デフォルトモードネットワーク(DMN)とはなに?その役割や効果をわかりやすく説明してみた

「デフォルトモードネットワーク(DMN)ってなに?役割や効果についても併せて知りたいな」

本記事ではこの疑問に答えます。


実は、人の脳というのはボーっとしてなにも考えていないときも脳の活動を停止させてはいません。むしろこちらのほうに多くのエネルギーを割いています。

「ボーっとする=サボっている、怠けている」というのは、脳科学的にみると大きな間違いだということを本記事で説明します。

この「デフォルトモードネットワーク(DMN)」について、できるだけわかりやすく深堀していきます。

1.DMN(デフォルトモードネットワーク)とは

引用:Wikipedia「脳」

DMN は通常,内側前頭前野(MPFC),後部帯状回/楔前部(PCC/Precuneus),下部頭頂葉(IPL),外側側頭葉(Lateral Temporal Cortex,LTC),そして海馬体(Hippocampal Formation,HF)を含むとされる (e.g., Buckner et al., 2008)。

引用:Functional heterogeneity of the Default Mode Network

デフォルトとは、「初期設定」とかそういう意味でして、つまりデフォルトモードネットワーク(DMN)とは、何もしていないときに働く脳のネットワークのことです。

このデフォルトモードネットワーク(DMN)でとくに重要となる脳の部位は「内側前頭前野」と「後部帯状回」です。

しかしこれだけだと、なんのことだかわからないと思うので、脳の構造から順を追って説明していきます。

補足
デフォルトモードネットワーク(DMN)は、ワシントン大学のM・E・レイクル教授によって名づけられました。
レイクル教授によると、仕事をしたり勉強をしたりといった意識的な活動をしているときに消費するエネルギー量は、脳全体の5%程度。
残りの95%のうち、20%は脳細胞のメンテナンス、75%はボーっとしているときの活動にあてられているそうです。

1.1.脳の構造

まずは脳の構造についてです。

脳の構造は大きく以下の4つに分けることができます(上の図もあわせてごらんください)。

脳の構造
  1. 大脳 → この中にデフォルトネットワークモード(DMN)があります。
  2. 間脳
  3. 脳幹
  4. 小脳
補足
脳のうち、脳幹や間脳は起源が古いです。
大脳は哺乳類が誕生してから進化した比較的新しい脳です。
とくに人間では大脳の表面にある大脳皮質が発達しています。

1.2.デフォルトモードネットワーク(DMN)で活性化する脳の部位

大脳皮質(前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉)

デフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる脳のネットワークで中心的な脳の部位は以下の2つです。

デフォルトモードネットワーク(DMN)で重要な脳の部位
  1. 内側前頭前野 → 前頭葉の一部分にあります。
  2. 後部帯状回 → 大脳皮質の内側の部分にあります。

脳の構造

1.2.1.内側前頭前野

画像元:Wikipedia「前頭前皮質」

前頭前野とは、前頭葉の前側の領域(額の裏側)です。

補足
前頭前野は、脳の進化の過程でもっとも最後に生まれた部分です。

内側前頭前野は、前頭前野のさらにその一部分(眼の上側)です。

前頭前野の役割

前頭前野には「考える、記憶する、感情をコントロールする、判断する」といった人間を知性的にする役割があります。

1.2.2.後部帯状回

画像元:Wikipedia「帯状回」

上の画像のオレンジ色の部分が帯状回です。

ごらんのとおり、大脳皮質の内側にあり、前頭葉、頭頂葉、側頭葉などに囲まれています。さらにその下の脳梁を取り囲むように存在しています。

帯状回は大脳の一部分を占め、海馬、偏桃体などとともに大脳辺縁系とも呼ばれます。

後部帯状回は、帯状回の後頭葉側の部分のことです。
(上の画像でいうところの右半分の部分になります。)

後部帯状回の役割

後部帯状回は、長期記憶とワーキングメモリを密接に結ぶ機能を営んでいるといわれています。

2.デフォルトモードネットワーク(DMN)は「ボーっとしているとき」に活性化

デフォルトモードネットワーク(DMN)とは

以上で説明した「後部帯状回」と「前頭葉内側」で構成される脳のネットワーク(DMN)が、「ボーっとしているとき」に活動が高まります。

逆に、勉強や仕事など意識して何かをしているときは「後部帯状回」と「前頭葉内側」の活動は低下します。

今までの脳科学は、計算したりとか、何かをしているときの脳の活動をメインで研究されていました。
一方、何もしていないときというのは、脳は活動を停止していて、たいした活動はしていないだろうと思われていました。

