解糖系の代謝経路のすべて【10種類の酵素の役割も併せて紹介】

解糖系の反応を一つずつ知りたい人「解糖系の代謝経路のすべてを知りたいなぁ。併せて必要な酵素やミネラル、ATPのやり取りなんかも知りたい!」

本記事では、解糖系の代謝経路について一つずつ紹介しています。

こんにちは、現役医療従事者のトッティ(totthi1991)です。

本記事は、下記の書籍を参考にして執筆しております。

1.解糖系の代謝経路のすべて【10種類の酵素の役割も併せて紹介】

解糖系の代謝経路は全部で10段階あります。

それでは解糖系の代謝経路を一つずつ解説していきます。

解糖系の代謝経路を一つずつ解説

1段階目:①グルコース→②グルコース6-リン酸

細胞内に入ったグルコースは、ATPからリン酸基をつけられ(=リン酸化され)グルコース6-リン酸になります。

※リン酸化とはリン酸基をつけられることです。

この反応はヘキソキナーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:ヘキソキナーゼ(転移酵素)
  • 必要なミネラル:Mg2+
  • 反応時にATPを消費

※転移酵素は官能基を交換する反応を触媒します。

2段階目:②グルコース6-リン酸→③フルクトース6-リン酸

グルコース6-リン酸は、配置換えされ(=異性化され)フルクトース6-リン酸になります。

※異性化とは原子の配列が変化して別の分子に変換することです。

この反応はグルコース-6-リン酸イソメラーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:グルコース-6-リン酸イソメラーゼ(異性化酵素)

※異性化酵素は化合物中の原子のつながり方を変える反応を触媒します。

3段階目:③フルクトース6-リン酸→④フルクトース1,6-ビスリン酸

フルクトース6-リン酸は、ATPからリン酸基をつけられ(=リン酸化され)フルクトース1,6-ビスリン酸になります。

この反応はホスホフルクトキナーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:ホスホフルクトキナーゼ(転移酵素)
  • 必要なミネラル:Mg2
  • 反応時にATPを消費

4段階目:④フルクトース1,6-ビスリン酸→④´ジヒドロキシアセトンリン酸+⑤グリセルアルデヒド3-リン酸

フルクトース1,6-ビスリン酸は、ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸に分割されます。

この反応はアルドラーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:アルドラーゼ(除去付加酵素)

※除去付加酵素は物質のある部分を除去したり付加したりする反応を触媒します。

5段階目:④´ジヒドロキシアセトンリン酸→⑤グリセルアルデヒド3-リン酸

ジヒドロキシアセトンリン酸は、配置換えされ(=異性化され)グリセルアルデヒド3-リン酸になります。

この反応はトリオ―スリン酸イソメラーゼが触媒となり、グリセルアルデヒド3-リン酸になります。

  • 必要な酵素:トリオ―スリン酸イソメラーゼ(異性化酵素)

6段階目:⑤グリセルアルデヒド3-リン酸→⑥1,3-ビスホスホグリセリン酸

ここまではATPを消費しながら代謝が進んできましたが、グリセルアルデヒド3-リン酸がエネルギー的にマックスですので、以降の代謝はエネルギーを放出しながら代謝が進んでいきます。

グリセルアルデヒド3-リン酸は、アルデヒド基の酸化、およびリン酸化され1,3-ビスホスホグリセリン酸になります。

この反応はグリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素が触媒となります。

アルデヒド基の酸化時に取り除かれた水素Hは、NADへと移り、NADH+H+となります。

  • 必要な酵素:グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(酸化還元酵素)
  • 必要な電子伝達体:NAD

※酸化還元酵素は電子の授受のある反応を触媒します。

電子伝達体のNADとは?FADとは?【役割や種類について解説します】

2018年8月16日

7段階目:⑥1,3-ビスホスホグリセリン酸→⑦3-ホスホグリセリン酸

1,3-ビスホスホグリセリン酸からリン酸基がADPへと移ってATPがつくられ、3-ホスホグリセリン酸になります。

この反応はホスホグリセリン酸キナーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:ホスホグリセリン酸キナーゼ(転移酵素)
  • 反応のときにATPが生成

8段階目:⑦3-ホスホグリセリン酸→⑧2-ホスホグリセリン酸

3-ホスホグリセリン酸は、配置換えされ(=異性化され)2-ホスホグリセリン酸になります。

この反応はホスホグリセリン酸ムターゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:ホスホグリセリン酸ムターゼ(異性化酵素)

9段階目:⑧2-ホスホグリセリン酸→⑨ホスホエノールピルビン酸

2-ホスホグリセリン酸は、脱水され(H2Oが抜けて)ホスホエノールピルビン酸になります。

この反応はエノラーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:エノラーゼ(除去付加酵素)
  • 必要なミネラル:Mg2

