こんにちは、現役医療従事者のとってぃです。
今回は、リーキーガット症候群とは何なのかについて、そしてリーキーガット症候群による様々な症状がでる原因をできるだけわかりやすく説明したいと思います。
目次
1.リーキーガット症候群とは
なんらかの原因で、腸の粘膜の細胞と細胞の間にすき間ができ、このできたすき間から有害な病原体(細菌、ウイルス、カビ)や未消化の食べもの、化学物質が血中に入ってしまう状態
のことです。
腸とは?:小腸(十二指腸、空腸、回腸)と大腸(盲腸、結腸、直腸、肛門)の総称のこと
つまり、まず腸に穴が開くというのが前提にあって、その結果、未消化の食べもの、微生物、有害物質が体内に吸収されてしまう状態のことをリーキーガット症候群といいます。
もちろん、腸の穴といっても目に見えないほどの小さな穴です。
リーキー(Leaky)は「漏れる」、ガット(Gut)とは「腸」という意味があります。
リーキーガット症候群以外の呼び方には「腸管壁侵漏症候群」や「腸管漏出症候群」があります。
※注意:ただし、このリーキーガット症候群。現在ではまだ医学的根拠が正式に認められておらず(病気としてきちんと認識されていない)、医学的にきちんと認められた検査も診断も存在しません。
2.リーキーガット症候群を知るために必要な腸の役割
- 腸の役割とは
腸の一番重要な役割は、食べたものを消化・吸収することです。 |
消化とは、食べ物を胃と腸で細かく分解すること。吸収とは、この細かく分解された食べ物を、腸から血液やリンパ液に取り込むことです。
食べ物を消化・吸収するための器官である消化管(食道→胃→小腸→大腸)は、例えるなら一本の長いチューブです。
チューブの内側(胃や腸)の中に入っている食べものは、まだ私たちの体には吸収されていません。
私たちは普通、食べ物を口に入れた時点で、自分の身体の中に吸収したと思ってしまいがちですが、まだこの段階では身体の中に吸収していません。
腸が吸収してはじめて、体内に正式に吸収されたことになります。つまり、腸に吸収される前段階はまだ、体外にあるといえるということです。
この体外にある食べ物を体に吸収するかどうかの大事な決定は、実は腸の壁がおこなっています。
ようするに、腸の壁が、私たちの身体にとって必要なものは吸収し、不必要なものは便として体外に出すというふるい分けをおこなっているということです。
【補足】消化・吸収過程の簡単な紹介
食べ物を口でかみ砕くことで唾液が分泌されます。唾液には、消化酵素のアミラーゼが含まれていて、でんぷんを分解します。 次に、咽頭と食道を通過し胃に到達。そこで攪拌(かくはん)して粥状(じゅくじょう)にします。また消化酵素のペプシンが含まれている胃液が分泌され、タンパク質を分解します。同時に胃酸は酸性が強く、食べ物の殺菌もおこなっています。 そして胃で粥状になった内容物は、小腸(十二指腸、空腸、回腸)に送り込まれます。ここでは追い打ちをかけるがごとくさらに消化が行われ、十分細かく分解された後に、小腸の表面にある絨毛から吸収されます。残りカスや不要なものは大腸に運ばれて、水分だけが吸収されて大便として排泄されます。 |
ここで一つ素朴な疑問がわきませんか?
どうしてアミラーゼやらペプシンやらの消化酵素で食べものを細かくしないといけないのか・・・
【補足】食べ物を消化(簡単にいうと細かくしてやること)してからでないと腸が吸収しない理由
そもそも私たちは生きるためのエネルギー源を得るために食事をしています。しかしそのエネルギー源である食べ物も、十分に消化されていないと(極端な例ですが、リンゴ1個そのままとか)の場合、体はその食べ物を異物として認識してしまいます。
異物に対して私たちの身体は免疫反応を起こすようになっています。病原菌に感染して風邪をひいた時と同じ反応です。
免疫反応を起こさないように、人体の身体の構成要素と同じもの、すなわち「自己」にまで食べものを細かく分解してから吸収する必要があるというわけです。
つまり、
- タンパク質 ➡ アミノ酸
- 炭水化物 ➡ ブドウ糖など
- 脂肪 ➡ 脂肪酸とグリセリド
というより細かい分子にまで分解することではじめて、腸は安心して食べ物を吸収することができます。
- あわせて読みたい関連記事
これが胃や腸が食べ物を消化してから吸収する理由です。
3.つまり、リーキーガット症候群は腸の正常な働きを壊している!?
