健康に良い脂肪と悪い脂肪の見分け方【動植物油の構成や成分も併せて紹介】

「健康に良い脂肪や悪い脂肪とかって聞くけど、どうやって判断すればいいのか知りたい!」

本記事ではこの疑問に答えます。

1.脂肪の栄養価は「①脂肪酸組成+②微量成分」で決まります

中性脂肪(≒トリグリセリド)の構造

そもそも、動物や植物に含まれる脂肪のほとんどは中性脂肪です(中性脂肪の構造は上の図になります)。

そして、脂肪の栄養ひょうとしては、中性脂肪の構成成分である脂肪酸の種類によっておこなわれています。

油脂の栄養評価は、従来、主として脂肪酸組成に基づいて行われてきた。しかし、脂肪酸組成のみでは説明できない生理作用が、動物実験で明らかになってきた。
(中略)
(前略)オリーブ油やパーム油はラットにおいて用量依存的に発がん促進作用を示し、この作用も脂肪酸組成では説明できず、微量成分によると解釈されている(15,16)。

引用:日本脂質栄養学会 食用油脂安全性委員会 委員長 大原直樹「脂質性の栄養成分および原材料名の表示について」

と、まぁこんな感じで、サラダ油や動物の脂といった油脂の栄養評価は主に以下の2点でおこなわれます。

油脂の栄養評価法
  1. 脂肪酸組成
  2. 微量成分

ですので、身体に良い脂肪や悪い脂肪の判断は「1.脂肪酸組成」と「2.微量成分」をみればいいというわけです。

脂肪酸の基本的な構造や特徴についてわかりやすく解説します

2018年4月30日

1.1.油脂 ≒ 動植物に含まれる脂肪 ≒ 中性脂肪

「油脂」という言葉が使われることがありますが、厳密な定義はありません。

一般的には、「油脂=中性脂肪(≒トリグリセリド)」としていることが多いです。

補足
中性脂肪(≒トリグリセリド)とは、糖やアルコールが体内で代謝されてできたグリセロールに、3個の脂肪酸が結合したものです。
動植物に含まれる脂肪のほとんどが中性脂肪ですので、「動植物に含まれる脂肪≒油脂」という認識で問題ありません。

また、油脂にはその名が示すとおり、油(oil)と脂(fat)とがありますが、普通は以下のような使い分けがされています。

  • 油(oil)→主に常温時に液体である植物油や魚油
  • 脂(fat)→主に常温時に固体である動物性脂肪

2.脂肪(植物油や動物の脂肪)の成分について

中性脂肪(≒トリグリセリド)の構造

植物油や動物性脂肪の主要な成分は中性脂肪(≒トリグリセリド)です。

植物油や動物性脂肪の主要成分

植物油や動物の脂に含まれる脂肪=ほとんど中性脂肪

この中性脂肪のうち、9割を占めているのが脂肪酸です。

そして、この脂肪酸の種類が油脂の栄養学的質を決定しています。

当然ですが、油脂(≒中性脂肪)の種類によりこの脂肪酸の組成が大きく違っています。

ようするに身体の良い油を摂りましょうというのは、ある特定の種類の脂肪酸に偏らず、バランスよく摂りましょうといっているわけです。

3.脂肪の主成分である脂肪酸の体内での役割

体内での脂肪酸の役割は主に以下の4つです。

脂肪酸の役割
  1. リン脂質に取り込まれて細胞膜の材料になる
  2. 神経細胞の材料になる
  3. 体内のエネルギー源になる
  4. ホルモンやビタミンDの材料になる

3.1.細胞膜の材料

私たちの身体には60兆個以上もの細胞があります。

この細胞の膜の材料は以下の3つです。

細胞膜の材料
  • リン脂質 ← リン脂質の構成要素として脂肪酸が含まれています。
  • コレステロール
  • たんぱく質

1つ1つの細胞膜をつくるのに脂肪酸がつかわれています。

この細胞膜を通して、栄養素を細胞内に吸収したり、逆に老廃物を排出しています。

ですので、良い脂肪をとれば立派な細胞膜ができあがります。

3.2.神経細胞の材料

脳の重さは約1.3kgあり、乾燥させるとその成分の60%は「脂肪」でできています。
(残り40%はたんぱく質です。)

ですので、脳にとって脂肪というのは特に重要なわけです。

良い脂肪を摂ればよい神経細胞がつくられ、ひいては脳の健康にもいいというのはいうまでもありません。

3.3.体内のエネルギー源となる

脂肪酸は糖新生の材料となります。

糖新生とは
糖新生は、糖質以外の物質からブドウ糖をつくるシステムのことです。
これにより、食事から糖質を摂らなくても、ある一定の血糖値が維持されます。

ですので、取りすぎによる有害性が指摘されている糖質を無理に摂る必要はありません。

近年話題となっている「糖質制限」は、この考え方に基づいています。

糖新生とはなに?できるだけ簡単にわかりやすい説明をしています(1/2)

2018年11月6日

3.4.ホルモンやビタミンDの材料となる

コレステロールの一部は脂肪酸と結合して細胞の中に貯蔵され、ステロイドホルモンやビタミンDの原料になります。

4.脂肪を構成する主要な脂肪酸

「日本脂質栄養学会」と「厚労省の日本人の食事摂取基準(2015年版)」において、脂肪を構成する主要な脂肪酸として以下の4分類を挙げています(1)。

脂肪を構成する主要な脂肪酸
  1. 飽和脂肪酸群
  2. 一価不飽和脂肪酸群
  3. オメガ6(リノール酸やアラキドン酸など)群
  4. オメガ3(α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)など)群

ここでは詳細は省きますが、脂肪の質をみる場合、上記の脂肪酸に注意してみてください。

そもそも脂肪酸ってなに?って方は下記の記事をごらんください。

脂肪酸の基本的な構造や特徴についてわかりやすく解説します

2018年4月30日

まとめ:脂肪は色んな成分でできています

脂肪は三大栄養素の一つなので重要な栄養素です。

しかし、脂肪ならすべて同じということはなく、その成分が重要となってきます。

具体的には、脂肪酸の成分比率がポイントです。

そして、ある特定の脂肪酸に偏ることなく、バランスよく脂肪酸を摂りましょう。

それでは今回は以上です。