こんにちは、現役医療従事者のトッティ(@totthi1991)です。
現在は糖質制限を実践しつつ、様々な栄養に関することを学んでいます。
ただ、糖質制限は食事から糖質だけを制限すればいいのかというとそんな単純なはなしではありません。
積極的に摂っていかなければならない栄養素というものがあります。
それは「肉と魚」です。
先日下記のツイートをしました。
肉や魚からたんぱく質はしっかり摂るべきです。
理由は、アミノ酸スコアが植物性のものに比べて高いからです。アミノ酸スコアとは、必須アミノ酸の含有率を数値(最大値100)で表したものです。
例えばアミノ酸スコアが100だと、必須アミノ酸がバランスよく含まれているということを意味しています。— トッティ/医療従事者 (@totthi1991) 2018年9月4日
上記のように、肉と魚は良質なたんぱく源であり、しっかり摂るべきです。
本記事ではその理由を説明していきます。
目次
1.肉や魚からたんぱく質はしっかり食べる必要があります

肉や魚などから動物性のたんぱく質はしっかり食べるべきです。
理由は単純でして、肉や魚はアミノ酸スコアが非常に高いからです。
それでは順を追って説明していきます。
1.1.アミノ酸の種類

上記はアミノ酸の基本構造式で、赤字のR部分がアミノ酸の種類ごとに違っています。
このアミノ酸が無数に結合し、いろんな種類のたんぱく質が、わたしたちの身体の中でつくられています。
(あくまで、人間の身体でつくられるたんぱく質の材料になるアミノ酸の種類が20種類ということで、体内に存在するアミノ酸が20種類ということではありません)
この20種類のアミノ酸は、大きく以下の2つに分けられます。
- 必須アミノ酸(9種類):体内で合成できない(または十分合成できない)→食べ物から必ず摂る必要あり
- 非必須アミノ酸(11種類):体内で合成できる
必須アミノ酸をバランスよく含んでいるたんぱく質のことを「良質なたんぱく質」や「アミノ酸スコアが高い」といいます。
1.2.アミノ酸スコアとは?
アミノ酸スコアとは、たんぱく質の栄養価を示す指標のことです。
評価の基準は「9種類の必須アミノ酸をいかにバランスよく含んでいるか」という点です。
注意点として、食品に含まれている必須アミノ酸の「量」を評価しているのではなく、あくまでバランスよく含んでいるのかどうかということです。
1.3.植物性のたんぱく質は総じてアミノ酸スコアが低い
植物性の食品にももちろんたんぱく質は含まれていますが、総じてアミノ酸スコアは低いです。
つまり、必須アミノ酸のバランスがあまりよろしくないということです。
一方の、肉や魚といった動物性のたんぱく質はアミノ酸スコアが非常に高いです。
アミノ酸は体内で一定のバランスで利用されるため、どれか1つでも不足していると、他のアミノ酸を大量に摂取しても充分に利用されなくなってしまうといわれています。
植物性タンパク質よりも動物性たんぱく質のほうがアミノ酸スコアは高い傾向にある。
ドベネクの桶
食品に含まれている必須アミノ酸のバランスをあらわす。
2.アミノ酸が不足するとどうなるのか?

