【採血】凝固系の項目のPT、APTTとはなに?わかりやすく解説してみた

「採血の検査項目にPTとAPTTってあるけど、どういう意味なの?」

本記事ではこの疑問にできるだけわかりやすく答えます。

PT(プロトロンビン時間)とAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)はともに一般的におこなわれている凝固検査です。

その他、凝固系の検査には以下の項目がありますが、本記事ではPTとAPTTについて解説します。

凝固系の検査
  • PT(プロトロンビン時間)
  • APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
  • フィブリノーゲン
  • FDP
  • Dダイマー

1.血液凝固検査のPTとAPTTの簡単な説明

人間の血液は、以下の2つの方法で固まります。

  1. 外因系凝固過程:組織因子から始まる凝固系
  2. 内因系凝固過程:異物との接触から始まる凝固系

外因系凝固過程は、主に組織因子(tissue factor:TF)の血液中への侵入が引き金となってはじまります。

たとえば、外傷などによって組織から組織因子が出てきて、これが血液中にはいることで、外因系の凝固が活性化されます。

 

内因系凝固過程は、血液と異物(ex.血管壁の損傷によってむき出しになったコラーゲン)の接触が引き金となって活性化されます。

たとえば、採血をして試験管にいれると血液は凝固します。これは、血液が試験管という異物に触れるために凝固するのです。

このように、人間は2つの方法で血液を凝固させます。

この2種類の凝固の過程を調べる検査が、PT(プロトロンビン時間)とAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)です。

  1. PT(プロトロンビン時間:prothrombin time)
  2. APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間:activated partial thromboplastin time)

PTとAPTTの組み合わせは、凝固系のほぼ全体のプロフィールとして捉えることができ、両検査の異常の組み合わせから欠乏あるいは異常因子を推定することができます。

そして、血液凝固検査を理解することは、出血性疾患や血栓性疾患の診断、病態把握、診療において大切となります。

原因不明の鼻血が出たときなんかには、PT(プロトロンビン時間)とAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を測定し、原因を絞ることができます。

2.PT(プロトロンビン時間)

PT(プロトロンビン時間)とは、外因系凝固過程の活性を評価する検査です。

外因系凝固系は、血管損傷により放出される組織因子(第Ⅲ因子)・活性化第Ⅶ因子・Ca2+、リン脂質の複合体により活性化が始まります。

上の図のとおり、外因系凝固過程では、凝固因子の第Ⅶ、Ⅹ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰ因子が関与しています。

つまり、PT(プロトロンビン時間)は凝固因子の第Ⅶ、Ⅹ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰ因子の活性を反映しているということになります。

補足
組織因子(第Ⅲ因子)をつくる細胞は複数知られていますが、代表は、血管内皮細胞と、単球/マクロファージです。

2.1.PT(プロトロンビン時間)の基準値

患者血漿に組織トロンボプラスチンとCa2+を添加し、フィブリン形成までの時間を測定します。

PT(プロトロンビン時間)の結果の表示法は以下の4つあります。

PT(プロトロンビン時間)の基準値
  1. 秒表示
    【基準】9~12秒
    血漿に検査試薬を加えてから固まるまでの時間です。
  2. 活性(%)表示
    【基準】80~120%
    肝機能検査として利用することが多いです。
  3. PT比:患者PT時間(秒)/基準対照PT時間(秒)
    【基準】0.9~1.1
  4. プロトロンビン時間国際基準比(PT-INR)
    【基準】1.0±0.1
    試薬感度に違いがあるため、ワーファリンの管理にはPT-INRが用いられます。
    心房細動に対しワーファリンを使用している場合のPT-INRの目標は2.0~3.0です。

通常、PT(プロトロンビン時間)が14秒以上であれば、延長と判断します。

2.2.PT(プロトロンビン時間)が長い場合

PT(プロトロンビン時間)が長い場合、以下の病気が疑われます。

  • 重症肝障害
  • 閉塞性黄疸
  • ビタミン欠乏
  • DIC

※ ワーファリンなどを服用しているときにもPTは延長します。

補足
ワルファリン(商品名:ワーファリン)は、ビタミンK拮抗薬ですので、ワルファリンを内服しますと、ビタミンK依存性凝固因子(第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ、Ⅱ因子)の活性が低下します。

3.APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)は、内因系凝固過程の活性を評価する検査です。

内因系凝固系は、血管内皮表面以外の成分や異物面と血液の接触により活性化が始まります。

上の図のとおり、凝固因子の第Ⅻ、Ⅺ、Ⅸ、Ⅷ、Ⅹ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰ因子が関与しています。

ですので、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)は凝固因子の第Ⅻ、Ⅺ、Ⅸ、Ⅷ、Ⅹ、Ⅴ、Ⅱ、Ⅰ因子の活性を反映しているということになります。

補足
血液凝固因子の大半は肝臓で合成されます。
ただし、第Ⅷ因子は血管内皮細胞と単球、vWFは血管内皮細胞と巨核球で合成されます。
また、第Ⅶ因子、第Ⅸ因子、第Ⅹ因子、第Ⅱ因子は、ビタミンK依存性に肝臓で合成されます。

3.1.APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の基準値

患者血漿に接触因子(Ⅻ、Ⅺ、プレカリクレイン、HMWK)を活性化する物質(エラジン酸、セライトなど)、Ca2+、リン脂質を添加し、フィブリン形成までの時間を測定します。

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の基準値
  • APTT
    【基準】30~40秒
    血漿に検査試薬を加えてから固まるまでの時間です。

3.2.APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が長い場合

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)が長い場合、以下の病気が疑われます。

  • 血友病
  • 重症肝障害
  • 凝固因子の欠乏
  • 凝固因子の質的異常
  • ビタミンK欠乏
  • DIC

※ ワーファリンを服用しているときにもAPTTが長くなります。

補足
ワルファリン(商品名:ワーファリン)は、ビタミンK拮抗薬ですので、ワルファリンを内服しますと、ビタミンK依存性凝固因子(第Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ、Ⅱ因子)の活性が低下します。

4.PTとAPTTの結果からわかること

PTが延長するということは、外因系の経路のいずれかの凝固因子が欠乏していることを意味しています。

具体的には、第VII、X、V、II(プロトロンビン)、I(フィブリノゲン)因子の活性が低下しています。

APTTが延長するということは、第Ⅻ、Ⅺ、Ⅸ、Ⅷ、Ⅹ、Ⅴ、Ⅱ(プロトロンビン)、Ⅰ(フィブリノゲン)因子の活性の低下した場合です。

APTTが延長した場合、第一に疑われる病気は血友病です。血友病とは先天的止血異常のうち、血液凝固第Ⅷ因子障害(血友病A)と血液凝固第Ⅸ因子障害(血友病B)の総称です。

というわけで今回は以上です。

 

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