10段階目:⑨ホスホエノールピルビン酸→⑩ピルビン酸

ホスホエノールピルビン酸からリン酸基がADPへと移ってATPがつくられ、ピルビン酸になります。

この反応はピルビン酸キナーゼが触媒となります。

  • 必要な酵素:ピルビン酸キナーゼ(転移酵素)
  • 反応のときにATPが生成

解糖系を実質的に調節している酵素【律速酵素は3つ】

解糖系の律速酵素は以下の3つです。

  1. ヘキソキナーゼ
  2. ホスホフルクトキナーゼ
  3. ピルビン酸キナーゼ

これらはアロステリック調節を受ける酵素で、解糖系の速度調節で重要な役割を担っています。

※律速酵素とは、反応系において、その系全体の速さを調節するように働く酵素のことです。一般的に律速酵素は活性が低いです。

※アロステリック調節とは、酵素にリガンドが結合することで、酵素の形が変化し、酵素活性が調節されることです。

解糖系の代謝に必要なビタミンとミネラル

ビタミンB1はピルビン酸がアセチルCoAに変換されるために必要

解糖系でつくられたピルビン酸は、好気的条件下ではミトコンドリアに取り込まれてからアセチルCoAになります。

この反応を触媒する酵素はピルビン酸酸脱水素酵素複合体です。

さらにこの反応には以下の5種類の補酵素が必要です。

  • チアミンピロリン酸(TPP)
    ビタミンB1の活性型
  • CoASH
  • NAD
  • FADリポ酸

とくに、糖質の摂りすぎでビタミンB1が大量に消費されてしまった結果おこる病気である脚気(=ビタミンB1欠乏症)が重要です。

日露戦争ではビタミンB1不足により大量の死者が発生

江戸時代後期以降、日本人は雑穀ではなく白米を食べるようになりました。

それ以降、足の浮腫やシビレ、知覚異常などがみられる「脚気」が国民病になりました。

※脚気とはビタミンB1の欠乏症のことで、末梢神経障害や心不全をきたします。当時、脚気が国民病となった理由は、国民の食事が白米中心に偏ってしまったためにビタミンB1が不足してしまったからです。

とくに日露戦争で国外へ派遣された軍隊ではさらに高率で発生し、敵の銃弾で死んだ兵士数よりも、脚気によって死んだ兵数のほうが多かったそうです(日露戦争での戦病死者4万人弱のうち、脚気による死亡者が3万人弱だったとされています。)

※兵隊になれば白米を腹いっぱいに食べられるのというのが当時の軍隊の大きな魅力でした。これによって徴兵忌避を避けたり、士気を高めたりしていました。

つまり、炭水化物(糖質)をエネルギーとして正常に代謝させるためにはビタミンB1が必須だということです。

もし、ビタミンB1が不足すると、ピルビン酸は乳酸に回るほうが多くなります。

その結果、糖質からエネルギーをうまくつくることができなくなり、疲れやすくなります。また、とくにエネルギーを多く消費する神経や筋肉での不調の原因になったり、重症化すれば心不全を起こして死に至ることもあります。

ビタミンB1のサプリは効果が出やすい

このようにビタミンB1は糖質の代謝にダイレクトに関わっていますので、サプリとして摂取すると非常に早く効果を実感できます。

個人的には、ビタミンB群のサプリを愛用しはじめてから格段に疲れにくくなりました。

Now Foods, B-50
ご使用の目安
健康補助食品として、食事と一緒に毎日1錠取る。

 

こちらはnow社のビタミンB群のサプリです。

かなり有名なので愛用している人も多いかもしれません。

ビタミンB群がそれぞれ50mg含まれていまして、かなりざっくりとした処方ですが、十分に効果を感じられます。

Mg2+は解糖系の代謝に必要

解糖系の酵素のうち、下記の酵素の活性にはMg2+が必要です。

  • ヘキソキナーゼ
  • ホスホフルクトキナーゼ
  • ホスホグリセリン酸キナーゼ
  • エラノーゼ
  • ピルビン酸キナーゼ

このように、Mgは解糖系の代謝に必須のミネラルです。

また、Mgは体内の300以上の酵素反応に関与しているので、不足すると身体の根本からガタガタになり、下記のように様々な症状の原因となります。

  • 不眠
  • 鬱状態
  • 疲れやすくなる
  • イライラ
  • 頭痛(筋緊張性頭痛)
  • まぶたがピクピクする
  • 不整脈
  • 心疾患

というわけで、サプリメントでミネラルを補充するなら、まずはマグネシウムが基本だよね、というくらい身体の代謝を根本から支えている大切なミネラルです。

サプリメントを使う場合は、吸収率の高いクエン酸マグネシウムを選びましょう。吸収率の悪い酸化マグネシウムは、吐き気や下痢の原因になりますのでおすすめしません。

下記のサプリの場合、一粒あたり400mgのマグネシウムが含まれているので、1日1粒ほど飲めば十分かと思います。

Now Foods, マグネシウムキレート
商品説明
マグネシウムは、エネルギー生産と代謝、筋肉の収縮、神経興奮の伝達、骨石灰化に重要な鉱物です。これは推定で300もの酵素に必要な補因子です。これらの酵素によって呼び起こされる反応には脂肪酸合成、タンパク質合成、グルコース代謝が含まれます。マグネシウムは副甲状腺への影響やカルシウムバランスの調節にも重要です。

マグネシウムの働きを代謝の観点から解説します   

2018年10月28日

というわけで今回は以上です。