臨床工学技士のトッティ(@totthi1991)です。
以下の本を参考に、神経系の構造と解剖を簡単にわかりやすく説明します。
- 神経系とは
- 神経系の分類と役割【中枢神経と末梢神経】
- 末梢神経の分類
- 末梢神経の断面構造
目次
1.神経系とは

わたしたちの身体全体には、神経系という神経細胞によるネットワークが張り巡らされています。
この神経系というネットワークにより、身体の各部位で起きた刺激を中枢へと運び、そこで判断を下し、身体の各部位へと指令を出しています。
この神経系を構成する細胞は「神経細胞(ニューロン)」と「グリア細胞(神経膠細胞)」の2種類の細胞です。
- 神経細胞(ニューロン)
- グリア細胞(神経膠細胞)以下はグリア細胞の種類です。
- アストロサイト(星状膠細胞)
- オリゴデンドログリア(乏突起膠細胞)
- ミクログリア(小膠細胞)
- Schwann細胞
- 神経細胞(ニューロン)によって、緻密なネットワークを構成され、脳の中心的な役割、すなわち情報の「やり取り」や「処理」がおこなわれています。
- グリア細胞は、神経細胞に栄養を運んだり、神経細胞が正常に機能するのを助けています。
1.1.神経細胞の機能的分類
神経細胞は、機能的に以下にいずれかに分けることができます。
- 求心性神経:身体の各部位からの情報を、中枢神経に伝える
- 遠心性神経:中枢神経により情報処理された情報を、身体の各部位に伝える
- 中枢性神経:身体の各部位からの情報を処理し、決定をおこなう
2.神経系の分類と役割【中枢神経と末梢神経】

引用:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2103より改変
神経系は、脳と脳の下に続く脊髄までの中枢神経系と、中枢神経系から枝分かれして身体の隅々に張り巡らされている末梢神経系に分けられます。
簡単にいうと、脳と脊髄にあるのが中枢神経系で、それ以外はすべて末梢神経系です。
- 中枢神経系:脳と脊髄にあります。
- 末梢神経系:脳や脊髄のようにかたまってあるのではなく、身体の隅々に張り巡らされています。
2.1.中枢神経系の役割

引用:病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経p2
2.2.末梢神経系役割
引用:病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経p252
3.末梢神経の分類
末梢神経は、「解剖学的な分類」「機能的な分類」「インパルスの向きによる分類」の3パターンの分け方があります。
では、それぞれをみていきましょう。
- 解剖学的な分類 → 脳神経と脊髄神経
- 機能による分類 → 体性神経(運動神経、感覚神経)と自律神経(交感神経、副交感神経)
- インパルスの向きによる分類 → 求心性神経と遠心性神経
脳神経や脊髄神経というのは解剖学的な分類で、体性神経や自律神経は機能的な分類による呼び名です。
3.1.末梢神経の解剖学的な分類

解剖学的な分類では、末梢神経が出入りする部位によって分けます。
先ほどにも説明したように、末梢神経は脳と脊髄から出ていますが、脳から出入りする末梢神経を脳神経(12対)、脊髄から出入りする末梢神経を脊髄神経(31対)といいます。
- 脳神経(12対):脳から出入りする末梢神経
- 脊髄神経(31対):脊髄から出入りする末梢神経
- 臭神経、視神経、内耳神経、動眼神経、滑車神経、外転神経、舌下神経、三又神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経、副神経
脳神経は主に、頭部、顔面、頸部を支配しています。
- 頚髄神経(8対)
- 胸神経(12対)
- 腰神経(5対)
- 仙骨神経(5対)
- 尾骨神経(通常は1対)
3.2.末梢神経の機能による分類
末梢神経は、機能により「体性神経」と「自律神経」の2つに分けることができます。
- 体性神経
- 運動神経
- 感覚神経
- 自律神経
- 交感神経
- 副交感神経
3.2.1.体性神経
体性神経とは、身体が受けた刺激を脳まで伝えたり、逆に脳から身体を動かすための神経系です。
- 運動神経:身体の各部への意識的な運動命令を伝える神経
- 感覚神経:外部からの情報を中枢神経に送る神経
3.2.2.自律神経
自律神経とは、心臓の動き、体温調節、消化、呼吸、ホルモンの分泌などの基本的な生命活動を自動的にコントロールしている神経系です。
4.末梢神経の断面構造

引用:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1925
非常にわかりやすい末梢神経の断面構造図がありましたので、看護roo!より引用させていただきました。
ごらんのとおり、末梢神経は多数の神経線維(軸索)の束である神経繊維束が何本か集合した構造をしています。
神経線維(軸索)の1本1本は神経内膜で覆われており、それが集まって神経線維束をつくっています。さらにその神経線維束は神経周膜で束ねられています。
神経線維束の1つを拡大したものが下の図になります。

上の図のように、1本の神経線維束の中に、体性神経(運動神経、感覚神経)や自律神経といった機能のことなる神経線維が一緒に含まれています。
このため、末梢神経は混合神経とも呼ばれます。
末梢神経の神経線維束の中に、基本的には体性神経である運動神経と感覚神経といった機能の違う神経繊維が含まれています。さらに、自律神経を含んでいる神経線維束もあります。
つまり、自律神経のない末梢神経もあるということです。
脳神経の場合は、運動神経と感覚神経のみで構成された末梢神経があります。
補足①:神経線維とは?
ここまでで、何度も神経線維という言葉を使ってきましたが、神経線維とは、多くの場合、神経細胞の「軸索」のことをいっています。
神経細胞からでている樹状突起は神経線維に含めないので注意してください。
ちなみに、神経線維の長さは、長いもので数十センチにもおよびます。
長いもので数十センチにおよぶ:たとえば足底の筋群を支配するニューロン(α運動ニューロン)の細胞体は、腰髄や仙髄の前角(高さからいうと、上位腰椎のあたり)にあり、その軸索は途中シナプスを介することなく足底にまで分布する(1)。
補足②:神経節とは?
脳や脊髄から出た末梢神経の神経線維は、伸びていく途中に神経節という部位に到達します。
神経節は、末梢神経において神経細胞がコブのように集まった場所のことです。
自律神経の場合、脳や脊髄から出た神経線維が直接、制御対象の臓器や器官に到達することはなく、途中の神経節において、1回だけ神経細胞を乗り換えて、制御対象の臓器や器官に到達します。
(このことを神経細胞の乗り換えると表現します。)