脂肪の消化・吸収の流れ【MCTオイル(中鎖脂肪酸)のみ例外です】

 

食べ物に含まれる脂肪の消化・吸収の流れに興味のある人「食べ物に含まれる脂肪って、身体の中でどういう風に消化されて、吸収されていくんだろうか。その中身を知りたいなぁ」

 

この疑問に分かりやすく答えます。

 

本記事では、食べ物に含まれる脂質の消化・吸収の過程を分かりやすく説明しています。

 

  • 本記事の内容
  1. 食べ物に含まれる脂質の消化と吸収の流れ
  2. MCTオイル(中鎖脂肪酸)は、他の脂質とと消化・吸収の流れが違うので注意
  3. まとめ:完全無欠コーヒーを飲むべき理由

 

  • 食べ物を消化する理由

そもそも、食べ物に含まれる脂質は、その生き物に特化してつくられてるわけでして、私たちの身体に合ったものではありません。なので、一度消化(分解)してからでないと、私たちの身体は利用することが難しいです(消化せずにそのまま吸収すると、身体はそれを異物として判断して免疫系が反応してしまうリスクがあるので、私たちの身体が異物だと判断しない程度にまで細かく分解してやる必要があります)。

 

【概要】脂質の消化と吸収の流れ

食べ物に含まれる脂質のほとんど(約95%)は、中性脂肪(別名:トリグリセリド、トリアシルグリセロール)です。

なので、本記事では中性脂肪の消化・吸収の過程を中心に説明していきたいと思います。ちなみに、中性脂肪以外では、リン脂質とコレステリルエステル(アシル基をつけたコレステロール)があります。

なお、脂肪酸とコレステロールは消化の過程なしにそのまま体内に吸収されます。

  • 中性脂肪の消化と吸収の大まかな流れ
消化管消化酵素消化・吸収
口腔なしなし
食道なしなし
なしなし
小腸十二指腸膵リパーゼ(+胆汁酸)中性脂肪⇒モノグリセリド+脂肪酸に分解
空腸なし粘膜上皮細胞から、モノグリセリドと脂肪酸は吸収
回腸なし粘膜上皮細胞から、モノグリセリドと脂肪酸は吸収

 

  • 中性脂肪とは?
中性脂肪とは、グリセリン(別名:グリセロール)と脂肪酸が結合したものです。

 

  • トリグリセリド(別名:トリアシルグリセロール):グリセリン+脂肪酸×3
  • グリセリド(別名:ジアシルグリセロール):グリセリン:脂肪酸×2
  • (2-)モノグリセリド(別名:モノアシルグリセロール):グリセリン+脂肪酸×1

中性脂肪には上記の3種類ありますが、血中にある中性脂肪のほとんどはトリグリセリドです。

なので『中性脂肪=トリグリセリド(別名:トリアシルグリセロール)』としていることが多いです。

ちなみに、このトリモノ、はそれぞれ、321を表していて、数字はグリセリンにくっついている脂肪酸の数のことです。

 

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1.口腔、食道、胃における脂質の消化

口腔、食道、胃では脂質の消化はおこないません。

 

2.小腸における脂質の消化(ここがメイン)

脂質の消化と吸収のすべては、小腸(十二指腸、空腸、回腸)でおこないます。

 

2.1.脂質は水に溶けないので消化するのに工夫が必要

水に溶けないのが脂質の特徴なので、消化するために工夫が必要です。

脂質だけだと、水に溶けず脂質だけで固まってしまうので消化酵素が取り付けず、消化をすることができません。

 

そこで活躍するのが「胆汁酸」です。

 

  • 胆汁酸の役割

胆汁酸は、脂質をミセル化(乳化)して、細かく分解させます。

イメージとしては、大きな塊(脂質)を、小分けに分けるような感じです。そうすることで消化酵素が働けるようになり、脂質の消化ができるようになります。

ちなみに、胆汁酸は胆汁に含まれています。胆汁は、肝臓でつくられた後、胆嚢で溜められて、そこで濃縮されます。そのあと、胆嚢から総胆管をとおって、十二指腸に分泌されます。

引用:中外製薬

2.2.脂質は、胆汁酸により乳化されることで始めて消化できるようになります

胃を通過した脂質は、十二指腸に入ります。

食べ物が十二指腸に入ると、胆嚢で溜められていた胆汁が総胆管をとおって十二指腸に分泌されます。

そして、脂肪と胆汁に含まれている胆汁酸が混ぜ合わされて乳化されます。そうして脂質を細かく砕いてやることではじめて、脂質の消化ができるようになります。

 

