飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いをわかりやすく解説【構造・特徴・性質】

1.飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸とは?

名前からわかるとおり、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸は脂肪酸の一種になります。

1.1.脂肪酸についての説明

引用一部改変:筋肉大全

脂肪酸は、ほとんどの脂質の構成成分として存在しているので、脂質の主役的存在です。

脂肪酸の一種である飽和脂肪酸のラウリン酸(上の図)を例に、脂肪酸の構造を紹介します。

脂肪酸の構造

炭素(C)と水素(H)と酸素(O)で構成されており、炭化水素基にカルボキシ基がくっつたものとなっています。

この脂肪酸には分類法が2パターンあります。

パターン1(脂肪酸の分類)
脂肪酸のなかに二重結合があるかどうかによって

  1. 「飽和脂肪酸」
  2. 「不飽和脂肪酸」

に分類されます。

パターン2(脂肪酸の分類)

脂肪酸の炭素の数によって

  1. 「短鎖脂肪酸」
  2. 「中鎖脂肪酸」
  3. 「長鎖脂肪酸」

に分類されます。

ですので、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸というのは、脂肪酸の分類の「パターン1」のほうで、脂肪酸のなかに二重結合があるかどうかということになります。

脂肪酸の基本的な構造や特徴についてわかりやすく解説します

2018年4月30日

1.2.飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のイメージ

引用:SORA EPA+DHA800mg

上の写真をみてもらうとわかりやすいんですが、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のイメージとしては以下のとおりです。

  • 飽和脂肪酸→固体の脂(肉の脂やバターなど動物性のものに多い)
  • 不飽和脂肪酸→液体の油(サラダ油、ごま油、オリーブオイルなど植物性のものに多い)
補足
動物性の肉の脂やバターなど常温で固体のことが多いです。
一方、植物性のサラダ油やオリーブオイルなどのものは常温で液体のことが多いです。

このように、イメージ的には

  • 飽和脂肪酸は常温で固体
  • 不飽和脂肪酸は常温で液体
で問題ありません。

ただし、飽和脂肪酸にもココナッツオイル(植物性、常温(25℃以上)で液体)があり、不飽和脂肪酸にも魚油(動物性)などの例外があります。

1.3.飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の構造の違い

もう少しきちんと飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いをみていきたいと思います。

先ほどにもいったように、脂肪酸の中に二重結合があるかないかによって分類されています。

パターン1(脂肪酸の分類)
脂肪酸のなかに二重結合があるかどうかによって

  1. 「飽和脂肪酸」
  2. 「不飽和脂肪酸」

に分類されます。

言葉ではなかなか分かりにくいと思いますので、脂肪酸の1つであるオレイン酸を例にして構造式を下に載せました。

引用一部改変:筋肉大全

 

このオレイン酸の構造式をみてもらうと一目でわかるように、炭化水素基部分に『C=C』となっている箇所があります。ここが炭素の二重結合といわれているところです。

この炭素の二重結合があるかないかで、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されています。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い
  • 飽和脂肪酸 → 炭素の二重結合がない
  • 不飽和脂肪酸 → 炭素の二重結合がある
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違いはたったこれだけです。

2.飽和脂肪酸とは?

飽和脂肪酸とは、炭化水素基に二重結合がない脂肪酸のことです。

2.1.特徴・性質

常温では固体である場合が多く、化学的に安定した構造のため(どうして安定しているのかについては後述)、酸化しにくい脂肪酸です。

動物性の脂肪に多く含まれていますが、ココナッツオイルのような一部植物性の油にも含まれています。

3.不飽和脂肪酸とは?

不飽和脂肪酸とは、炭化水素基に二重結合がある脂肪酸のことです。

3.1.特徴・性質

常温では液体である場合が多く、化学的に不安定な構造のため酸化しやすい脂肪酸です。
(サラサラしているのは分子構造がもろく、熱などの刺激によって酸化しやすいという証でもあります。)

いわゆるサラダ油やオリーブオイルなどの植物性の油のほとんどが、不飽和脂肪酸を多く含んでいます。

4.不飽和脂肪酸のほうが酸化しやすい理由

脂肪酸の基本構造は最初のほうでも紹介したとおり、炭素(C)が横に長くつながっていて、この大部分の炭素(C)に水素(H)がくっつき、端っこのほうに酸素(O)がくっついています。

ラウリン酸(飽和脂肪酸)の構造を例にするとこんな感じです。

引用:筋肉大全

構造式をみてもらうと分かるように、炭素の2本の手それぞれに、水素が1つずつくっついています。残りの2本の手にはそれぞれ別の炭素につながれています。こうして炭素同士のつながりが続いていて、端っこ部分に酸素がついているのが脂肪酸です。

ラウリン酸の場合、このように炭素と水素が全ての手をつかって隙間なく手をつないでいるため、結合が強いです。

なので酸化にも強く、常温でも固体をしっかり保てるのです。

一方の不飽和脂肪酸はというと・・・

不飽和脂肪酸であるオレイン酸の構造式を上に示しています。

不飽和脂肪酸の場合、このように炭素と炭素の二重結合(C=C)があるため、この部分に酸素が入りやすく酸化しやすくなります。

専門的な話しになりますが、有機化合物中の炭素と炭素の二重結合(C=C)は、空気による反応性が高く、酸化しやすいという特徴があります。

以下はその詳しい説明です。

4.1.二重結合は構造として不安定で酸化しやすい

(前略)原子の結合は「単結合」という結合の仕方が一番安定で、

これ以上変質しません。

一般的には我々の身近にある物質のほとんどの結合はこの形です。

ですが中には「二重結合」や「三重結合」といって、

少し特殊な形で原子同士が結合している場合があります。

 

二重結合というのは結合のうちの一本がとても切れやすくなっていて、

例えば「紫外線」を照射されたり、「熱」を加えられたり、「酸化剤」や「還元剤」を作用されたりすると結合が切れて変質してしまう結合の仕方です。

 

(中略)

ですから二重結合が多い脂肪酸は酸化しやすいのです。

引用:オイルの酸化安定性を見破るには【不飽和脂肪酸】と【二重結合】について

つまり、二重結合は構造として不安定なので、熱なんかを加えられたりすると簡単に酸化してしまうということです。

【オマケ】バター=飽和脂肪酸ではない!?

食品にはいろんな脂肪酸が含まれています。よく『バター=飽和脂肪酸』という風にいわれたりしますが、実際には『不飽和脂肪酸』もバターには含まれています。

バターの場合ですと、脂肪酸の構成は以下のようになります。

  • 飽和脂肪酸:69%
  • 一価不飽和脂肪酸:28%
  • 多価不飽和脂肪酸:3%
一番多く含まれているのが飽和脂肪酸なので、『バター=飽和脂肪酸』といわれているんです。

バターに含まれる脂肪酸は、飽和脂肪酸100%ではありませんのでご注意を。

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