こんにちは、現役医療従事者のとってぃです。
小麦に含まれるグルテンが原因で起こる病気はグルテン関連障害として、①セリアック病、②小麦アレルギー、③グルテン過敏症の3つに分けることができます。
これら疾患を避けるためにする食事法は、グルテンフリーといわれていて海外のセレブや一流スポーツ選手で実践者も多くいます。
1.セリアック病とは違う
セリアック病と小麦アレルギーは根本的に違います。
- セリアック病は、自己免疫疾患
- 小麦アレルギーは、アレルギー
セリアック病は自己免疫疾患なので、小麦アレルギーとは違います。小麦アレルギーの場合、食べるとすぐ湿疹とか出たり、顔が腫れたりとすぐに症状が出ます。セリアック病の場合、グルテンを食べると小腸が傷ついてしまう自己免疫疾患です。体調に不調を感じたり、場合によっては別の病気の原因にもなります。
詳しくは下記記事を読んでみてください。
≫セリアック病と小麦アレルギーの違いを超わかりやすく解説してみました
この記事では、小麦アレルギーについて書いていきます。
1.アレルギーとは?
アレルギーとは過剰な免疫反応のことです。
- 免疫とは
私たちの身体に元々備わっている、私たちの身体を守るためのシステムのことです。 |
仮に、私たちの身体にこの免疫というシステムがなければ、すぐに身体は腐ってしまいます。
生の肉とかその辺に置いておくとすぐ腐りますよね。これと同じことが私たちの身体で起きないようにするために、免疫という優れたシステムがあります。ようするに、細菌やウイルスといった異物を排除するためのシステムのことです。
具体的に免疫がなにをしているのかというと
- 細菌、ウイルス、寄生虫、がん細胞などを身体から排除
上記のことを免疫は行っています。
そして、アレルギーとは過剰な免疫反応のことです。
例えば、花粉症なんかはアレルギーの代表的なものですよね。しかし花粉症は、確かに私たちの身体にとって異物なので、これを身体から排除するために免疫反応が起こることはある意味当然なことです。
しかしその免疫反応が、明らかに過剰な場合。つまり、止まらない鼻水、止まらないくしゃみ、鼻が腫れあがって鼻呼吸できなくなる、といった症状が出た場合、あきらかに免疫が暴走しすぎているといえます。
こういったときのことを、『アレルギー』といいます。
- つまりアレルギーとは
本来、有害だと思われていない体外由来の物質(例えば花粉、食べ物、ホコリなど)に対する過剰な免疫反応のこと |
ただ、アレルギーの定義はかっちりとして決まっているというわけでなく、わりとふわっとしているので、上記のイメージをもっていれば問題ありません。
2.食物アレルギーとは
私たちの口にする食べものは、基本的に異物です。なので、異物を排除するための免疫反応が起こってしまいます。これでは困りますので、胃や腸で消化酵素によって、細かく食べ物を分解してから吸収してやります。
たんぱく質でいえばアミノ酸といった具合に食べ物を分解してやることで、私たちの身体はこれらを異物として認識することはありません。
しかしある特定の食べ物を食べたときに、過剰な免疫反応を起こしてしまう人がいます。
これを食物アレルギーといいます。
3.食物アレルギーとは
アレルギーは、即時型アレルギーと遅延型アレルギーの大きく2つに分けることができます。
一般的に食物アレルギーといわれているのは、即時型アレルギーのほうになります。
種類 | 機序 | 症状出現時間 | 主な症状 |
---|---|---|---|
即時型アレルギー |
| 直後から2時間以内にみられることが多いです。 | 蕁麻疹、湿疹、下痢、咳、ぜーぜーなどの症状 |
遅延型アレルギー |
| 数時間以降に出現します。 | 主に湿疹や掻痒などの皮膚症状 慢性的な疲労感や頭痛、眠気、周遊力の低下など様々な症状 |
3.1 即時型アレルギー
アレルギーとなる原因物質(花粉、ホコリ、食べ物など)が体内に入ってくると、IgE抗体というたんぱく質がつくられます。アレルギーとなる原因物質は個人で違っていて、例えば牛乳を飲むと牛乳に対するIgE抗体をつくる人、卵を食べると卵に対するIgE抗体をつくる人というのがいます。
- 抗体とは
抗体は、異物と結合して、この異物を体外に排出するたんぱく質のことです。 |
3.1.1.即時型アレルギーのメカニズム

即時型アレルギー反応は、マスト細胞とIgE抗体が主に関わっています。
マスト細胞は、皮膚・腸粘膜・気管支粘膜・鼻粘膜などにいる免疫細胞の一種です。
食べたものは、胃や小腸で細かく分解され吸収されて、血液にはいります。
血液の流れにのった食べものは、血管を介して皮膚や粘膜などに到達。そこにいるマスト細胞の上にくっついているIgE抗体とくっつきます。
これがトリガーとなって、マスト細胞からヒスタミンなどが放出されてアレルギー反応が起こります。
3.2 遅延型アレルギー
遅延型アレルギーは、一般的な食物アレルギーと発症のメカニズムがちがいます。
一般的な食物アレルギーでは、さきほどいったようにIgE抗体が発症にかかわっていますが、遅延型では、IgG抗体という、別の種類の抗体によって発症しているといわれています。
ただし、このIgG抗体が関与している遅発型アレルギーに関しては、その診断について現在否定的です。2014年の日本小児アレルギー学会刊行の、「食物アレルギーハンドブック 2014 子どもの食に関わる人々へ」において、IgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。米国や欧州のアレルギー学会でも同様に否定されています。
理由としては、食べもののIgG抗体は正常な人でも陽性になることがあります。
この正常な人が、過度な食べもの制限をしてしまい、小児の成長障害や栄養失調などおこしてしまう危険性があるから、日本小児アレルギー学会は否定しているんだと思います。
日本アレルギー学会もこの考えを支持していると後に発表しています。(2015年3月1日)
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