しかし最新の研究では「何もしていないとき」に「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれるネットワークが活性化していることがわかっています。

むしろ、一生懸命仕事や勉強をして頭をつかっているときよりも「何もしないでボーっとしているとき」のほうが、15倍以上もエネルギーを消費して脳が活動しています。

補足
レイクル教授によると、仕事をしたり勉強をしたりといった意識的な活動をしているときに消費するエネルギー量は、脳全体の5%程度。
残りの95%のうち、20%は脳細胞のメンテナンス、75%はボーっとしているときの活動にあてられているとのことです。
つまり、何もせずにボーっとしているときというのは、仕事や勉強など意識的な活動をしているときに比べて、15倍のエネルギーが使われているということです。

つまり、ボーっとして何もしていないときというのは、脳は大量のエネルギーを使っていて、そういうわけで脳の活動的にはメインだということです。

3.デフォルトモードネットワーク(DMN)の3つの役割

そんな大量のエネルギーを投下しているデフォルトモードネットワーク(DMN)において特に重要な役割は、以下の3つに集約されます。

デフォルトモードネットワーク(DMN)の役割
  1. 自己認識
    →自分自身について考え、自分はこういう人間だと考えること
  2. 見当識
    →自分はいま、どこで何をしているのか。自分が置かれている状況を把握すること。
  3. 記憶
    →自分が経験したことや学んだことを整理する

これだけだとイマイチよくわからないんですが、デフォルトモードネットワークにどういうメリットがあるのかをまとめている本がありましたので紹介します。

3.1.デフォルトモードネットワーク(DMN)の効果

  • 「ぼんやり脳!」
  • ひらめきやアイディアが生まれやすくなる
  • 仕事の作業効率が上がる
  • 記憶力などの能力がアップ
  • 人間関係などの悩みやストレスの解消
  • 今の自分が「やるべきこと」がわかる
  • 人生や生活の軌道修正ができる

 

ぼんやりしているときの脳内では、次の活動のために、あちこちに散らばっている情報を取捨選択して、分析したり統合したりする整理整頓作業が行われています。さらに、こうした整理整頓をしながら、これから起こるであろう出来事の展開をなんとなくイメージしつつ、”はて、どんな対応の仕方をしようか”と、無意識のうちにシミュレーションしているのです。

そして、そんな「無意識のシミュレーション」をしているうちに、目の前の物事をどうやって片づけていくのかの考えがまとまることが多いのです。

本書によると、常にせわしなく何かをしていないと落ち着かない現代の日本人には、圧倒的になにかをせずただぼんやりする時間が足りていないとのことです。そのせいで、逆に仕事や勉強など生活のパフォーマンスが落ちているそうです。

たしかに、ボーっとすることは悪いことで、仕事の合間にボーっとしてようものなら怠け者の烙印を押されてしまいます。

またお昼休みなどでも、同僚や友達と話したり、スマホをチェックしたりすることが多いと思いますので、ボーっとする時間をとれていない人が大半だと思います。

だからこそ、意図的にでもボーっとする時間をつくることが大切です。

ちなみに、あのアップルの創業者の「スティーブ・ジョブス氏」も自伝の中で意図的にボーっとする時間をとっていると明らかにしています。

まとめ

というわけで、デフォルトモードネットワーク(DMN)について、その概要からメリットまでをまとめました。

「ボーっとする」というのは、一般的な認識としてサボっているようにみえるため、あまりよく思わない人が大半かもしれませんが、脳科学的にみると非常に合理的な脳の使い方です。

ですので、安心して「ボーっとする時間」をつくりましょう。

実際、仕事のお昼休み中にボーっとすることで、仕事が重なって頭の中がごちゃごちゃになってパニック状態になっても、頭の中が整理整頓され、昼以降、物事の優先順位をつけて落ちついて行動できるようになります。

また、脳の疲れもスッキリとれます。

ですので、休み時間でも無駄にしまいと、スマホを使って情報収集したり、SNSやメールをチェックするのではなく、意図的にボーっとする時間を持つほうが、実は脳科学的にみると有意義な時間の使い方だということです。

疲れてるときに、スマホをいじったり、ゲームをしたりするのは脳を刺激することになるので、デフォルトモードネットワーク(DMN)は活性化しません。

もっと、ボーっとする時間を大切にしましょう。

それでは今回は以上です。