
コレステロールについてよく知らない人「コレステロールって何?中性脂肪とかとは違うの?役割とかも知りたいな」
こういった疑問に答えます。
目次
1.コレステロールとは何か?
コレステロールは脂質の一種です。
脂質とは、たんぱく質と炭水化物と共に三大栄養素と呼ばれていて、私たちの身体に欠かすことができない重要なものです。
この私たちの身体にとって重要な脂質は、大きく以下の5つに分けることができます。
- 脂肪酸・・・主に身体のエネルギー源になる
- 中性脂肪・・・エネルギー源の脂肪酸を貯蔵しています
- リン脂質・・・細胞膜のメインの成分
- 糖脂質・・・有名なのは、赤血球上の糖脂質の違いによって血液型が決まっていること
- コレステロール
他の脂質とは大きく違い、コレステロールはステロイド(化合物)の一種です。
1-1.ステロイド(化合物)とは?
例えば、コレステロール、男性ホルモン、女性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁酸などがあります。
ステロイド骨格とは?
ステロイド骨格って聞くとなんか難しそうですが、上の構造をもった化合物は全てステロイド化合物です。
六角形が3つ、五角形が1つと単純な形をしているのがステロイド骨格だと覚えておきましょう。
- 脂質とは何か知りたい人は、こちらの記事でまとめています。
>>脂質とは?その定義と種類について - はなしの本筋とはずれますが、脂質の中でとくに脂肪酸が重要でして、その理由はこちらの記事でまとめています。
>>脂肪酸とは?-その構造式、分類、種類について
ポイント
- コレステロールとは、身体にとって重要な脂質の1つです。
- 他の脂質とは大きく違い、ステロイド骨格をもつステロイド(化合物)です。
2.コレステロールの大切な3つの役割
コレステロールの役割は以下の3つです。
- 役割①:細胞膜の材料
- 役割②:ステロイドホルモンの材料
- 材料③:胆汁酸の材料
身体の中にはいろいろなステロイド(ステロイドホルモンや胆汁酸)がありますが、その材料となり、ベースとなるのがコレステロールです。
しかし、一般的には、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の原因になるので「コレステロール=とにかく身体に悪いもの」というイメージしかないかもしれませんが、
はっきりいうとこれは大きな誤解です。
コレステロールは、以下でくわしく説明する重要な3つの役割があるので、実はめちゃくちゃ重要な物質なんです。
役割①:細胞膜の材料
人間には60兆もの細胞があるといわれていますが、そのすべての細胞膜の材料に、コレステロールが使われています。そして、コレステロールがもっとも多く使われているのが細胞膜です。
コレステロールのおかげで、細胞膜はより強固なものになり、安定性を保つことができています。
細胞膜の主な材料はリン脂質なんですが、この種類によって、ガチガチに硬い細胞膜だったり、逆にふにゃふにゃしてる細胞膜だったりします。つまり不安定なものになりやすいということです。リン脂質だけだとこのように、硬すぎたり、柔らかすぎたり膜自体が不安定になってしまうので、これを解消するために、コレステロールを細胞膜に埋め込みます。
イメージとしては、例えば、ガチガチに硬い細胞膜(高齢者のかたくてザラザラした肌をイメージしてください)があったとして、そこに楔のようにコレステロールを埋めこめば、生まれたての赤ん坊のようなみずみずしいスベスベした肌に生まれ変わるような感じです(例えが微妙かもしれませんがそんなイメージで、細胞膜をより良いものに変化させることができます(この場合、流動性はup))。
逆に、柔らかすぎてふにゃふにゃで不安定な細胞膜だった場合でも、コレステロールを細胞膜に埋め込むことで、膜自体に安定性をもたせ、より強固なものにすることができます(この場合、流動性はdown)。
つまり、コレステロールは細胞膜に安定性や一定の強度、流動性の調節に絶対必要だということです。
役割②:ステロイドホルモンの材料
コレステロールは、ステロイドホルモンの材料になります。
ステロイドホルモンとは?
