セリアック病と小麦アレルギーの違いを超わかりやすく解説してみました

こんにちは、現役医療従事者の「とってぃ」といいます。

 

今回は、セリアック病小麦アレルギーの違いを超わかりやすく解説したいと思います。

 

1.セリアック病と小麦アレルギーの大きな2つの違い

1つ目の違い:セリアック病は自己免疫疾患で小麦アレルギーはアレルギー疾患なので根本的に違う

 

まず、グルテンが引き起こす病気は「グルテン関連障害」として上の図のように、セリアック病小麦アレルギーグルテン過敏症の3つにまとめることができます。

ちなみにグルテンとは、小麦やライ麦、大麦などの穀物に含まれているたんぱく質のことです。

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セリアック病小麦アレルギーの両方ともグルテン関連障害のうちの一つなんですが、

  • セリアック病は、自己免疫疾患
  • 小麦アレルギーは、アレルギー

という根本的な違いがあります。

 

2つ目の違い:原因となるたんぱく質が少し違う

セリアック病小麦アレルギーの原因となる食べ物はご存知のとおり『小麦』です。

小麦に含まれるある種のたんぱく質に対して、私たちの身体はセリアック病であったり、小麦アレルギーであったりを引き起こす原因となります。

 

ようするに、セリアック病小麦アレルギーとで、原因となるたんぱく質に少し違いがあるということです。

セリアック病の場合:グルテンというたんぱく質のみが原因物質

小麦アレルギーの場合:グルテンを含む、それ以外のたんぱく質も原因物質になりうる

ちなみに、小麦に含まれるたんぱく質として、グリアジン、グルテニン、アルブミン、グロブリンなどが代表的です。グルテンとは、グリアジンとグルテニンを水でこねると生成される物質です。

関連記事:グルテンとは何か?グルテニンとグリアジンの特徴【定義】

小麦アレルギーの場合、グルテン以外の小麦に含まれるたんぱく成分(アルブミン、グロブリンなど)にも反応してしまう可能性があります。さらに、ライ麦や大麦にも、小麦に含まれるたんぱく質と似たような構造のたんぱく質が含まれているのでなかには症状が出てしまう人もいます。

グルテンのみが原因物質となりうるセリアック病の人も注意が必要です。大麦やライ麦にはグルテンと似たたんぱく質が含まれていますのでセリアック病の人は、こららの麦類を避ける必要があります。

 

いずれにせよ、セリアック病小麦アレルギーの人にとって小麦はもちろんのこと、大麦やライ麦といった麦類全般危険だということです。

 

  • まとめ
  • セリアック病の原因物質はグルテンのみです。そしてグルテンは小麦に含まれているので絶対に避けなければなりません。そのうえ、大麦やライ麦などの穀物にもグルテンに似た構造のたんぱく質が含まれているので避けなければなりません。
  • 小麦アレルギーの原因物質は小麦などに含まれるたんぱく質です。もう少し詳しくいうと、小麦に含まれるたんぱく成分(グルテン、アルブミン、グロブリンなど)が原因物質です。これらは小麦以外のライ麦や大麦にも似たような構造のたんぱく質が含まれているので、こららに対して反応してしまう人もいます。ですから他の麦類にアレルギーが出ないか確認する必要があります。しかし小麦アレルギー全ての人が、必ずしも大麦やライ麦にもアレルギー症状がでるとは限りません。

 

2.自己免疫疾患とアレルギーの違いってなに?

簡単に両者を説明すると、自己免疫疾患アレルギーはどちらも「私たちの身体の免疫の故障」のことです。

 

  • そもそも免疫とは

免疫とは、わたしたちの身体を守るための身体のシステムのことです。

もし仮に、私たちの身体に免疫というシステムがなければ、すぐに身体は腐ります。生の肉とかその辺に置いておくとすぐ腐りますよね。これと同じことが私たちの身体で起きないようにするために、免疫というものがあります。ようするに、細菌やウイルスといった異物を排除するためのシステムのことです。

風邪をひいたときに病原菌をやっつけたり、追い出すことができるのも免疫があるおかげというわけです。

とにかく免疫っていうのは、「私たちの身体を陰ながらも守ってくれているとても有難いもの」だということです。

 

しかし私たちにとってとても有難い免疫というシステムが故障してしまうことがあります。

こういったときを自己免疫疾患アレルギー疾患といっています。

 

それではもう少し詳しく両者の違いを説明したいと思います。

 

2.1 自己免疫疾患とは

自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。

  • 自己免疫疾患の原因は不明です。
  • 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。

一部引用:MSDマニュアル家庭版「自己免疫疾患」

 

免疫の本来の役割は、異物を排除することで身体をまもることです。

異物:細菌、ウイルス、寄生虫、がん細胞、移植された細胞など

このような異物のことを、専門的には「抗原」といいます。通常は抗原に対してのみ免疫系は反応します。

しかし自己免疫疾患の場合、自分自身の組織を「抗原」として認識してしまいます。その結果、自分自身の組織を破壊し、そして炎症が起こったりして、それがさまざまな症状につながっていきます。

 

2.2 アレルギーとは

私たちの体には、自分の体の成分と違う物、例えば、細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉などが体の中に入ってくるとこれを異物として認識して攻撃し排除する仕組みがあります。これを「免疫」と呼んでいます。アレルギー反応も広くは免疫反応の一部ですが、異物に対して反応する際に自分の身体を傷つけてしまう場合をアレルギー反応と呼んでいます。

一部引用:一般社団法人 日本アレルギー学会 一般の皆様へ「アレルギーを知ろう」

ようするにアレルギーとは、過剰に免疫系が反応してしまうことです。

 

2.3.自己免疫疾患とアレルギーの違いのまとめ

一応どちらも同じ免疫反応の一種ではあるが、以下の違いがあります。

自己免疫疾患自らの組織を異物だと間違って認識してしまい、攻撃してしまう免疫反応のこと
アレルギー異物(とくに身体に害と思われない異物(例えば花粉とか))に対する過剰な免疫反応のこと

 

まとめ

セリアック病は、小麦などに含まれるグルテンというたんぱく質のみが引き金となって起こる自己免疫疾患です。詳しくはこちらの記事『いまさら聞けないセリアック病とは?グルテンが腸を破壊する!?』に書いています。小麦だけでなく、大麦やライ麦にもグルテンと似たたんぱく質が含まれています。

小麦アレルギーは、小麦に含まれるたんぱく成分(グルテン、アルブミン、グロブリンなど)に対するアレルギー反応です。大麦やライ麦などにも、小麦のたんぱく成分と似ているたんぱく質が含まれているので、人によっては症状が出る人もいます。

 

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