腸の役割は、そのままの状態では異物として認識されてしまう食べものを、胃や小腸でしっかり消化してから正しく身体に吸収することです。こうすることで、食べものは異物として免疫反応を起こさず、私たちのエネルギー源として正しく使うことができるようになります。
しかしリーキーガット症候群になると、腸の穴が開いた状態になっています。
そうなると腸は、消化と吸収の機能を完璧に行うことができません。
つまりはリーキーガット症候群によって、まだ十分に消化がされていない食べもの(体はこれを異物として認識してしまう)が、腸に空いた穴から漏れ出て、血液中に侵入してしまう非常事態なわけです。
4.リーキーガット症候群によって、未消化の食べ物以外も、血液中に侵入してくる!?
リーキーガット症候群によって、腸に穴が開いた状態になると、未消化の食べものだけではなく、有害な微生物や毒素、重金属、環境ホルモンも血液中に入れてしまうことになります。
微生物とは:微小な生物全体の総称で厳密な定義はなし。細菌、ウイルス、菌類(酵母、カビ、キノコ)などなど
環境ホルモンとは:生物のホルモンの働きを狂わせる物質の総称。一部の、殺虫剤・農薬、洗剤、プラスチック容器、医薬品など
もし仮に、腸内が健康であれば、これら有害な物質もある程度腸内で分解されて排出することができます。
5.リーキーガット症候群の症状
症状として、なんとなく疲れやすい、倦怠感。鼻炎。ニキビなどの肌トラブル。ブレイン・フォグ(思考に霞がかかったような感じ)、腹部膨満感などなどあげればきりがないほど、さまざまな病気ではないレベルの不定愁訴の原因になります。
そしてその他の病気(食物アレルギー、自己免疫疾患、糖尿病、がん、脳梗塞や心筋梗塞、うつ、認知症)の原因になることも最近ではわかってきています。
5.1.どうしてこんなにも全身に症状がでるの?
腸の穴から有害物質(未消化の食べもの、微生物、重金属、環境ホルモン)などが血中に侵入してくると、体はこれらを敵とみなし免疫反応を起こします。
免疫反応は、免疫細胞が私たちの体を守っているために戦っている証。その戦いの中では炎症がおこります。
炎症は自身の臓器や組織を傷つけますが、はっきりとした自覚症状がないことがほとんどです。しかし、確実に全身は蝕まれています。とくに脳は炎症に弱いので、集中力や思考力の低下、気分が落ち込みやすい、なんだかやる気がでない、など症状として表れやすいです。
まとめ
今回は、リーキーガット症候群とはいったいなんなのか?それによってどういった問題が引き起こされるのかということを中心にみていきました。
読んでいただくと分かる通り、リーキーガット症候群は腸の破壊のことです。しかし症状は消化器関連だけにとどまりません。むしろ全身の様々な症状のほうが問題になっていることが多いです。
そしてその下地には慢性炎症が隠されています。
またどこに症状が現れるかも個人差があり、その原因もわからず、薬なんかでお茶を濁してたりするんじゃないでしょうか?
病院に行っても、その症状に効く薬を出されるのみで、症状を抑える対症療法だけ。
私は病院で働いていますが、「頭痛の原因は腸にある」なんていってくれる医者は見たことがありません。
しかしもし本当に、日々の様々な症状の悩みがこのリーキーガットであるなら。
腸を健康にしてやることで、一日一日をより快適に充実して暮らしていけるとしたら・・・。一度食生活を一から見直してみる必要があるかもしれません。
私は食生活を変えることで、日々の不調が大きく改善してほんとうに良くなりました。ぜひお試しください。
- グルテンフリーのオススメ食品の選び方
コメントを残す