例として、テストステロン(男性ホルモンの一種)、エストロゲン(女性ホルモンの一種)、コルチゾール(糖質コルチコイドの一種)、アルドステロン(鉱質コルチコイドの一種)、プロゲステロンなどがあります。
また、コレステロールが分解されることでプレビタミンD3(ビタミンD3の前段階)もつくられます。
ビタミンDの役割とかについてはこちらの記事でまとめているのでよかったらぜひ。
>>ビタミンDが花粉症に効果がある理由
この記事のタイトルにもあるようにビタミンDは、アレルギーである花粉症にも効果があるので、悩んでる人はぜひ積極的に摂るようにしてみてください。実際僕は、ビタミンDを摂るようにしてから花粉症がほぼ治りました(これはホントです)。
役割③:胆汁酸の材料
コレステロールは、脂質の消化吸収の助けをしている胆汁酸の材料にもなります。
【余談】コレステロールを含む食事をたくさん摂っても、血中コレステロールに与える影響は小さいです
体内でのコレステロールは、
- 肝臓でつくられるコレステロール
- 食事からとるコレステロール
があります。
このうち、肝臓からコレステロールの8割くらいがつくられています。ほかには皮膚、小腸、精巣、副腎なんかでもつくられます。
また、コレステロールをつくる量は身体の中でうまい具合に調整されています。
コレステロールは体内で合成できる脂質であり、12~13mg/kg 体重/日(体重50kgの人で600~650mg/日)生産されている。摂取されたコレステロールの40~60%が吸収されるが、個人間の差が大きく遺伝的背景や代謝状態に影響される。このように経口摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内で作られるコレステロールの1/3~1/7を占めるのに過ぎない。また、コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に少なく摂取するとコレステロール合成は増加し、末梢への補給が一定に保たれるようにフィードバック機構が働く。このためコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではない。
つまり、そもそもコレステロールの多くは肝臓でつくられているということ。これに加えて、フィードバック機構が働いているため、仮に食事からコレステロールを多くとってしまっても、肝臓でのコレステロールをつくる量が自然と減るため、食べた分だけ身体にコレステロールが増えるというわけではないということです。
関連記事:食事からコレステロールを摂っても、血中のコレステロール値に影響はなし
以前まではコレステロールの摂り過ぎは、動脈硬化の原因になるので、
「卵はコレステロールが多いから食べすぎはよくない」「卵は1日1個まで」
などとよく言われていましたが、最近では卵を多少食べ過ぎたところで、それが直接血中のコレステロールに影響するわけではないとわかっています。
実際、アメリカや日本では、コレステロールの食事摂取基準の上限はとくに定められていません。
(2015年版「日本人の食事摂取基準」で、コレステロールの摂取上限値は撤廃されました)
これは、摂取したコレステロールが血液中のコレステロール値に与える影響には、個人差が大きく、どれだけまで大丈夫かというデータが出せないためです(厚生労働省の報告書より)。
しかし、だからいって、コレステロールをどれだけ食べても大丈夫という意味ではないので注意してください。
ポイント
- 体内のコレステロールのうち、7~8割は肝臓でつくられています。
- 食事からコレステロールを食べ過ぎても、体内のコレステロールは増えません(その分、肝臓でつくられるコレステロールが減るため)。
ちなみに、日本動脈硬化学会ではこのように言っています。
(前略)現在、高血圧や糖尿病、喫煙など他の動脈硬化疾患の危険因子をお持ちでなく、LDLコレステロール値が高くない方は、現在の食事内容でコレステロールを制限する必要はありません。しかしながら、飽和脂肪酸はLDLコレステロール値を増やすことが知られています。コレステロールを多く含む動物性食品は同時に飽和脂肪酸も多く含みますので、このような動物性食品を摂り過ぎないことをお勧めします。(後略)
そしてLDLコレステロール値が高い人についてはこれまでどおり、食事でのコレステロール摂取制限が必要であり、同時に飽和脂肪酸についても必要です。
引用:日本動脈硬化学会
日本動脈学会では、LDLコレステロール値が高い人は、食事からのコレステロール値を控えてくださいとのことです。
特にLDLコレステロール値が問題ないっていう人で、動脈硬化のリスク因子(高血圧、糖尿病、喫煙など)をもってない人は、食事からのコレステロールの制限は必要ないそうです。
まとめ
- コレステロールは、脂質の一つです。
- 他の脂質と違い、コレステロールはステロイド骨格をもっているのでステロイド(化合物)です。
- コレステロールの重要な3つの役割
- 役割1:すべての細胞膜の材料になります。
- 役割2:ステロイドホルモンの材料になります。
- 役割3:胆汁酸の材料になります。
- 基本的に、身体の中のコレステロールの8割程度は肝臓でつくられています。
- 最新の研究で、食事からコレステロールを摂っても、直接的に血中コレステロール値を上げるわけではないとわかっています。
以上、コレステロールとは何かについての説明でした。
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