2.3.消化酵素による脂質の消化

胆汁と同時に、十二指腸には膵臓から分泌された膵液も存在しています。

膵液には、

  • 膵リパーゼ
  • コリパーゼ
  • ホスホリパーゼ
  • コレステロールエステラーゼが含まれています。

が含まれています。

これらは脂質を加水分解する消化酵素です。ただし、コリパーゼは消化酵素というよりも、膵リパーゼの働きを補助するためのものです。

 

  • 中性脂肪は、主に膵リパーゼとコリパーゼによって、モノアシルグリセロールと2つの脂肪酸に消化されます。
  • リン脂質は、ホスホリパーゼによって、リゾリン脂質と1つの脂肪酸に消化されます。
  • コレステリルエステル(アシル基をつけたコレステロール)は、コレステロールエステラーゼによって、コレステロールと1つの脂肪酸に消化されます。

 

3.小腸における脂質の吸収

  • 脂質の消化のまとめ
消化前消化後消化酵素
中性脂肪モノアシルグリセロール+脂肪酸+脂肪酸膵リパーゼ、コリパーゼ
リン脂質リゾリン脂質+脂肪酸ホスホリパーゼ
コレステリルエステルコレステロール+脂肪酸コレステロールエステラーゼ

 

そして、これら消化された脂質が吸収される部位は、小腸(空腸と回腸)の上皮細胞です。

 

3.1.脂質は吸収された後、そくざに再構成される

小腸(空腸、回腸)の上皮細胞で吸収された脂質は、その細胞内で、ふたたび中性脂肪やリン脂質、コレステリルエステルに再構成されます。

つまり、食べ物の脂質は、いったん壊して(消化して)、吸収した後、すぐにまた作り直されるということです。

壊した後、元通りに戻るように思えますが、実際にはそんなことはなくて、私たちのそのときの身体の状況や、身体に合った脂質に作り直されています。

 

4.吸収された後の脂質のゆくえ・・・

小腸(空腸、回腸)で吸収された脂質は、すぐに作り直されて、カイロミクロンという塊をつくり、まとめて外に運び出されます。

カイロミクロンってなに?ってひとは下記記事をご覧ください。

悪玉コレステロールと善玉コレステロールとは?違いを超わかりやすく説明してみた

簡単に説明すると、カイロミクロンはリポたんぱく質の一種で、脂質を運ぶための船だとおもってください。この船(リポたんぱく質)がないと、基本的に脂質は血管内を移動することができません。

 

このカイロミクロンは、リポたんぱく質のなかでもかなり大きいサイズなので、通常の毛細血管にはいることができません。なので、通過しやすいリンパ管に入ります。

そして、吸収された脂質の入ったカイロミクロンは、リンパ管⇒静脈⇒心臓⇒全身というふうに流れていき、その過程で脂肪組織に脂肪として蓄えられたり、エネルギーとして消費されたりしつつ、最終的に肝臓に取り込まれます。

 

5.脂質の中で、MCTオイル(中鎖脂肪酸)のみ例外なので注意

ここまでの脂質の消化・吸収の流れを簡単にまとめると

  • 食べ物に含まれる脂質(中性脂肪、リン脂質、コレステリルエステル)のゆくえ
  1. 小腸の十二指腸で、胆汁によって乳化
      ⇩
  2. 小腸の十二指腸で、膵液に含まれる様々な消化酵素によって消化
      ⇩
  3. 小腸(空腸、回腸)で吸収
      ⇩
  4. 吸収されですぐに作り直される
      ⇩
  5. カイロミクロンという塊をつくる
      ⇩
  6. リンパ管⇒静脈⇒心臓⇒全身に流れていき、最終的に肝臓に到達する

というのが、一般的な脂質の消化・吸収の流れです。

 

ただし、脂質の中で例外が1つだけあります。

それは、「MCTオイル(中鎖脂肪酸)」です。

 

  • MCTオイル(中鎖脂肪酸)の消化・吸収の流れ
  1. 小腸の十二指腸で、膵液に含まれる様々な消化酵素によって消化(中鎖脂肪酸は水に溶けやすいので、乳化が不要)
      ⇩
  2. 小腸(空腸、回腸)で吸収
      ⇩
    (MCTオイル(中鎖脂肪酸)はここで他の脂質と違い、独自の動きをします)
      ⇩
  3. 門脈に入り、最短経路で肝臓に到達

