示したものになります。

冒頭のほうでもはなしたように、解糖系を逆行していることがわかるかと思います。

糖新生とは
糖新生とは糖質以外のものからグルコースを合成するために、解糖系を逆行する経路のことです。

しかし、解糖系をそのまま逆行することはできませんので、一部迂回路を通ったりします(上図の「迂回路」のところです)。

いずれにしても、糖新生の材料である「アミノ酸」「乳酸」「グリセリン」は、経路はさまざまですが、クエン酸回路や解糖系の一部を介しつつ、上の図の頂上の「グルコース」を目指して反応が進んでいきます。

それでは今回は以上です。

糖新生の各材料別(アミノ酸、グリセリン(グリセロール)、乳酸)の反応については下記の記事をごらんください。

糖新生の反応の流れを図を多用してわかりやすく、詳しく解説しています(2/2)

2018年11月15日