
「どうして塩分をとりすぎると血圧が上がるの?その仕組みがしりたいな」
本記事では、この疑問に答えます。
高血圧の治療においては食塩制限が重要で、日本高血圧学会は1日6g未満を推奨しています。食塩と高血圧の関係はよく知られていますが、食塩摂取量が非常に少ない地域では高血圧の人はみられず、加齢に伴う血圧上昇もほとんどないことが示されています。食塩制限は、正常血圧の人にとっても、高血圧の予防のために意義が大きいと考えられます。
引用:日本高血圧学会
血圧を下げるためには、塩分をひかえるのが効果的なことが多いです。
そこで今回は、どうして塩分をとりすぎると血圧が上がるのか、その仕組みを解説したいと思います。
目次
1.塩分によって血圧が上がりやすいタイプがあります

塩分をとることによって、血圧が上がりやすいことは一般的によく知られています。
そのメカニズムを簡単に説明すると、塩分が身体に吸収され、血中の塩分濃度(正確にいうとナトリウム濃度)が上がります。わたしたちの身体には、塩分濃度(ナトリウム濃度)を一定にしようとする機能があります。ですので、塩分濃度を薄めるために、のどが渇いて水分を多くとることになるために、血管内の水分が増えて血圧があがります。
これが食塩によって血圧が上がる簡単なメカニズムです。
しかし、食塩のとり過ぎによる血圧の上がりやすさには個人差があります。
とくに塩分によって血圧が上がりやすいタイプの人のことを、食塩感受性高血圧といいます。
- 食塩感受性高血圧:塩分によって血圧が上がりやすいタイプ(日本人の4割程度)
- 食塩非感受性高血圧:塩分によって血圧が上がりにくいタイプ(日本人の6割程度)
両者の違いをかんたんに説明すると、腎臓からおしっことして塩分を排出しやすいか、しにくかということになります。
1-1.食塩感受性高血圧
食塩感受性高血圧のタイプの人は、塩分をとることで、血圧が上がりやすいです。
その理由をこれから解説します。
メカニズム
- 順番①:塩分を多くとる
- 順番②:食塩感受性高血圧の人の場合、腎臓からおしっことして、塩分が捨てられにくい
- 順番③:その結果、血液の塩分濃度が下がりにくい
- 順番④:血液の塩分濃度を薄めるために、のどが渇く(私たちのからだは、血液の塩分濃度を一定になるように調節されています)
- 順番⑤;水分を多くとるので、血液の量が増える
- 順番⑥;血管の中を流れる血液量が増えるので、血圧が上がる
上記が、食塩感受性高血圧のタイプの人の、塩分のとりすぎによって血圧が上がる仕組みになります。
ポイント
食塩感受性高血圧のタイプの人は、塩分を身体にため込みやすいので、血圧が上がりやすい
1-2.食塩非感受性タイプ
一方、食塩非感受性のタイプの人は、多少塩分を多くとっても、ほとんど血圧が上がりません。
その理由は単純で、塩分をとりすぎても、腎臓からおしっことして塩分を排出しやすいからです(ですので、血液中の塩分濃度が上がりにくく、のども乾きにくいです)。
では、食塩非感受性タイプの人は、塩分をとっても血圧がまったく上がらないかというとそんなことはありません。
最新の研究で、食塩非感受性のタイプの人は、アンジオテンシンⅡという血圧を上げる物質が関係しているとわかっています。
この物質の効果(血管を収縮する)によって血圧が上がるといわれています。
これが、食塩非感受性タイプの人の、塩分によって血圧が上がるメカニズムです。
ですので、食塩感受性タイプでなくても、塩分は大なり小なり、血圧を上げる働きがあるということです。
2.なぜ、塩分をとりすぎるとのどが渇くのか

そもそも人間のからだには、血液の塩分濃度(浸透圧)を一定に保とうとする働きがあるからです。
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そんな中、もし塩分をとりすぎた場合、血液の塩分濃度が上がります。
そうすると、脳の中枢神経がそれを感知して、血液の塩分濃度を薄めるために、水分を多くとろうとします(=のどが渇くようになります)。
これが、塩分のとりすぎによってのどが渇く理由です。
なお、のどの渇きは本能的なものなので、理性で抑えられるものではありません。
食塩非感受性タイプの人は、塩分をおしっことして排出しやすい
食塩非感受性タイプの人は、腎臓から塩分をおしっこと一緒にたくさん出すことができるので、血液の塩分濃度が下げることができます。
しかし、さきほど説明した食塩感受性タイプの人は、塩分の排出の働きが鈍いので、血液の塩分濃度はそれほど下がりません。
そのため、食塩感受性タイプの人は、血液の塩分濃度を薄めるために、水分を多くとって薄めようとするので、のどが渇きやすいといえます。
3.自分が食塩感受性高血圧かどうかを知る方法

食塩感受性高血圧というのは、まだ明確な定義や診断基準がありません。
そのため、数値によって、自分が食塩感受性高血圧かどうかはわかりません。
なので、減塩によって血圧が改善すれば、食塩感受性高血圧のタイプである可能性が高いと判断します。
3-1.食塩感受性高血圧になりやすい条件
食塩感受性高血圧になりやすい条件として、以下のものがあります。
- 両親が食塩感受性高血圧(遺伝しやすいといわれています)
- 肥満
- 糖尿病
- 中高年(一般に、年をとると食塩感受性高血圧になりやすくなります)
- 腎障害がある(塩分の排泄能力が低下するので)
まとめ
本記事の内容をまとめます。
塩分によって血圧が上がりやすいタイプと、そうでないタイプの人がいます。
- 食塩感受性高血圧:塩分によって血圧が上がりやすい
- 食塩非感受性高血圧:塩分によって血圧が上がりやすい
塩分をとりすぎるとのどが渇く理由
もし、塩分をとりすぎた場合、血液の塩分濃度が上がり、それを脳の中枢がそれを感知します。その結果、血液の塩分濃度を薄めるために、水分を多くとって血液を薄めようとします。この理由で、わたしたちは塩分のとりすぎでのどが渇きます。
食塩感受性高血圧かどうかの判断方法
食塩感受性高血圧になりやすい人は、以下の条件に当てはまる人です
- 両親が食塩感受性高血圧(遺伝しやすいといわれています)
- 肥満
- 糖尿病
- 中高年(一般に、年をとるほど食塩感受性高血圧になりやすくなります)
- 腎障害がある(塩分の排泄能力が低下するので)
塩分をとりすぎると血圧が上がるというのは、一般的には知られていることだと思います。しかし、それに個人差がかなりあるというのは知らなかった人も多いのではないでしょうか?
自分がどちらなのか、判断してから普段の食生活の参考にしてみてください。
それでは今回は以上です。