降圧薬の種類をわかりやすくまとめてみた

1.降圧薬の種類

降圧薬には、血圧を下げる仕組みがいろいろあり、主に以下の6種類+その他に分けることができます。

降圧薬の種類
  • Ca拮抗薬
  • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
  • ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
  • 利尿薬
  • α遮断薬
  • β遮断薬
  • その他
補足
ARBは「エーアールビー」と呼びます。

1.1.Ca拮抗薬

日本で最もよく使われている降圧薬です(これだけで降圧薬全体の60%を占めています)。

心臓や血管が収縮するときは、細胞内にカルシウムが流れ込みます。

 

Ca拮抗薬は、カルシウムが全身の血管の細胞内に流れ込むのを防いで血圧が上がるのを防ぎます。

(すなわち、血管を拡張させて血圧を下げます)

 

また、Ca拮抗薬は、心臓の筋肉細胞にも働きます。心臓が収縮する力を弱めて、送り出される血液量(心拍出量)を減らすことで血圧を下げる作用もあります。

1.2.ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

 

ARBは、アンジオテンシンⅡが受容体に結合するのを防いで血圧が上がるのを防ぎます。

(すなわち、血管を拡張させて血圧を下げます)

 

ようするに、ARBはアンジオテンシンⅡの働きを抑えて血圧を下げています。

補足
アンジオテンシンⅡは、全身の動脈を収縮させて血圧を上げます。
ARBの種類

ロサルタン、カンデサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン

という風に、すべてに「・・・タン」とつきます。

ARBをさらに分類すると・・・
  1. 古典的ARB:ロサルタン
  2. 第一世代ARB:カンデサルタン、バルサルタン、オルメサルタン
  3. 第二世代ARB:テルミサルタン、イルベサルタン

1.3.ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

ACE阻害薬は、アンジオテンシンⅡがつくられるのを防いで血圧が上がるのを防ぎます(すなわち、血管を拡張させて血圧を下げます。)

こちらも、ARBと同様にアンジオテンシンⅡの働きを抑えて血圧を下げます。

補足
アンジオテンシンⅡは、全身の動脈を収縮させて血圧を上げます。

1.4.利尿薬

利尿薬は、腎臓から塩分と水分を出して血液量を減らし、血圧を下げます。

利尿薬の種類
  • サイアザイド系利尿薬
  • ループ利尿薬
  • カリウム保持性利尿薬(アルドステロン拮抗薬)

1.5.α遮断薬

交感神経の興奮によってノルアドレナリンが分泌されます。

このノルアドレナリンが血管にあるα1受容体と結合することで血管が収縮し、血圧を上げます。

α遮断薬は、このα1受容体を遮断することで血管が収縮するのを防ぎ、血圧を下げます。

ようするに、交感神経の興奮によって分泌されるノルアドレナリンの働きを防いでいるわけです。

1.6.β遮断薬

交感神経の興奮によってノルアドレナリンが分泌されます。

このノルアドレナリンが心臓にあるβ受容体と結合することで心拍出量が増加して、血圧を上げます。

β遮断薬は、このβ受容体を遮断することで心拍出量が増加するのを防ぎ、血圧を下げます。

ようするに、こちらの場合もα遮断薬とおなじように、交感神経の興奮によって分泌されるノルアドレナリンの働きを防いでいます。

補足:β遮断薬の特徴
β遮断薬の最大の特徴は、心拍数を下げることです。これにより心臓を休ませます。
慢性心不全になると、代償機能として心拍数が上がりますので、心臓を休ませてやる必要があります。
ですので、心筋梗塞後や慢性心不全の人に対しβ遮断薬が使われることが多いです。

その他

その他の種類の降圧剤は下記のものがあります。

  • α2作動薬

α2作動薬は、血管運動中枢のα2受容体を刺激することで交感神経を抑制し、末梢血管の収縮を抑制して血圧を下げます。

2.降圧薬の使い方

Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、少量利尿薬、β遮断薬を主要降圧薬とし、積極的な適応や禁忌もしくは慎重使用となる病態や合併症の有無に応じて、適切な降圧薬を選択する。

積極的適応がない場合の高血圧に対して、最初に投与すべき降圧薬(第一選択薬)はCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の中から選択する。

引用:高血圧治療ガイドライン2014、日本高血圧治療ガイドライン作成委員会編

 

降圧薬の基本的な使い方は上記の引用のとおりでして、「このような高血圧の場合にはこの降圧薬を」と各専門学会で決められています。

そして実際に使ってみて、ある種類の降圧薬で血圧が下がらない場合は、薬を増量するか、あるいは別の種類の薬を使用します。
(同じ種類の降圧薬を2種類使う場合もあります)

補足
ちなみに、日本でよく使われているのはCa拮抗薬で降圧薬全体の60%です。次にARBで全体の20%を占めています。

3.当院で処方されている降圧薬

ここからは、当院で処方されている降圧薬の一部を、自分自身の備忘録としてまとめました。

興味のある方はごらんください。

詳細に関しては添付文書のリンクを載せておきますのでそちらで確認してください。

3.1.Ca拮抗薬

  • アムロジピン錠:添付文書(PDF
販売名アムロジピン錠5mg「アメル」
一般名アムロジピンベシル酸塩錠
会社名共和薬品
薬効カルシウム拮抗薬(ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬)
効能・効果
  • 狭心症
  • 高血圧症
用法・用量
  1. 高血圧症:アムロジピンとして2.5~5mgを1日1回経口投与する
    1. なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる
    2. 6歳以上の小児には、アムロジピンとして2.5mgを1日1回経口投与する
      1. なお、年齢、体重、症状により適宜増減する
  2. 狭心症
    1. アムロジピンとして5mgを1日1回経口投与する。
      1. なお、症状に応じ適宜増減する。

<用法・用量に関連する使用上の注意>
6歳以上の小児への投与に関しては、1日5mgを超えない。

 

3.2.ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

  • オルメテック®OD錠:添付文書(PDF
販売名オルメテックOD錠40mg
一般名オルメサルタンメドキソミル錠
会社名第一三共
薬効ARB
効能・効果高血圧症
用法・用量オルメサルタン メドキソミルとして10~20mgを1日1回経口投与する。なお、1日5~10mgから投与を開始し、年齢、症状により適宜増減するが、1日最大投与量は40mgまでとする。

以下省略。

 

3.3.ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)

  • エナラプリルマレイン酸塩錠:添付文書(PDF
一般名エナラプリルマレイン酸塩錠
会社名東和薬品
薬効分類ACE阻害薬
効能・効果
  • 悪性高血圧
  • 腎血管性高血圧症
  • 腎性高血圧症
  • 本態性高血圧症
  • 慢性心不全<軽症~中等度>
用法・用量
  1. 高血圧症:エナラプリルマレイン酸塩として5~10mgを1日1回経口投与する。
    1. なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、腎性・腎血管性高血圧症又は悪性高血圧の患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。

以下省略