体内でのアミノ酸の役割は主に以下の4つです。
- 身体をつくるたんぱく質や酵素の材料
- ホルモンの材料
- 遺伝子の材料
- エネルギー源(→ATP合成)
2.1.身体をつくるたんぱく質の材料や酵素が不足する
人間の身体の60%は水分です。残り40%のうち半分の20%を占めているのがたんぱく質です。
- コラーゲン:骨、皮膚、軟骨の構成成分
- ケラチン:髪、毛の構成成分
- アクチン、ミオシン:筋肉の成分
- ヘモグロビン:全身に酸素を運搬します
- アルブミン:肝臓でつくられるたんぱく質。血液の浸透圧の維持と物質の運搬の役割があります
- 酵素:食べ物の消化や代謝を促進します
- 抗体:身体の中の病原体を排除します
上記のように、たんぱく質は身体の材料、血液の成分や酵素の材料として非常に重要です。
ですので、たんぱく質の材料であるアミノ酸が不足すると「筋肉量が低下する」「肌が荒れる」「髪がパサつく」「病気になりやすくなる」「疲れやすくなる」などといった身体症状があらわれます。
また酵素は、食べ物の消化の触媒として(消化酵素)や代謝の触媒(代謝酵素)として働いています。
ですので、たんぱく質の不足は酵素の不足へとつながり、ダイレクトに身体の不調へとつながってしまいます。
2.2.ホルモンが不足する
アミノ酸を原料につくられるホルモンの一部を紹介します。
役割の一例 | 不足すると・・・ | |
---|---|---|
ドーパミン | 快感を感じたり、やる気を出させたりします。 | やる気が出ない、疲れやすい |
成長ホルモン | 代謝の促進 | 疲れやすい、記憶力低下、やる気がでない |
甲状腺ホルモン | 代謝の促進 | 集中力が下がる、なんとなくだるい、うつ症状 |
セロトニン | 別名「幸せホルモン」といわれています。 感情や気分をコントロールしています | 疲れやすい、イライラしやすい |
メラトニン | 別名「ダークホルモン」といわれています。 夜に分泌量が増えて眠くなります。 | 夜になかなか眠れない、夜中に何度も目が覚める |
上記のようなホルモンは、私たちの精神状態に大きく影響しています。
例えば、ドーパミンの不足は、やる気の低下、疲労感、集中力の低下といった精神症状の原因になります。
3.食べ物に含まれるアミノ酸スコアの一覧

代表的な食べ物に含まれるアミノ酸スコア(最大値100)の一覧です。
動物性食品 | アミノ酸スコア | 植物性食品 | アミノ酸スコア |
---|---|---|---|
肉(鶏、豚、牛) | 100 | 白米 | 61 |
魚 | 100 | 食パン | 44 |
鶏の卵 | 100 | 大豆、豆腐、納豆 | 100 |
牛乳 | 100 | ジャガイモ | 68 |
イカ、タコ、エビ、貝類 | 70~79 | トマト | 48 |
上記のように比較すると一目瞭然ですが、動物性食品のほうが圧倒的にアミノ酸スコアが高いです。
また、動物性食品のほうがビタミンやミネラルも豊富に含まれていますので一石三鳥です。
植物性食品のなかでも、さすが”畑の肉”ともいわれている大豆のアミノ酸スコアは高いですが、一般的に植物性食品のアミノ酸スコアは低いです。
3.1.1日に必要なたんぱく質の量
ここまでで、バランスよくアミノ酸を摂る必要があること、すなわち良質なたんぱく源の重要性を説明してきました。
ここでは、実際にどれくらいのたんぱく質の量を1日で摂ればいいのかを以下の表にまとめます。
年齢 | 1日にあたりに必要なたんぱく質の推奨量 |
---|---|
15~17(歳) | 65(g) |
18~29(歳) | 60(g) |
30~49(歳) | 60(g) |
50~69(歳) | 60(g) |
70以上(歳) | 60(g) |
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」より一部引用改変
ただし、この値は個人の体格や運動量、病気の有無などにより大きく変わりますので、参考程度にとどめておいてください。
一応、厚生労働省の基準ではざっくりと1日あたり60(g)程度必要ですよとのことです。
3.2.肉だけに偏らず魚も大切です
一般的に、魚のほうが好きというよりも肉のほうが好きという人のほうが多いと思います。
両者ともアミノ酸スコアは100なので、アミノ酸のバランスに関してはとくに問題ありません。しかし、肉一辺倒には偏らないほうがいいです。
理由としては、魚には脳の発達にかかせない「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」といった種類の脂肪酸が含まれているからです。
身体に良い脂肪と悪い脂肪の見分け方は下記の記事をごらんください。
ですので、肉だけの一辺倒にならず、魚もしっかり食べて脳も成長させましょう。
というわけで今回は以上です。
肉や魚を食べることで明らかに肌の調子や髪の艶が出てきたりしてすぐに効果を実感できるはずです。ぜひ積極的に摂っていきましょう!