MCTオイル(中鎖脂肪酸)と他の脂質との一番の違いは、水への溶けやすさです。

一般的に脂質は水に溶けにくく、そのため胆汁酸による乳化が必要なんですが、MCTオイル(中鎖脂肪酸は)水に溶けやすいため、簡単にリパーゼによって消化されます。そして、小腸(空腸、回腸)で吸収されたMCTオイル(中鎖脂肪酸)は、門脈(小腸で吸収した栄養素をそのまま、肝臓に届けるための血管)に入ることができ、そのまま肝臓に到達できます。

また、肝臓に到達したMCTオイル(中鎖脂肪酸)は、すぐに細胞内のミトコンドリアに入り、エネルギーとして使われるという特徴ももっています(MCTオイル(中鎖脂肪酸)は水に溶けやすいという性質をもっているため)。

 

つまり、MCTオイル(中鎖脂肪酸)が他の脂質と大きく違う2点は

  • リンパ管に入って全身を経由してから肝臓に入るのではなく、門脈に入ってダイレクトに肝臓に到達できるということ
  • 肝臓に到達して、すぐにエネルギーとして使われやすいということ

 

そして、MCTオイル(中鎖脂肪酸)を分解して得られるエネルギー源はケトン体です。

アルツハイマー病の原因のひとつとして、脳がエネルギー源として糖質を上手に使えていないことも挙げられています。これに対して、肝臓で中鎖脂肪酸から生成される「ケトン体」と呼ばれる物質が、糖質に替わるエネルギー源として脳で利用されると、認知機能に良い影響を与えることが報告されています。

引用:Neslte公式サイト

このように、MCTオイル(中鎖脂肪酸)はケトン体をつくりやすく、そのケトン体は糖質の代わりに脳のエネルギー源になるので、アルツハイマー病などの脳の病気の機能改善のためにも使用されるということです。

 

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MCTオイル(100%中鎖脂肪酸)とは何ですか?認知症にも効果がある!?

 

6.完全無欠コーヒーをオススメする理由

ちなみに僕は、このMCTオイル(中鎖脂肪酸)を完全無欠コーヒーに入れて飲んでいます。

  • 完全無欠コーヒーとは
熱々のコーヒーに、MCTオイル(大さじ1~2杯)+ギー(もしくは無塩バター)(大さじ1~2杯)を加えた飲み物のこと

 

僕は毎朝に、この完全無欠コーヒーを必ず飲むようにして、それ以外の食事は一切取りません。

理由としては、

  1. 朝食を摂らないことで胃腸を休めることができる
  2. MCTオイル(中鎖脂肪酸)によってケトン体がつくりやすくなる
  3. コーヒーと脂質によって食欲が抑えられて昼までお腹が空きにくくなる

詳細は完全無欠コーヒーの作り方とその効果についてまとめてみた~シリコンバレー式 自分を変える最強の食事~にまとめているのでもしよかったら読んでみてください。

 

MCTオイル(中鎖脂肪酸)は、少し味に癖があるので、味の濃いいコーヒーとかに入れるのがベストだと個人的には思います。そのまま飲んだことはありませんが、多分吐きます。

 

6.1.MCTオイル(中鎖脂肪酸):個人的に一番コスパがいいです

MCTオイル(中鎖脂肪酸)は、普通の油に比べてコスト高なうえ、近くのスーパーで売られているものはコスパの悪い商品(日清のやつとか・・・)の可能性もあります。こちらの仙台勝山館のMCTオイルは、僕が調べた中でもコスパの良いほうでした。

 

6.2.インスタントコーヒー:amazonで評価が高く、オーガニック豆を使用しています

コーヒーは、普通にスーパーで売られているものでお好きなものを選んでください。参考までに、僕はこれをつかっています。

 

6.3.ギー:バターでも可だが、少しでも牛乳アレルギーが心配な方に

ギーは、バターでも代用可能ですが、少しでも乳アレルギーが気になるという方は、少し高いですがギーを使うのが安心です。また、ギーの場合、糖質は一切入っていないので、バターみたいに焦げることもなく、野菜炒めとかの油としても非常に使いやすいです。

 

どれもアマゾンプライムで翌日には届くので、明日にでもすぐに完全無欠コーヒーを始めることができますよ。

 

以上、食べ物に含まれる脂質の消化・吸収の流れでした。そのなかで、MCTオイル(中鎖脂肪酸)だけが例外で、非常にエネルギー効率のいい脂質なので、毎日パワフルに生活したいと思ってる人はぜひ試してみてください。

 

参考になるサイト

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