
「サラダ油とキャノーラ油ってなにが違うの?」
本記事ではこの疑問にどこよりも分かりやすく答えます。
目次
1.サラダ油とは

サラダ油とは、JAS(日本農林規格)によって指定された原材料を使い、JASの品質テストに合格した精製度(不純物が少ないということ)の高い植物油のことです。
サラダ油についての詳しい説明はこちらの記事「【JAS(日本農林規格)】サラダ油とは?その材料・由来・作り方について分かりやすく解説」をご覧ください。
サラダ油に使える原料はJAS(日本農林規格)によって以下の9種類のみに限定されています(全て種子から油を採取しています)。
菜種、大豆、綿実、トウモロコシ、ごま、ひまわり、落花生、米、べにばな(サフラワー)、ぶどう
参考:植物油とJAS規格
国内のサラダ油の原料のほとんど(80%以上)は菜種か大豆が使用されています。製品によって他の植物油がさらに混ぜられています。
結論をさきにいってしまうと、キャノーラ油とは、菜種を品種改良したキャノーラ種を原料とした植物油のことです。
つまり、原料のキャノーラがそのまま商品名になっています。
そして、現在販売されているキャノーラ油のほとんどは、サラダ油としても認められています。
ようするに、キャノーラ油はサラダ油でもあるということです。
キャノーラ油はサラダ油であり、生食でも使えます。サラダ油は、サラダ料理などに使用できる食用油として大正13年に日清オイリオから販売された「日清サラダ油」が一般名称化したもので、JAS規格では0℃で5.5時間保管しても清澄であることと規定されています。現在、小売店で販売されている食用油のほとんどがサラダ油となります。
2.キャノーラ油とは

キャノーラ油とは、キャノーラから搾り取った油のことです。
キャノーラとは、菜種を品種改良した菜種の一種です。
これから、キャノーラとはいったい何なのかについて説明していきます。
2-1.キャノーラ油と菜種油の違い

そもそも菜種油とは
アブラナは(油菜)は、アブラナ科アブラナ属の植物で、古くから野菜として、あるいは油をとるための植物として栽培されてきました。日本では「ナノハナ(菜の花)」「ナタネ」などと呼ばれ、明るい色が畑を覆う「菜の花畑」は春の風物詩として親しまれています。
引用:ナタネのはなし
キャノーラ品種は、このアブラナ(菜種)を品種改良したものです。
キャノーラ油とは
2-2.キャノーラ品種をつくった理由とは・・・
菜種油は、日本をはじめ東アジアで、食用油として昔から使われていました。とくに江戸時代から広く使われるようになり、天ぷらや揚げ物に使われることがおおく、日本で代表となる植物油でした。
しかし、一方のアメリカでは食用が禁止されていました(心疾患のリスクを高めるとされるエルカ酸などが含まれていたため)。そこで、アブラナ(菜種)を多く生産していたカナダにおいて、カナダの研究者により、新品種として開発されたのが、「キャノーラ品種」というわけです。
(第二次大戦中では、軍用車両や兵器の潤滑油として菜種油は使用されていました。しかし戦後、行き場を失った菜種油は食用油として販売をもくろむようになりました)
このように、キャノーラ品種を開発したもともとの理由は、アブラナ(菜種)には、心疾患などの原因となるといわれていた、エルシン酸やグルコシノレートをなどの有害物質含んでいたからです(これが原因で、欧米の消費者には受け入れられなかった)。
実験動物への投与試験により、エルカ酸の過剰摂取は心疾患をもたらす要因となる可能性があるとの研究結果が示され、その後、1977年にWHO/FAO合同委員会が、エルカ酸の過剰摂取に対する警告を発することとなりました。また、グリコシノレートは家畜の甲状腺腫を誘引するとされ、水溶性のため油には含まれませんが菜種ミールに残るため、家畜飼料として利用することが敬遠されがちでした。これらのことが、欧米での菜種搾油を制限する要因となっていました。
※エルカ酸への健康への影響については、その後、投与試験に用いた雄のラットに特有に見られる症状であることが確認され、現在では、この説は否定されています。
つまり、キャノーラ品種は、有害物質であるエルシン酸とグルコシノートの含有量を大幅に減らした品種だということです。
1978年に、カナダ植物油協会は、旧来の菜種とはまったく違う品種であることを鮮明にするため、販売する菜種油に「キャノーラ油」という名前をつけました。これがキャノーラ油という名前のはじまりです。
ですから、「菜種油≠キャノーラ油」です。
1980年にはエルカ酸含有量が2%未満のキャノーラが登場し、完全に旧来の菜種に取って変わる存在となりました。キャノーラは、エルカ酸含有量が2%未満、グルコシノレート含有量が30ppm未満の形質をもつ品種として定着することになりました。
2-3.結論:キャノーラ油とは
ようするに、第二次大戦中は軍用として使われていた菜種油なんですが、戦後は行き場を失ったため、食用としての活路を見出そうとしました。
しかし、油を多用していた当時のアメリカでは、菜種油の使用が禁止されていました(心疾患のリスクがあるといわれるエルカ酸といった有害物質が含まれていた)ので、それら有害物質を含まないように、菜種を多く栽培していたカナダで品種改良がおこなわれました。
その結果うまれたのが、「キャノーラ品種」です。
このキャノーラ品種からつくられた菜種油のことを、「キャノーラ油」といいます。
ちなみに、現在日本で輸入している菜種はすべてキャノーラ品種です。
3.今、日本で売られている菜種油に、エルカ酸やグルコシノレートは含まれているの?
今、日本のスーパーなどで、菜種油の商品名で売られているものは、エルカ酸を含まない「アサカノナタネ」「キザキノナタネ」「ななしきぶ」などの品種ですので、大丈夫です。
商品のラベルにも「無エルカ酸」などと表記されています。
3-1.国産菜種(アサカノナタネやキザキノナタネ)と「キャノーラ品種」とは違うの??
日本で開発された国産菜種である「アサカノナタネ」や「キザキノナタネ」などは、品種改良されたものですが、遺伝子組み換え技術はつかっていません。
一方のキャノーラ品種は、遺伝子組み換え記述をつかったものです。
これが「キャノーラ品種」と「国産の菜種」の違いになります。
4.サラダ油とキャノーラ油の違い
サラダ油とは
- サラダ油とは、JAS(日本農林規格)によって指定された原材料を使い、JASの品質テストに合格した精製度(不純物が少ないということ)の高い植物油のことです。
- 原材料は以下のとおりです。
- 菜種、大豆、綿実、トウモロコシ、ごま、ひまわり、落花生、米、べにばな(サフラワー)、ぶどう
キャノーラ油とは
- キャノーラ油とは、キャノーラから搾り取った油のことです。
- キャノーラとは、菜種を品種改良した菜種の一種です(カナダで遺伝子組み換え技術を使用)。
つまり、キャノーラ油は原料であるキャノーラがそのまま商品名になっているのに対し、サラダ油は、JAS(日本農林規格)で指定された9種類のどれかを使用し(複数種のブレンドもあります)、なおかつJAS(日本農林規格)の基準を満たす必要があるということです。
ちなみに、現在販売されているキャノーラ油のほとんどは、サラダ油としてもJAS(日本農林規格)で認められています。
それでは今回は以上です。